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アンケートフィードバック④ 「空間形式の違い」と「ルール」

この「アンケートフィードバック」は、「Museumソムリエ」のインターンプログラムで実施する、インターン向けアンケートの結果から、ミュージアムを考える「視点」を提示するものです。

今回は、アンケートフィードバック③に関連し、「ルール」が「空間形式」に依存する「限定的」なものであること、ミュージアムでの「空間形式」はいかようになっているか、についてお話しします。(2022.1.4)
※用語の精査により、用語の置き換え(利用形式→空間形式)を行いました。(2022.1.14)

🌑〈AC〉
今回のフィードバックは、
アンケートフィードバック③
「運営の都合」と「利用の都合」

のつづきです。

🌕〈S〉
「運営都合」のルールは、
運営者と利用者の「上下の関係」
で、利用者の都合を制限することがある。
「利用都合」のルールは、
利用者間の「左右の関係」で、利用者同士の「相互の合意」を規定するもの。
でしたね!

🌑〈AC〉
「運営都合」でも、「利用都合」でも、
「ルール」はどちらも、
「プログラム」に参加したり、利用したりする時に必要になるものです。
どのような「プログラム」なのかによって、異なる「空間形式」があり、
その「空間形式」に応じて「ルール」が異なる
ことになります。

🌕〈S〉
「プログラム」とは、どのようなものを指していますか?

🌑〈AC〉
コンサートや演劇、講座やワークショップなどは皆、
「その時・その場所」で「何か」を享受するという意味で「プログラム」です。
もちろん、
「展示を観る」ことも一つの「プログラム」です。
利用する一人ひとりにとって、
「展示」も「その時・その場所」でしか享受できないものですから。

🌕〈S〉
「展示を観る」ことが「プログラム」なのなら、その「空間形式」はどのように考えればいいんでしょう?

🌑〈AC〉
2回目のインターンアンケートの題材のように、ミュージアムでの「模写禁止」を考える時、
そのミュージアムが「展示を観る」プログラムで、どのような「空間形式」を採用していたかをハッキリと認識する必要があります。
なぜなら、
それぞれのプログラムには、固有の「空間形式」があり、
「ルール」は、その「空間形式」によって決まるからです。
【プログラム→空間形式→ルール】という関係にあります。

🌕〈S〉
「ルール」は、その「空間形式」に応じた「限定的」なものということですね。
それでは、
その「空間形式」はどのように決まってくるのでしょうか?!

【参照】「次元」でみる「空間型式」

🌑〈AC〉
では、
「空間形式」がどのようなものか、
展示物や展示作品を順路にしたがって「観る」プログラムで、考えてみましょう。

🌕〈S〉
言ってみれば、
「順路観覧プログラム」ですね。

🌑〈AC〉
はい、
その「順路観覧」という「プログラムの考え方」が「空間形式」を決定づけているわけです。
「順路観覧」を実現するための「空間」を形成し、それによって「順路観覧」を実現すると言ってもいいと思います。
展示物や作品を「順路」に従って空間的に配置し、「順路に沿って順番に観覧する利用」を「空間形式」によって実現しようとするということです。

🌕〈S〉
この場合、
「順路に沿って順番に観覧する利用」を実現する「空間形式」は、
「展示物や作品」と「利用者」との
「1:1」の関係を提供しようとしている
と考えればいいんですね。

🌑〈AC〉
一つの「空間形式」を実現するということは、
それ以外の「空間形式」を排除していることにもなります。
ただし、運営者は、
設定した「空間形式」により実現したい「利用」を明確に利用者に示す
必要があります。

🌕〈S〉
今回の題材のように、
それ以外の「空間形式」での「利用」を要望する利用者には、どうすればよいのでしょうか?

🌑〈AC〉
例えば、「模写」をしている欧州のミュージアムと同様の「空間形式」を設定すればいいわけですが、
重要なのは、
複数の「空間形式」を同時に設定することはできない、ということです。

🌕〈S〉
何か、よい方法はないものですかねぇ。

🌑〈AC〉
それには、「劇場・ホール」の構造を見ていくことが参考になるはずです。
「劇場・ホール」では、「プログラム」というレイヤーをどんどん入れ替えていくことで、多様に変化する「空間形式」を実現しているんですから。
そのお話は、また別の回で。

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