夢の自宅サウナ生活 ①セルフロウリュへの執念
ホームサウナ。それは全てのサウナーの夢。車を欲しがる若者は格段に減っているかもしれないが、サウナを欲しがる若者は今、激増していることだろう。
これは、アンチサウナだった私が、フィンランドのサウナにどハマりしたのち、それから自宅にサウナストーブを手に入れるまでの、たった半年のお話。
● セルフロウリュのサウナがデフォルト
2019年11月上旬。
一足先にサウナーになった夫と連れ立って行ったフィンランド旅行をきっかけに、サウナにどハマりした経緯については以下の通り。
それまでの私といえば、こんなだった。
夫「これまじ笑えないから……」
フィンランドではセルフロウリュが基本で、自分でできないところもスタッフによる定期的なロウリュが当たり前。その後行ったアイスランドのプールサウナもそうだった。
私は基本サウナに寄り付かないほどのアンチだったため、サウナ=あの音と蒸気が楽しめる場所=最高のエンタメ!と、初期設定された状態で帰国。
ところが。
● 音を求め、湿度を求め、さまよう……
2019年11月中旬。
サウナの食べログ、サウナイキタイを日々検索しては、眉間にしわを寄せていた。なぜなら、"都内"で、"女性"が、”セルフロウリュ"できる" 検索結果、ほぼなし。
後楽園ラクーア。風呂エンタメとして、とても楽しい。だが気軽に行くには少し高い。サウナはロウリュするのにいちいち下の段に降りないといけないし、なんかロウリュ音が弱い。
恵比寿ドシー。サ室のインテリアはやけに綺麗だけど、他が仮設っぽい謎な造り。肝心のロウリュはなぜか15分に一度しかできないし、ラクーア以上にロウリュ音が弱い。
……私はすっかりフィンランドにかぶれ、ロウリュできる喜びだけでなく、水の蒸発する音についていっちょまえに文句垂れるめんどくさいサウナーと化していた。
ほかの検索結果は、謎の日サロと、町田と池袋のラブホ。夫とラブホに行くべきなのか、真剣に悩みもした。まあ、サウナだけして帰る姿が容易に想像できるが。
なお、当時北千住のタカラ湯は、女湯のサ活でセルフロウリュがちゃんと登録されておらず、知ったのは2020年3月の話。
残る期待できる場所は、イベント系テントサウナだけだった。
当時は、とにかくイベントを逃したら東京の女性はあの深みのあるロウリュ音が聴けない、と思っていたから、ロウリュできるイベントのチケットは全て取る!と心に誓っていた。
このころの私たち夫婦は、料理しながらオーブンを開けて「あっ、サウナ……」とか、熱いフライパンに水かけて「あっ、ロウリュ……」とか言っていて。
さらにフィンランドのホテルで録ったこの映像を何度も再生しては、「ああッ……」とか言っていた。本当にヤバかったと思う。
● ツカノマノスゴイサウナ
2019年12月中旬。
サウナイキタイの"東京/女性/セルフロウリュ"検索で出てきた謎の「ツカノマノスゴイサウナ」。公式サイトを見ても、説明がなさすぎていまいちよくわからない。
どうやらテントサウナらしい、ということだけはわかったので、やたら埋まっている予約から隙間を見つけて、チケットを買った。
渋谷の隣、神泉の不思議なビルの屋上は、埼玉をフィーチャーしたサウナだった。
屋上にあやしい煙が……。
その屋上。ここは、このカクッとした電気も、ナラの木も、長瀞のロウリュ用の水も、全部埼玉産。中心のテントサウナは、フィンランドのsavotta。期待高まる。
フィンランド以来のセルフロウリュに大興奮。そう、求めていたのはこの音、この熱気だよ!!
