第4講 博物館の文化とは・・・《資料探索・読解》

《資料探索と読解》
資料を探して読んだうえで、あなたは博物館における文化とはどのようなものだと考えるか説明してください。

(資料)博物館における文化について書かれた資料等(本や論文)を自分で探し出してください。

① これまでの授業をふりかえる

 ここまでの授業は準備運動です。みなさんに共通理解として身につけていただきたいことを紹介してきました。例えば、教育と学習のちがい、知能とは何か、知能はどのように発達するのか等々です。これからは、それに基づいて、実践的な内容になっていきます。
 これまでは、私の方が一方的に一つのテキストを与え、みなさんに読んでいただきました。これからは、みなさんがテキストを探してくる番です。なぜなら、もしあなたがどこかの博物館に就職して「生涯学習、あるいは社会教育として何かやってください」と言われた時に、テキストを与えてくれる人はいないでしょう。生涯学習/社会教育って何をすればいいのですか?というあなたの質問にも、10人の先輩がいたら10通りの答えが返ってきそうです。そして、現実世界において、今この瞬間の生涯学習/社会教育観と、みなさんが就職した頃のそれとは異なっているようにも思います。私は私の生涯学習/社会教育観を持っているので、最後にはそれをお示しはするのですが、みなさんはみなさんで自分なりの生涯学習/社会教育観が持てるようになっていただきたいと思っています(「教育」は一方的な価値観の押しつけでないというあたりを思い出してください)。そこで、ここから先の授業では、何かを考えるための、材料集めをしていただきます。図書館やインターネットで本を探したり、まわりの人に聞いてみたり、いろいろな方法で材料を探してみてください。

②博物館における文化とは 

 さて、博物館における文化とは・・・?という難しいお題が出ました。そのままググっても答えにたどりつけないような気もします。では、博物館にある文化財にはどのようなものがありますか?ではどうでしょうか。文化財となれば、文化財保護法に定義があるかも知れません。あるいは博物館資料ということであれば「博物館法」という法律の中にあるかも知れません。ということは、法律の中に「文化」も説明されているかも知れませんね。問題は、その「文化」と博物館のなかにある「モノ」の関係です。
 つまり、現在、博物館にあるものが「文化財」や「博物館資料」であるということに間違いはないかと思うのですが、博物館にないものを「これは文化だよね」、「これは文化ではないよね」と分けているとすれば、どのように分けているのでしょうか。例えば、仏像があって、調査を通じてその仏像の歴史的価値、あるいは美術史的価値が明らかになりました。その結果として、博物館に入り、その地域なり、その地方なりの文化として展示されるかも知れません。でもこれが、人々が「文化」だと思っていないものの場合はどうなのでしょう。そこに何らかの価値を見出し、博物館資料にすることで「文化」になるのでしょうか。
 そもそも「文化とは○○である」という定義があれば、それにあてはまるものを、博物館で扱う対象にできるかも知れません。では、○○ってなんでしょうね、というのが今回のお題です。

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