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ブスに彼氏が居ちゃダメですかepisode12

卒業のとき

私たちは本当に別れた。

別れた後も私の日々は特に変わることはなかった。

球技大会の時は、同じグループの子たちで卓球を選んだ。バレーやサッカーの場所にはクラスのみんなが応援に行き、円陣を組んだりして盛り上がっている。私たちのところには、誰も応援になど来ない。ほかのクラスにはちゃんと応援がいたので、点数を取っても喜んでくれるクラスメイトの居ない私たちは何とも惨めな思いをしながら試合を進めた。


文化祭では、私たちのクラスはうどん屋をやることになった。
クラス代表で2名が実行委員にならないといけないのだが、担任はあろうことか私と友だちを指名して吊るしあげたのだ。
バカにされている地味な底辺の奴が前に出たところで、誰も喜ばないし刺さる視線が増えるだけだった。
案の定、前に立たされ浮いていた。
それでも、どうにか決まったうどん屋だったが、頂点にいるキラキラ女子はみんなホールスタッフを希望した。学校の制服に可愛いエプロンをつけて頭に大きなリボンを乗せて、キャピキャピしながら接客をしていた。
表舞台に立てない私たちグループは、どデカい鍋に並々に入れられた熱湯の前に立ち、注文が入った数のうどんを鍋に放り込みひっきりなしに来るうどんのオーダーと汗だくになりながら戦っていた。
最後の集合写真では、キラキラ女子の輝く笑顔とは正反対の、汗だくで髪はボサボサ、顔も真っ赤になり、仕事終わりの疲れた顔の数名が死んだように写っている。


元彼は、卒業までの高校生活も楽しそうだった。
最後までみんなの中心に居て、彼女だってひっきりなしに居たような感じだった。
廊下ですれ違っても目も合わなかった。

私の方は、高校卒業するまでに話した男子の数は、一桁で収まるくらいしか居なかった。
卒業文集で、クラス一人一人に向けて一言書く時も、男子全員『ありがとうございました。』で済ませた。
どうせ私へのメッセージなんて、たいして書くこともないだろうと思って読んでみると、一言も話したことのない人から『笑顔が明るかったよ』や『字がキレイだったよ』など、思ってもみなかった言葉が贈られていて、真っ黒だと思っていた高校生活が少しだけ浄化されたような気がした。

元彼は大学へ。
私はフリーターになった。

最後の最後まで言葉を交わすことなく、2人は本当に別々の道を歩き出した。



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