ビルとビルの間に浮かぶ飛行機をみながら、ぐるぐるしていた。ああ、実に素晴らしい。東京の野外サウナにしかできない楽しさだ……。
冷たい夜風に当たりながら、私たちはスオメンリンナ島のテントサウナを思い出していた。
その後、ツカノマには知人たちを連れて、2020年2月にリピート。今でも大好きなサウナだ。
しかしここは取り壊し直前のビルの屋上にできた期間限定。春にはビルもろとも消え去った。
セルフロウリュできるサウナが、ひとつ消えた。
● スカイツリー「サ道」サウナ
2019年クリスマス・イヴ。
「ツカノマノスゴイサウナ」でスゴイサウナを体験した私たちは、日本のサウナイベントすごいぞ状態だった。ゆえに絶大な期待を抱きながら、「サ道」コラボ・スカイツリーサウナの激しいチケット争奪戦を、発売と同時に執念でゲット。
ここのストーブはまさかの電気。しかも壁面はたいして丈夫でもなさそうな、ごくふつうのビニールで、こんなんでいいんだ!と目からウロコだった。
「サ道」コラボ、スカイツリーサウナはTTNE監修
ジュワアァァァァ。ロウリュの音も申し分ない、フィンランドの音だ。我々は夢を語り出す。
「サウナ部屋作るのは大変だけど、ベランダでテントサウナすればよくない?うまくやれば部屋の中でも使えるんじゃない? このmisaってサウナストーブ、確か南阿佐ヶ谷にショールームがあったとこだよ、そのうち行ってみようよ。」
セルフロウリュを調べすぎるあまり、すでにサウナストーブ会社の存在は把握していた。まだサウナにハマって1ヶ月である。
正直スカイツリーサウナは、サウナ室は隙間多くてすぐ冷めるわ、rentoのプラスチックバケツはかっこいいけど持ちにくいわ、椅子はかっこつけてて座りにくいわ、ととのい椅子も同様に使いにくいわ、OK google熱波師は全然機能しないわ、室内ととのい部屋要らないわ、外の広場のイベントが騒がしいわ、チケットも高すぎるわ、などなど、多々思うところだらけだったけれど。
(比較対象がフィンランドとツカノマしかない時だったため、非常にうるさかった)
それでも、冷たすぎてきもちいい水風呂と、このととのい椅子からの景色が非常によかった。あと、欧米か?くらいのサービスの雑さ、受付の兄ちゃんのテンション低めなゆるさも。
何よりTTNEのおかげで、サウナ設置方法の選択肢が増えた。感謝してる。
こちらも期間限定サウナ。セルフロウリュできるサウナは、サンタと共に去った。
● ニューヨークサウナと、再びフィンランドサウナ
2020年1月。
アーティストである友人のショウを観に単身NYCヘと飛んだ。当然NYCのサウナも調べていた私は、ウォール街のロシアンサウナへ。
往路は溜まったマイルで支払ったため、復路だけ別で取る必要があった。そこで出逢ってしまった禁断のトランジット。「フィンランドで7時間待ち!? サウナ行けるじゃん!!」迷わず大西洋経由での帰国ルートを購入。
結果、サウナのために、地球を一周。3ヶ月で2回フィンランド。サウナのためなら人はここまで極端になれる。
大西洋上空で流れ星をいくつも見た。サウナ旅行は宇宙旅行にもなった。
これらについてはくわしーく書きたいから、またいずれ……。人生の情報が多すぎてアウトプットが追いつかない。
NYCでも、ロウリュは基本だった。もう絶対サウナはロウリュだ。サウナストーブへの思いはさらに募る。
● 真冬の滝壺ダイブ、三重県「サ滝」
2020年2月。
三重県でサウナのあと、滝に打たれる仕事が入った。
事の起こりは少し戻って2019年12月中旬。三重県・飛雪の滝キャンプ場がTwitterでライター募集をしていた。「テントサウナをして滝にダイブしませんか? アマチュアレポライターを選考でご招待。」
セルフロウリュしか頭にない私は、サウナ歴1ヶ月にも関わらず勢いで応募。うれしいことに、担当者にnoteのフィンランドサウナ旅行記をおもしろがってもらえ、まさかの合格。2つの記事を書き上げた。
オフィシャルの方と、
ウラバナシ。
サ滝は、すごく大好きなサウナのひとつ。一見エクストリームなことをやっているにも関わらず、あくまで自然と調和しているところが、フィンランドでの穏やかなサウナの楽しみ方そのものだったから。
ついに仕事でサウナに行くようになった。もうそろそろ、自宅サウナのあるサウナライターにでもなった方がいいんじゃないの。調子に乗りはじめる。
● 夢の入り口、サウナのショールーム
2020年3月上旬。
コロナによる不穏な空気がじわじわ漂いはじめたころ。意を決してサウナストーブを扱っている築地のと南阿佐ヶ谷の、それぞれのショールームへ。
泉興産のサウナ。我々のために暖めてくれていて、オフィスでロウリュした。
比較した結果、泉興産をすっかり気に入って「いつか買いたいね」と話した。そう、この時点ではまだ「いつか」である。
なお、泉興産への思いは、熱が入りすぎてめちゃくちゃ長くなったので次のnoteに挟む予定……。
ダイジェスト的に言うと、フィンランド製のサウナストーブは至高すぎた。なによりロウリュの音が違った!!!
