夢の自宅サウナ生活 ④サウナのつくりかた
今度こそ、最終回。
実はこの連載の8割は、6月には下書きが済んでいた。なぜすぐに公開しなかったのか? それは、長いあいだ仮設状態でサウナを稼働していたため、実際下手なままのをレポって、それを真似されるとちょっと困るなと思ったから。
そう気にしていたにも関わらず、明日こそ改装しよう → 改装するとサウナ入れない → 入りたくない日がない → やらない。と、サウナ欲望の無限ループが続き、ほったらかしてた。しょうがないじゃん、そこにサウナがあるんだから。
あとは、持ち家じゃなくてもmisaサウナを設置できる方法について泉興産に問い合わせてたのだけれど……結論としては、発電機(単相200V30Aのもので20〜50万くらい。たまに8万円台もあるらしい)を買うor オーナーがめちゃくちゃ理解ある家で電気工事させてもらう、でないと賃貸では難しかった……。
もしいい方法が見つかれば、またいつでも更新します!
● サウナストーブの置き方(室内・外共通)
misaのKolibriは角置き型ストーブ。ふつうはサウナ部屋を作って、ストーブを角にホルダーで引っ掛けて固定するけれど、テントだとそれができない。
なので、中古のりんご箱(近所の古道具屋で¥1,000)を一部解体して、そこにストーブ付属の金属フックでひっかけた。ストーブ下のはコンクリブロック。
右下の棒状の金属のは温度センサーと、サーモスタットをつなぐパイプ。直置きの場合は、その辺に置いておけばいいらしい。
いろいろくっつけてみたけれど、そもそもこのストーブはストーンの重みで自立する。一見不安定だが、本体下部の最も重い部分は直方体なので、見た目よりはずっしりと安定している。(下にコンクリブロックを置いて、あとは周りを金属ではないもので支えておくとか、そんな感じでも十分なようす)
さらに念のため、ストーブの後ろには重りでケーブルと箱を固定。ケーブルがちょうど下を通過する形に。
奥の手袋は焚き火用。熱くなった石を動かすのに役立つグッズ。
この手のやつね
ご覧の通り、ケーブルを踏んでいるわけではない
ひとまずは大地震が来ない限り大丈夫だろう。実際、ロウリュサウナは温度が基本70℃くらいだし、サウナ内にもともと水が必要だし、石油ストーブよりもはるかに安全、と消防署からお墨付き。(泉興産の資料より)
なお、サウナストーンは泉興産のmisa。いいロウリュ音出すよ!
● サウナストーブの操作方法
これは至ってシンプル。
フィンランド語と、スウェーデン語と、英語の3併記
第2章でも書いたけれど、日本語がないのは「日本語つけたらダサいから」という泉興産の社長の意向。最高かよ。御社で働かせてください!!
左のダイヤル、黒に白抜きの数字部分が連続稼働モード。4時間まで連続で動く。白まで回すとスタートタイマー。最大8時間後に温め開始、にセットできる。
右のダイヤルは温度。9時の方向が0℃で、3時の位置がだいたい70℃。このアバウトさよ。なお、設定温度上限は95℃。
つまりこの写真は「あと3時間で4時間連続運転しはじめます。30℃くらいに温めますね」ってことね。
RESETボタンは、室温がMAX(125℃)を超えてしまった時に自動で通電が止まるので、それを再通電させるためのスイッチで、まず出番はない。
たったこれだけ。実にシンプル。
● 室内サウナの場合
我が家の四畳半部屋はただのフローリング。そのため、何か床を工夫する必要があった。
初期はテント用断熱シートを敷いていたけれど、思ったより汗や水の影響をうけてしまった。これではちゃんとした防水にはなっていないので、このまま使い続けたら床が傷んでしまうだろう。
初期の状態。実際ストーブの下はちょっと濡れて傷んだ。真似しないでください!
