PdM講座3-1 フェルミ推定を活用したビジネスモデルの有効性検証方法
はじめに
初めまして!現在、株式会社contento というコンサルティング会社で代表を務めている小川正樹と申します。
noteでは、これまで私が複数の会社で働き、そこで得てきた経験について会社ごとに紹介しながら、プロダクトマネージャーとして学んできたことや日々の持論について書いていきます。
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今回はPDM講座第3回「ビジネス開発基礎②」の「ビジネスモデルをテストする」についてです!
第3回は前編・後編の2部構成で書いていきます。
今回は前編で、テーマは「フェルミ推定を活用したビジネスモデルの有効性検証方法」となっています。
ビジネスモデルが成り立っているのかどうかを確かめる方法とは?
前回、ビジネスモデルの定義や手法について説明しました。
今回は、そのビジネスモデルが上手く機能しているのかどうかを確かめる方法を紹介します。
その概算方法はフェルミ推定です。
フェルミ推定とは、不確実な状況やデータが不足している場合に、
合理的な推論や仮定を用いて大まかな数値を見積もる手法のことです。
実際にビジネスモデルのテストを始める前には、ビジネスモデルが完成した時に得られる利益を、フェルミ推定を使用して概算を出します。
その上で、この事業を本当に事業化すべきかどうかを検討します。
定義や使い方を説明しても理解しにくいと思うので、例を踏まえて説明します。
例として、「シカゴに何人の調律師がいるのか?」を考えてみましょう。
この際に考えることは以下の通りです。
①のシカゴの人数は100万人と仮定します。
ここでは、正確な数値である必要はなく、10のべき乗にすることが効率的な計算のコツです。
②のシカゴにあるピアノの台数は100人に1人がピアノを持っていると仮定します。
よって、①よりシカゴにあるピアノの台数は1万台あることになります。
③のピアノ調律師が1年間に調律できるピアノの台数は、1年に100台と仮定します。
1000台を1年で調律するには、1日4台の調律をする必要があるので、現実的に100台が妥当であると考えました。
以上の仮定より、調律師は100人となります。
実際は81人なので、かなり近しい数値を出せることが分かります。
ビジネスモデルが成り立っているのか確かめる手順とは?
ここからは、実際にビジネスモデルを確かめる手順を紹介します。
手順は以下の通りです。
今回はこの手順の①と②まで紹介します。
手順①
手順①の最小限の成功基準を決めるというのは一定期間内です。
なぜ最小限の成功基準が必要なのかを説明すると、ビジネスモデルの良し悪しの基準になるからです。
合理的な最小限の成功基準がない場合、成功を定義できません。
また、最小限の成功は、最大限の可能性へのステップにもなります。
最小限の成功を出すことで、最大限の可能性を逆算して見積もることができるのです。
『最小限の成功基準』の決め方をご紹介します。
決め方は以下の通りです。
上記で算出した目標を、顧客スループットに変換するのが次のステップになります。
手順②
手順②について最初に必要となるのは「価格設定」です。
初期アイデアの段階でも、価格を明確にしなければなりません。
ただし、その価格は、課題に対して価値ベースで設定することが注意点です。
とはいえ、どのようにして価格設定をすれば良いのか難しいと思います。
なので、「既存の代替品」を参考にして、価格設定を行うと良いです。
具体的には、すでにお金を払って利用しているサービスを指します。
実際に、価格が決まれば、必要な顧客スループットを計算することができます。
例えば、年間スループット目標を1000万円とした際に、月額500円でサービスを提供するとします。
ここから、顧客スループット目標が1667人というのは正しいのかを確認します。
「スループットを維持する」ための顧客スループットとしては適正ですが、解約を考慮していないので不適切です。
そのために、「ライフタイムバリュー」を見積もる必要があります。
手順③以降の内容は、次回の3−2の内容になります。
最後に
今回は、ビジネスモデルの機能性を確認する方法として、フェルミ推定を用いた概算方法やビジネスモデルの検証手順について紹介しました。
ビジネスモデルの確認手順としては以下を行います。
①最小限の成功基準を設定
②価格と顧客スループットを決める
これにより、ライフバリューを評価し、ビジネスモデルの有効性を検証することができるのです。
次回はPdM講座3-2です!
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