【短編小説】天使が舞い降りた日
高校の修学旅行で南の島から、はるか遠くの北国に来ていた。
ハワイのような暑い島で育った俺はまるで異国に来たような気分だった。
「こんなに寒いのは初めて」と同級生は口々に言う。
むき出しの顔が痛くなる寒さというのは経験したことがなかった。
寒いと頬っぺが赤くなるっていうのは、本当なんだと周りの女の子を見て思った。
新たな観光地に向かう電車の中、俺の隣りでは友達同士で喋っていた。
地元の乗客も何人かいたが、俺たちを全く気にしてないようだった。
「京都って寺院ばかりで、つまんなか