重い腰を上げてようやく改装。建築とかインテリアのプロから見たら妙なことやってるなーと思われる部分もあるかもしれないけど、素人なのでそこはご愛嬌。
① まず防水シートを貼り
この防水シートは大量に余った……
② 次にストーブ位置だけに断熱シートを貼り
薄いやつは高いのしか見つけられなくて、一部だけ。ケチケチと……
(あまり床が厚くなると部屋のドアが開かなくなるし)
③ その上から、Pタイル(塩ビ)を貼る
接着はすべて両面テープで。床が傷まないやつを使用。
④ Pタイルの匂いがやや独特なので、リバースワックスを塗布
割とこれでビニールっぽい匂いはとれた
両面テープで貼ってるだけなので、そこまで時間はかからない。Pタイルのカットが面倒なだけかな。Pタイルは洗面所のDIYで余ってたから使ったのだけれど、洗面所用のクッションシートとかだけでもいいのかなーって気も。今は楽天でなんでも売ってるから検索してみて。
まあ、家の中にテント建てる人あまりいないとは思うけど。
⑤ あとはテントを建てるだけ
テントの立て方は前にも紹介したけれど、2本の支柱でぱーんとひらいてくれるだけ。とてもシンプル。我々夫婦はともに168cmの身長なので、椅子に乗ってファスナーを閉じればいくばくか楽。180cmくらいの人なら一人でできそう。
じゃーーーん
室内は風がないからロープも重りも不要。ここまでやれば、バケツをばんばんひっくり返すでもしない限り、床は大丈夫だろう。多分。
なお、備品は以下の通り。
チェア:IKEA テルノー ¥1,500
スツール:IKEA マリウス ¥500
バケツ:rento(フィンランド土産に購入)
チェアはテントサウナオーナーの方々との情報交換で気に入って購入。背もたれがあるし、金属には触れないので熱くならずにちょうどいい。ここにIKEA屋外用クッションを使えば、お尻はふかふか。ストライプのマイサウナマットは、やっぱりフィンランドで買った。
500円のスツールは、オットマンとして。テントサウナは足元がどうしても寒いのだけど、足を乗せて使えば全身くまなく温められるのでとてもいい。
テント内は、MORZHらしいしっかりした熱さ。室内の場合、外気の影響がないからか70℃でもかなり耳が熱くなるレベル。だからいつも50℃くらいで入ってる。真冬だとまた変わる気がするけど。
テントの外側は、ちょっと強く暖房をつけてる程度の暖かさ。一応、部屋の窓は開けて換気しながら使用してるけれど、4ヶ月毎日使っても湿度の漏れはなく、火災報知器が作動する気配もない。そもそも薪じゃないから一酸化炭素中毒の心配は皆無だし。なんて安全なサウナ!
テントの窓を部屋の窓に向けたかったので、壁際40cmの隙間から出入り……
窓からは外の景色。テント越しだとお馴染みのつまらん町の風景がまるで違って見えるのが、ちょっとSFじみてて楽しい。
側面にかかってるのはフィンランドのラップランド・ホテルで買ってきたオリジナルのガウン。ほかrentoのガウンも持ってる。ガウンがもともと好きなのよ。
サウナの後は、冷水シャワーを浴室で。そしてガウンを羽織ってベランダへ。雨の日は、ソファやベッドでダラダラと。
動線は非常に悪いが、自分たちのためだけの簡易的サウナの基本の楽しみ方はそんな感じ。
ヘルシンキのホテルにあった"真のフィンランドサウナ体験"にかなり忠実
ゆくゆくは部屋の壁に湿度と温度の調整用として、漆喰なんかも塗ってみたいんだけど(ちょうど人にもらって家に余ってるので)それはまたいずれ……冬に結露が起こるようだったら考える。
● ベランダサウナの場合
写真にすると景色丸見えなので、ベランダ全図をイラストにしてみた。
こんな感じ。ベランダは、テントがほぼギリギリ建てられる幅。広めとはいえゲストは一度に2人、我々夫婦含めて4人が快適。
4人だとテントサウナ内もゆったりちょうどの定員に。
サ室内ベランダver.
