【あ~あ 残念なピアノ弾き 付点は隠せない~】
あ~あ、残念だな~、と思える演奏、その残念ポイントをちょっと考えてみようという企画の2回目。
私自身は、「残念なピアノ弾きから脱却するぞ党」の党首(←それなに?偉いの?)就任をめざして、日夜活動中なのですが、そんな私の前に立ちはだかる嫌な女が一人。私は、ひそかに嫌味婆K子というあだ名をつけて、敬して遠ざけようとしております。その嫌味婆K子ときたら、傷口に塩をぬるような発言ばかり、本当にイヤなヤツです。
でも、その嫌味婆K子の悪態、うんざりするけれども、でもその通りなんだな~実は。
ということで、今回は、嫌味婆K子に吐き出してもらうことにしました。
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だいたいね、付点を聞けば、その人の巧拙は一発わかるってもんよ。結構難しい曲に手を出していても、付点ひとつロクに弾けていないようでは、化けの皮が剝がれるってこと。
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そこまで言う?
もっとも、付点というのは、それこそいの一番に習うリズムですが、実は奥が深く、私もいまだに扱いに手を焼いています。
で、付点で実力まるわかり…となる曲をいくつか挙げますと。
・ベートーヴェン Op.27-2 月光の一楽章
・ベートーヴェン Op.101 二楽章
・バッハ パルティータ 第2番 シンフォニア冒頭
・ベートーヴェン Op.13 悲愴の冒頭
・シューベルト 幻想曲(連弾) D 940 largo の複付点
・ショパン Op.9-3 休符のケースと付点のケースがあったり…
あ、パルティータと悲愴は、どちらも c-moll で Grave ですね。そうそう、 c-moll といえば、ベートーヴェンの Op.111 の冒頭の複付点も実力バレバレですね。そういえば、 c-moll って、御大層な曲が多いかも~。
付点の音価については、実は、曲によっても時代によってもさまざま。私も、師匠からいろいろお話うかがいました。気になる方は、ちゃんとレッスンのときに先生に確認なさってくださいね。
例えば、上述のパルティータは、鋭い感じの付点になるはず。
一方、ベートーヴェンの月光、これ、三連音符上にある付点ですから、かなりの技術がいりますよね。三連音符の真ん中に挟んじゃった途端に、「残念」認定ですね~。脱線ですが、 Adagio sostenuto であっても、 alla breve であることは忘れてはいけない、というのも重要ポイントかも。
で、問題は音価だけではないところ。短い音符と長い音符のタッチコントール、付点のあとに同音が続く Op.101 など、絶妙なコントロールがないと、あっというまにこれまた「残念」な演奏に。
ショパンのノクターンは、微妙にリズムが変わったりしますが、平気な顔して、ささっとこなさないと、ダサいだけですな~!(←嫌味婆K子風!)
ちなみに、ベートーヴェンの Op.111 の2楽章、例の部分(注:32分の12拍子になるところ)は付点じゃないですよ~。ここも、残念まっしぐらになりがちな箇所ではありますが…。
ということで、付点は、シミと同様、欠点を隠すのが難しいというお話でした。
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