暗黙知の領域

授業や博物館の現場でこうすればうまくいく、と理論化するのは難しい。

ワークショップにしろ、評価にしろ、広報にしろ、来館者調査にしろ。

なぜなら現実は複雑だからだ。ある一側面(例えば教育の対象)だけでは計れないものを人間が兼ね備えている存在だからだ。

そうした実践について科学的な言葉で説明することの時間のかかり方と、事象の変化のスピードに対応することはしばしばミスマッチを起こす(現実は理論を裏切る)。そして、目の前の現実の方に目を背けることはできない。

そこで、目の前で現実に起きている問題をコツコツと片づけていると、これら(近接項)に共通しているのは(その枠組みとなるのは)、こういうこと(遠隔項)だよなと仮説を立てることができる。

そして、その仮説をもとに現実世界に対してコミットメントすることで、その仮説の確からしさを検証していくことができる。

だが、これは私の置かれている状況がどの程度加味されているのであろうか。小規模の博物館に特有のことではないのか、あるいはその学問分野に特有ではないのか、などと考えを巡らせる。

そこでようやく、私がどこに存するのかを確認する必要がでてくる。そのためには、学史をひも解くのがわかりやすい。

そうすると、必ず過去にも同じようにつまずいている人がいて、結局やっぱり博物館は人だよね、という極々簡単な言葉で終わっていたりする。

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