床:IKEA ルッネン ライトブラウン
ほかの備品は室内と同じ。スツール写ってないけどスツールも置いてる。とにかくIKEA最高、に尽きる。
ベランダは室内と違って風がある。我が家では風速5〜6mくらいが限界っぽい。雨よりも、風を気にするようになった。
テントのロープは、ベランダの柵の下にくくりつけ、柵がないところは重りで固定。他にもちょこちょこ重りを置いてる。
前述通り、ストーブを支えるようにも1つ使ってる。コンパクトでしっかり重い。これは4個セットだし持ち運びもしやすいのがうれしい。
プールも重りも、楽天で購入。
うちのは電動空気入れがついてて3,000円だったのでこれではないが……
ちょっと前からサンペレグリノを箱買い常備するようになった。ペリエより炭酸がマイルドだから好き。人が来たときは一人一本渡してる。洗い物がなくていいし、ちょっとしたリッチなスパみたいになる。デザインって大事だよね。
これで1本66円だったら、常備したくなるでしょ?
水はホースで、キッチンから外付け食洗機の蛇口に付け替えて接続。
このセフティー3とかいうコイルホースがすばらしい。シャワーなどの7パターンもの散水ノズルがあるんだけれど、中でもミストモードが最高。プールの中でミストを使えば、ニューウイングのジャスティスボタン風に。出しっぱなしにもできる。安くてデザインもいいわりに高機能だ。
人工芝もやっぱりIKEA。これ、ふっかふかなのですごくおすすめ!
フロアデッキは快適でオシャレに見えるだけでなく、2cmくらい地面から浮いて隙間ができる構造だから、プールの水を流す際、底の排水孔を開くだけでちゃんと水が出ていくから掃除が楽。(ふつうのベランダの長尺シートの上に置くと、床とぺたーんと密着するので、空気が入らず水が出ていかない。)
そしてこのFreddy Leckのベランダサンダルは絶対買ってよかった! 底に穴があいてるから雨の日にもぐしょらないし、白いから日光で熱くもならない。サウナー以外にも幅広くおすすめの一品。
夜にはIKEAのソーラー電気ソラールヴェートが点灯。太陽光で昼に蓄電し、暗くなると勝手に光る優れモノ。ベランダに出しっぱ。
IKEAサイトより。こちらも買ってよかったすぎるアイテム
ととのいすはcolemanのインフィニティチェアです。やっぱこれだよね〜。
これで毎日風を感じて、星のまたたきを見てる
ベランダでは、サウナ → プール → インフィニティを直線上に並べているので、室内に比べて動線が最高。風さえなければ、来客があってからしばらくはテントをベランダに出しっぱなしなので、ついついその翌日は朝も夜もサウナしてしまう。
サウナがなかったら、こんな空知らなかったかも
ただ、ベランダだと自宅なのに水着を着なきゃいけないのが嫌だなあと思っていたけれど、近頃ではついに全裸ベランダテントサウナをするようになった。
やり方としては、ガウンを着てテントに入り、その場で全裸になりサウナ、テント内でバケツの水をかぶり、ガウンを羽織って外気浴直行。これなら濡れた水着でお腹も冷えない! テントの窓はロウリュの蒸気で曇るし、気になるなら窓を閉じればいいし。
だいぶサウナ極まってきた感ある。
● サ室(ムロ)のサ活
ムロタのサ室だから、サ室(ムロ)。
8月下旬にこれらすべてが完成し、現在10月上旬。6週間で来訪者はのべ12人。さらにまだあと5人ほどの来訪予定アリ。まだ増えるかも。
この秋の週末は毎日、リネン類の洗濯・掃除、そしてサ飯の料理と、完全にサウナ屋さん状態。サロンなんて言いませんよ、そんなスノッブな。
これだけ本格的にやってはいるけど、所詮は家なのでサウナイキタイには載せられない。なので、ここでみなさんからのサ活を一部ご紹介。
まず、テントサウナ倶楽部のオーナーと、一緒に来ていただいたayapanさん。
自宅にテントサウナがあるお宅に伺った…!ベランダエリアの空間が本当に素敵で、出して頂いたルーロー飯がめちゃくちゃ美味しくておかわりしてもうた。ヌコたんは可愛いし、インテリアのセンス…!素敵なご夫婦で本当にいい時間すぎました。私の目指すべき未来像…🐈🇫🇮 ayapan🧖♀️ @ayakal224 9月12日
めちゃめちゃ褒めていただいて。。。
