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ロシアの詩人マンデリシュタームについて

オシップ・マンデリシュタームは20世紀ロシアを代表する詩人です。スタリーンの粛清で逮捕され、1938年にシベリアの収容所で亡くなっています。彼の詩集はその後ながらくソ連では禁書とされてきました。パウル・ツェランが彼の詩をドイツ語に訳しています。

のちに出版されたマンデリシュターム夫人の回顧録の一節が忘れられません。夫の逮捕後、隠した詩集の写しがいずれみつかって破棄されても、いつでもそれらを再現できるように、ただひとりでひたすらすべての詩篇を暗記しつづけたのです。

レイ・ブラッドベリ「華氏451度」のなかにでてきた、森のなかの隠棲者たちが焚書された書物をひとり一冊ずつ暗記するという未来SFの物語は、すでにわたしたちの知られざる過去のできごとにすぎなかったのでした。

マンデリシュターム「石」より

ペテルブルクにわれらは集うだろう
われらはこの町に太陽を埋葬したかのよう
至福にして意味なき言葉を
はじめて口にするだろう
ソヴィエトの夜の黒ビロードにつつまれ
全世界の空虚のビロードにつつまれ
福なる女たちの愛しい眸は歌っている
不死の花々は咲いている

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