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【あ~あ 残念なピアノ弾き 楽屋でこんなことやっていませんか?】
久しぶりの「あ~あ 残念なピアノ弾き」シリーズです。
本日のお題は ― 「楽屋でこんなことやっていませんか?」
本番前の楽屋で、思わずこんなことをやってしまう方、結構多いのではないでしょうか。
● 試験前のように楽譜と睨めっこしてしまう
● 失敗したときの言い訳を予め口に出してしまう
・「この頃暗譜できなくて」
・「練習時間がなかなかとれなくて」
・「緊張したらなかなか上手くコントロールできなくて」
何を隠そう、私も昔はやっていました。それこそ、儀式のように。
でも、これ、全て「百害あって一利なし」です。その理由、例の「嫌味婆K子」さんが雄弁に語ってくれるようです。
直前に楽譜を見る場合、その情報が格納されるのは、脳の短期記憶領域。よくワーキングメモリと呼ばれているところね。ワーキングメモリは、本当に文字通り一時的なクリップ情報の置き場。ホワイトボードみたいなものと思ってもいいかもね。この領域は、容量が少なくとても不安定なもの。新しい情報を入れるために、どんどん破棄される運命なの。これって、せっかくきれいに覚えていた記憶をわざわざ混乱させるだけの「自殺行為」だわね。本番直前にジタバタしたって、もう手遅れなわけ。
それから、失敗したときのために、あらかじめ照れ隠しのように言い訳するのって、謙譲の美徳でも何でもなくて、失敗が実現されることを確信させるための「悪魔の暗示」よ。ワーキングメモリもそうだけれど、人間の脳は、五感からキャッチする情報を全部覚えられるわけがないの。記憶される事柄をフィルタリングする機能が脳には備わっているけれど、それこそ、「失敗する私」を実現させるための情報が抽出される効果が高まるだけだわ。
そこまでして、わざわざ失敗を望むとはね。いずれにしても、自分が信じられないってことでしょ。
では、どうすればいいのか、という話ですが…。
記憶領域に関する話について申しますと、残念ながら、楽屋でやれることはありません。仮に暗譜して弾くのであれば、不安定な短期記憶に頼るのではなくて、より安定した長期記憶を呼び起こすしかないのです。
長期記憶には、エピソード記憶や手続き記憶等いろいろな種類があり、それらをどのように形成するのが最適であるのか、という話は確かにありますが(今日のところは割愛ーまた稿をあらためて話題にしたいと思いますが)、ともかく、長期記憶を増強・保持するためには睡眠が鍵になることは、広く知られたところですから、本番までの睡眠回数=準備日数を考慮した練習スケジュールを組むことが最も重要ポイントであることは間違いないようです。
楽譜も見ることができないし、言い訳を口にするのもNGということなら、緊張が高まる楽屋でどう過ごせばいいのよ~、と思われる方もいらっしゃるでしょうか。
口の悪い「嫌味婆K子」さんは、こんなこと呟いていましたよ。
結局ね、不安な状態にしがみついているだけなのよ。それって、結局リスクをとる勇気がないのね。
相変わらず手厳しい方ですね~。「嫌味婆K子」さん。
確かに、不安は手放した方がいいです。不安を手放し、長期記憶を落ち着いて呼び出せるように心身を整えておく、それこそが楽屋で過ごす時間の使い方として相応しい行動ではないでしょうか。
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なお、宣伝のようで恐縮ですが(いえ、宣伝です!キッパリ!)、この度楽屋で利用することを想定した音声ツールを作成いたしました。15分ほどの音声ですが、この中には、不安を手放すためのワークも含まれています。ご興味がある方は、こちらからダウンロードいただくこともできます。
★公式サイト