実は冒頭で書いたタカラ湯のことや、2020年夏に錦糸町の黄金湯(女湯のみ)、東向島の寺島浴場へと新たに設置されたことも、泉興産から教えてもらった。
ほか、ふらりとはいけないが、高級フィンランド路線な埼玉のオーパークおごせや、静岡の高級旅館おちあいろうなどにある、気ままにセルフロウリュできる施設は、だいたいが泉興産のサウナだ。(おちあいろうはTTNEがサウナの監修をしているけれど、そもそもTTNEが泉興産の顧客……)
なお、泉興産のストーブがある場所はここに一覧が出ているので、地方住みの方でセルフロウリュに飢えてる人は、行けるところがないか調べてみて。
ちなみに泉興産も仲介してる業者があるため、すべてを把握しているわけではないらしい。上記に載ってないところでも、セルフロウリュできるストーブがあり、misaのロゴがあれば100%泉興産。もし見つけたらムロタまで。
● 川とサウナ
2020年3月下旬。
秩父でのプライベートイベント「川とサウナ」へ。
これは、あまりにもTwitterで私が「セルフロウリュロウリュ……」とうるさくしていたのを、見かねたフォロワーさんがお声かけしてくれたのだった。
実はこのイベントに呼ばれたとき、最もうれしかったのが「いろんなテントを試せるぞ!」だった。すでに泉興産に行った我々は、どのテントサウナがいいのかへと話がシフトしていたから。1枚目奥がMORZH(モルジュ)、手前がmobiba(モビバ)。
買うならMORZHだと思った。かなり熱も保てるし、何よりデザインがいい。
「川とサウナ」には、結構たくさんの人が来ていて、みんなサウナに入っては次々と川へ入水していった。3月の気候と川。とても気持ちがいい1日だった。
こういういろんな人との交流を、遠征してやるのもいいけれど、やっぱり家で気楽にできたら幸せだよね……。
そんな風に思っていたころだった。
● コロナ禍とサウナ閉鎖、そしてサウナストーブ購入へ
2020年4月。
次第にセルフロウリュできないサウナにも慣れてきて、ニューウィングのレディースデーにも一人で赴いたりするほどには、すっかりサウナは習慣となっていた。が、事態は急展開を迎える。
コロナ禍による、サウナ施設の閉鎖。
無論、近所の銭湯も例外ではなかった。我々のサウナ欲は、すぐに限界を迎えた。加湿器で浴室を湿度でいっぱいにし、風呂でなんちゃって自宅サウナをしてみるも、こんなんじゃ勃たねえよ状態。
湿度が充満した浴槽で呼吸する私。もはや禁断症状。
極限状態の我々は、「もう、買おうよ」「うん、買うしかないね」と、勢いあまって電気ストーブを泉興産に注文。同時にロシアからテントも購入。
5月中旬。
情勢の都合で予定よりやや遅れたものの、無事フィンランドからストーブ到着。
そして6月半ば。
電気工事を終えたその日から、新たな暮らしがスタートしたのだった。
毎 日 ロ ウ リ ュ ♡
ジュワァァァアァアァ。
次章、泉興産への愛。
そして最終章にて、かかった費用から電気工事、設置方法まで、条件さえ揃えばすぐにでも設置できる、我が家のサウナ設置マニュアルを大公開。
そんな3部構成の予定。乞う、ご期待。