また、テントサウナ倶楽部のオーナーみたいな、いろんな人をたくさん招いている人をもてなすにはプレッシャーも多少あったけれど、彼には「まさかこの俺が2ターンでととのってしまうとは……」と評していただき恐縮です。
写真水色の缶はフィンランドのロングドリンクオリジナル(通称ロンケロ)。すっきりしてて香りのいい氷結的なカクテル。フィンランドのサウナの味。
おいしいぶどうをいただいた日も。サウナのあとのシャインマスカット……うまあ。これ、糖度めちゃ高くてびっくり。手土産がフルーツって、大人だな〜。(ただ、うちのサウナは手土産いらないよ!ってずっと言ってる)
我が家は中途半端に田舎なエリア。そのため、虫の音や風の音など、東京とは思えない静かな外気浴ができる。とにかく外気浴派なこの方には、環境を大変お気に召していただけたようす。
我が家のベランダにはひさしがない。日光と雨でうんざりしてたけど今は最高
また、ある日のサ飯は和食。日本の家庭料理。宗教上の理由で豚肉ナシ。というのも、ゲストは縁あって繋がった某フムスの国の外交官(会話は英語)。彼らにフィンランドのガウンを着せて、サンペレグリノ渡して「わぁ、もうスパじゃん」とか「これ毎日やってるの? うっわ、パーフェクト……(空を見ながら)」とか言われた。彼ら、私もNYCで行ったウォール街のサウナに行ったくらいにはサウナ好きらしく。しかしガチのサウナ外交を、しかも自宅でやることになるとは。
「このテント、このままベランダから熱気球みたいに飛んで行きそうだね」なんて言われた。さすが文化の大使とそのパートナーだぜ。ロマンティックすぎる。
そしてそして。タレントでサウナーでイラストレーターの安住麻里さんは、まさかのイラストレポを描いてくれた!!
カワウソ目線でのサ活!!こんなん家宝じゃん……!
この冊子はいろんなサウナ施設などに置かせてもらってます。無料だよ!!
安住さんとは、飛雪の滝キャンプ場 "サ滝"の紹介冊子つながり。安住さんは漫画を、私は編集デザインを担当したので、その縁からzoomで打ち合わせはしたけれど、一度お会いしたかった。アートの話や、音楽の話、お花の話とかいろいろできて、楽しかったな〜。
来訪者にはネットのつながりで初対面の人もいたけれど、サウナは人との距離を溶かすから、帰るころにはすっかり旧知の仲のような雰囲気に。これがサウナのいいところ。まあ、初めての人んちでいきなり風呂借りるって、ふつうないしね。
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そんなこんなで、外交官もタレントも大満足のプライベートサウナ "サ室"!などと、わざとキャッチーに言ってもみるけど、要は一流を知ってる人たちや、手練れのサウナー勢たちも大満足の空間は、IKEAと楽天と泉興産のmisaサウナがあれば作れますよ!って話。
さすがにこれだけみんなに喜ばれると、自信がつく。喜んでもらえることがうれしい。それが私の原動力だし、このような記事を書く力の源でもある。
イベンターとしてやってきた自分。イベント企画に二の足を踏んでいる昨今に、このような小規模の企画を、家から出ずにできる幸せ。
そんな人生のハリとしても、サウナ買ってよかったなって思った次第。まあ、そろそろ電気代くらいはちゃんと取りたいとは思いますけど! noteに投げ銭してもらってもうれしいのよ。
(2021.1月追記)その後、こんな本も作った。MISAサウナの泉興産にインタビューしたり、我が家のサウナ全貌を載せてたりするサウナ情報小冊子「savon」。全国の温浴施設や書店でのお取り扱い、また、通信販売もやってます!
この記事を読んだいろんな人が、自分の家を活かしたサウナを作るきっかけになったらいいな。
できたら報告してください! よかったら、遊びにも行かせてください!
さて、またちょっとサウナ入ってきますね。
ジュワァァァアァアァ
【2022.3.2追記】
ここから1年半後。このnoteを読んで増殖してしまった自宅サウナーたちの話や、後日談、改善改良を重ね続けるサウナのカスタムアップデートの話。そして危険な黒MISAなる違法商品に手を出してしまった人たちへの警笛文☟
サウナストーブの選び方や設置費用など、これまでの記事はこちら☟
サウナアンチクソ野郎だった私が、2019年11月にフィンランドでサウナにどハマりした旅行記はこちら☟