私の原風景ジオラマ
思い出の場所をジオラマで表現する原風景ジオラマを作りました.もともとは1/150スケールのNゲージ鉄道模型レイアウトを作っていたのですが,子供時代の原風景と組み合わせることができないかと,60x45cmのコルクボードをベースに数十年前の子供の頃に過ごした地域を念頭に原風景ジオラマを作成しました.
【行動範囲の拡大】
徒歩で行き来する範囲の外側には自由が丘や渋谷など電車やバスを使って出かける街がありました.なかでも渋谷へは洗足から直通バスが出ていたので,我が家にテレビが来る1958(昭和33)年までは毎週家族と共にそのバスに乗って渋谷へ向かい,東急文化会館(現在は渋谷ヒカリエ)地下1階の映画館で週間ニュースを見て日本や世界の情勢に触れていました.ちなみに,カーリングなるものを初めて知ったのもこのニュース映画がきっかけで,氷上を掃除する人々と歓声をあげる観客達が放映され,不思議な競技だと思っていました.
【自由が丘と田園調布】
渋谷や銀座,日本橋などジオラマでは表現できなかったやや遠い場所のほか,電車で数分の自由ヶ丘(現自由が丘)や田園調布などへもたびたび出かけました.自由ヶ丘の駅前には変形三角形のロータリーがあり,駅前から東横線の線路沿いには屋上にローラースケート場のある自由ヶ丘デパートが建っていました.その向かいには父がしばしばおみやげとして持って帰ってくれたケーキの店である東郷青児の美人画の包装紙が懐かしいモンブランがあって,当時からすでに活気のある楽しい町という印象がありました.
自由ヶ丘の隣の田園調布にも良く出かけました.田園調布では東横線や目蒲線の電車のほか,貨物駅があったので電気機関車が牽引する貨物列車や荷物電車を見ることができました(中口絵-3).田園調布は洗足と並ぶ渋沢栄一らが設立した田園都市株式会社(東急電鉄の前身である目黒蒲田電鉄の母体)(注3)の開発した分譲住宅地で,すでに高級住宅地として広く知られていました.駅前には独特の形をした創業時の駅舎(中口絵-3)が建っているほかロータリーから放射状に道路が延びているのが印象的でした.
【NゲージとZゲージのジオラマ】
洗足や洗足池付近の原風景ジオラマは100円ショップで購入した40cm x 60cmのコルクボードをベースにして製作しました.スケールは線路幅9mm,車両の大きさが実物の1/150の Nゲージスケールで,2022年10月に田園調布駅駅舎から作り始め,スチロール板と壁材で地形を作ったあと建物の設置,草木の表現などをし,線路やポイントへの配線,建物の照明なども含めて2023年1月下旬にほぼ完成しました.その後,腕試しのつもりでさらに小さいサイズのZゲージスケール(線路幅6.5mm,1/220)のジオラマにも挑戦しました.これはNゲージのジオラマとほぼ同じプランでアタッシュケースに入るサイズで仕上げました.
Zゲージジオラマでは自由が丘の駅前ロータリーを模したロータリーに面して田園調布旧駅舎を置き,その隣には当時の自由が丘モンブラン模したモンブランケーキ店を配置しました.
最後に,Nゲージ原風景ジオラマとほぼ同じプランで製作したZゲージジオラマを斜め上から見た写真を示します.
(Nゲージレイアウトは2023年1月完成.Zゲージジオラマは2024年5月に完成しました.
詳しくは月刊『地理』2024年9月号(69巻9号)をご覧下さい.
URLは次の通りです.
https://www.kokon.co.jp/book/b651338.html
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