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ブスに彼氏が居ちゃダメですかepisode10

告白

私は1度だけ彼氏と別れようとした事があった。
それは、彼氏がイジメられていた時。

同じクラスの男子から告白されたのだ。
その男子は、中学2年生の間学校に来ていなかった。3年になり、また登校してくるようになって私の隣の席だった。
無口であんまり笑わなくて、ちょっと怖い印象だったけど、だんだん仲良くなると笑顔も見せてくれるし冗談を言えるくらいになった。
私に彼氏がいること知らなかったのか。
知ってるうえで告白してきたのか。
メールで告白されて、私は親友に相談した。
友だちは、「私はCくんの方がいいと思う。だって、Bくんすごいイジメられてるじゃん。」
私のことも可哀想で見てられないと言っていた。

確かに辛かった。
無視されるの見てるのも、強がって笑ってるのも。

私はCくんの告白を受けることにした。
メールでした返事に、Cくんはとても喜んでいた。

その頃には彼氏との連絡もケータイになっていた。
そして、その夜。
私は彼氏に電話した。

「ごめん、別れてほしい。」
なんで、と聞かれたので好きな人が出来たからと話すと、彼氏の声色は一変した。
「お前…明日学校来んな!!」
そう言われて、電話を切られた。
かけ直しても全然出てくれない。彼氏は短気な部分があるから、なにをするか分からず考えただけで怖くなり眠れなかった。
学校に来るなと言われても、行かない訳にはいかない。
そっと開けた教室のドアから、彼氏の席を見る。まだ登校していないようだ。
チャイムがなり終わる頃、教室のドアが勢いよく開いた。
彼氏は、自分の席に向かい椅子を乱暴に引いてどかっと座った。ずっと睨んでいる。
これが、日々イジメられてる人とは思えない態度だった。
1時間目は理科だった。
理科室に移動するのだけれど、移動してからも彼氏の態度は変わらなかった。
担当の先生のことを睨みつけ、注意されると
「うるせえ、黙ってろ!」と叫び出した。
先生は彼氏の首の後ろの襟を掴み、理科室から引きずり出してしまった。
それっきり、戻ってくることはなかった。
先生と彼氏が居なくなった理科室では
あちらこちらから、ヤバいんじゃないという声が上がった。

私が別れようって言ったから、こんなことになってしまった。教室に戻ると、彼氏は自分の席に座っていた。だいぶ暴れたことが分かるくらい制服は崩れていた。
私は彼氏に手紙を書いた。
『別れようって言ってごめん。やっぱり付き合おう』と。
最初は鋭い目付きでいた彼氏だったが、だんだんと普段の彼氏に戻っていくのがわかった。

私はその夜。
C君にメールを送った。
『ごめんなさい。やっぱり付き合えない』
C君からの返事は、たった一言だった。
なんて書いてあったか思い出せないけど、厳しい一言だったのは覚えてる。

彼氏はその事件の後から、少しずつ友だちと話せるようになったのだ。中学生なんて残酷だから、面白いことを起こせば誰かが寄ってくる。

それから私は、C君とは一言も話せなくなってそのまま卒業することになった。

私たちはまた、何事も無かったかのように恋人に戻っていた。


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