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2023年11月24日 県民健康調査検討委員会

2023年11月24日に第49回福島県県民健康調査検討委員会が開催されました.2年間のあたらしい任期で任命された委員による初めての委員会で,18名の委員のうち5名に変更がありましたが,なんといっても座長がこれまでの高村昇氏から,双葉郡医師会推薦の重富秀一氏に代わったことがおおきなニュースでした.

11月24日の検討委員会でのわたしの質問ですが,ことばがつたなく意味が伝わりづらかったので,改めてここで説明します.ひとつめの質問は「がんが多く見つかるのは過剰診断ないしは前倒し診断のいずれか,あるいは両方の可能性がある.だから検査を継続する」とするのは論理が飛躍しているのではないか,という質問です.

甲状腺検査で発見された甲状腺がんは過剰診断(ずっと症状を出さない)であるか,早期診断(いつか症状を出す)かのどちらかであり,それは現時点ではわからないので検査を継続するという報告でした.しかし早期診断のメリットがあきらかになっていないにもかかわらず,検査を継続するのは問題ではないかということです.

部会会長のそれをあきらかにするためという回答はふじゅうぶんだと思います.問題は何十年もの前倒し診断には,過剰診断とおなじ不利益が考えられます.10代で発見しても,40代で症状がでてから治療しても予後はおなじでしょう.過剰診断の不利益にまさる前倒し診断の利益があるかの検討なしに,検査継続ありきが前提になっています.

ふたつめに,事故当時幼少で感受性の高い層にしぼって見守りの調査を継続するといった文言もありました.その子たちもすでに10代になっています.いままでの甲状腺調査の結果から考えても,甲状腺がんが多数みつかることが予想されます.この過剰診断の害は深刻で,本人も周囲も放射線の影響と考えてしまうだろうがどう対処するのかというものでした.

この質問は結果的に無視された形でした.みっつめは,疫学の中山委員にたいして直接に質問したもので,過剰診断の不利益など問題が調査だが,これを継続して放射線との因果関係がはたしてあきらかになるかというものでした.厳密にはむずかしいが,因果関係はないという傾向はでているとのお答えでした.

重富秀一新座長の「過剰診断は長く議論されているテーマではあるが,委員会としては県民の心に寄り添って検査を続けていきたい」という結論には,ここで明確に反対いたします.この論理は「心配だから検査せよ」という,たとえば新型コロナPCRやNIPTでもよくみた安易でまちがった理屈が使われています.

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