20241128
ボブさんが亡くなってしまった。
朝起きてTwitterを開くと、飛び込んだ訃報。
訃報はいつだって、思わぬ方向から飛び込んでくる。
まさか、ボブさんが。
正直、まだ悲しみを受け止められていない。
悲しみの前にある何とも言えない無の感情。
そして困惑。え?もうあのドラムを聴くことができないってこと?は?ふざけんな。
ペトロールズは、2015年に初めて観た野音でのライブで脳天ぶち抜かれてから、この9年間のあいだ、足繁くライブに足を運んだバンドの1組だ。
あの時の私はまだ20歳。
ペトロールズは、ちょっとおませでお洒落で背伸びしながら聴いてる自分に酔いしれされてくれるというか。
それでいて3人が織り成すアンサンブルの爆発力に、言葉にできないくらい興奮したり。
20歳の若造が夢中になるには、あまりにもできすぎたバンドだった。
それからというもの、彼らのライブが決まれば忙しくても足を運び、CDが出れば買っていた。当時買ったグッズのTシャツは、今でも愛用している。
ボブさんの刻んだビートが、今も耳に残っている。
難解なペトロールズの音楽を、後ろでリズムをキープして支えていたボブさん。
時にMCで武田鉄矢のモノマネをして会場を笑わせたボブさん。
ライブのMC中に醸し出すダンディな雰囲気と声が好きだった。3人ならではのグルーヴが、MCの時もあったと思う。いつだって自然体で、1度演奏が始まると、人が変わったようにめちゃくちゃ格好良くて。
そうか。あのドラムはもう聴けないのか。
書いていたら泣きそうだよ、ボブさん。
最後に観たのは今年の3月のZepp DiverCityだった。まさかあれが、最後になってしまうなんて。
これからも定期的にツアーをやってくれるだろうが、また何年後かにタイミングが合ったら行こうと、のんびり構えていた自分に蹴りを入れたい気分だ。
別れはあまりにも唐突。
せめて心の準備くらいさせて欲しかったな。
ペトロールズは、色んな場所で観た。
特に中野サンプラザで観たときは、前から2列目だった。新木場のSTUDIO COASTでは何度も観た。グッズの事前販売の列に並んでたら、ちょうど私の前で終了してしまったのも、今となっては良い思い出。
あとはどこで観たかな。恵比寿LIQUIDROOMでもみたし、Zepp Tokyoでもイベントで観たっけ。
数え切れないが、少なくとも10回は観たと思う。
今後残り2人のメンバーが、どのように活動していくのか、現時点ではわからないが、どのような形になっても、私はボブさんがいた頃のペトロールズを、ずっと忘れない。
たくさんの素敵な胸打つドラムをありがとう、ボブさん。寂しいよ。
奇しくも今日行ったイベントは、ドラマー・石若駿と映画監督・今泉力哉によるトーク&ライブだった。
彼らがボブさんと交流があったのかはわからない。
でも、私の好きなドラマーが別の世界に行った日に、また違ったジャンルの好きなドラマーの演奏を聴くというは不思議な偶然だ。
都営新宿線の小川町駅を降りてすぐの所にあるPOLARISという会場で、間近で石若駿のソロ・ドラム・プレイを堪能した。もう凄まじかった。今泉監督が「本当に手足4つなの?」と言っていたが、もう本当にその通りで。ものすごいプレイだった。
ものすごいと言っても、過度にアクションを起こしたり髪を振り乱したりすることなく、あくまでも冷静に、場の空気を読みながら軽い棒を持つような手さばきで華麗なテクニックを駆使してくるから凄い。
今泉監督とのトークでは、今やくるりや椎名林檎の名ドラマーとして名を馳せ、引っ張りだこになった今でも、「自分は本当にドラマーなのだろうか?」とか「トレンドに追いつけない自分に落ち込む時もあった」とか、悩んでいるという話を聞いて、めちゃくちゃ誠実な人なんだな、と思った。
その誠実さがドラミングにも表れているから、無意識で彼のビートを求めてしまうんだろうな、とも。
最後にはピアノも披露してくれて、トークと合わせて3時間のイベントは、大ボリュームで幕を閉じた。
色んな悲しみが降り掛かってきても、僕たちは進んでいかないといけないし、進まざるを得ない状況が、私を救ってくれているんだなと思う。
明日以降も詰まっている予定に感謝しつつ、これからも生きていかなくちゃ、ね。