【家づくり】2-2 この建築家、ノリノリである
面白いからこの人にする、と、マッハで返答してしまったので、それから月イチでプロデューサーの事務所へ出向き、建築家を交えて打ち合わせを重ねることになった。(展開がはやい)
ちなみにハウスメーカーは逃してなるものかと度重なる値引き攻勢を仕掛けてきたが、「面白くないんで駄目です」という理由で一蹴してしまった。
営業さん、僕らはそもそも行く場所を間違えていたんです。
本当にありがとうございました。
で、である。
2度目の打ち合わせのとき、建築家N氏が「家のコンセプトを思いつきました!」といって見せてくれたのが一枚の紙。そこにはこんな文字が書かれていた。
【栖】
住む所。住まい。住居。現代では好ましくないものの住んでいる所をいうことが多い。「犯人の―を捜す」「鬼の―」
施主を悪党呼ばわりとは、この建築家ノリノリである。
だが待って欲しい。
我々が出した要望がこう。
・周囲の景観がよくないので窓はいらない
・家の中は広い空間にして欲しい
・風呂は開放感が欲しい
・並んでPCゲームをしたい
・秘密基地みたいなやつ
・いまはイタチを飼ってるけど猫も飼う
・カーテン嫌い
・シーリングライト嫌い
なんという欲張り全部乗せハウス…。
しかしこれらの条件を全部満たすプランをさっそくひねり出してしまったらしい。
すごい!さすがプロ!
まさかの棺桶型ハウスであった。土地が台形なので建物も大胆に台形。
なんてことだ、相手がこっちの予想をはるかに超えてきたぞ…。
「面白い!良いですねコレ」
「面白いのでこれで!」
「ええ!?アリなんだ…」
思わず素っ頓狂な声をあげてしまうプロデューサーA氏。
すべてにおいて面白さだけで決めていっているが、本当にコレでいいのか!?
ちょっと冷静になって考えてみてくれや…!
プロデューサーの心の叫びが聞こえてくるようであったが、建築家と施主が揃って暴走しているがゆえにどうしようもない。
はたして無事に家は建つのだろうか。乞うご期待。
※無事に建っているので安心してください。
そこの君! 応援してくれても良いんだぞ?