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眺める香る、それからいただく。五感が喜ぶ至高のパン|MAU PAN
こんにちは!東村山編集室 地域ライターの、みなみです。
「東村山市で子育てするってどんな感じ?」という疑問にお答えすべく、家族で楽しめるイベントやお店、人など【家族でたのしむらやま】をお届けします。
まるで代官山や自由が丘から瞬間移動してきたかのような、おしゃれな雰囲気が漂うパン屋さん「MAU PAN」。(以下、まうパン)
おしゃれなのは外観だけではありません。その扉を開けるとピスタチオやドライトマト、クリームチーズなど好奇心をくすぐる食材を使った可愛いパンたちが顔を揃えます。
今回は、「まうパン」を営む馬場裕樹さんとあすかさんご夫婦に、お店づくりのこだわりや地域の人から愛されるその理由をお聞きしました。
地域に愛されるパン屋、まうパンの始まり
まうパンがオープンしたのは、2019年9月。ご夫婦がともに東村山市出身だったことから、この地に出店を決めました。
高校卒業後、それぞれ別の調理・製菓の専門学校で食の技術を学び、知識を深めたお二人。その後、あすかさんはカフェスタッフ、裕樹さんは都内のホテルでパティシエとして勤務します。やがて裕樹さんはベーカリー部門に異動して、本格的にパン作りの世界に打ち込むようになりました。
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ホテル業界からパン屋として独立したのは、「自分の理想とするパンを、ひとつひとつ丁寧に作り、それを自分の店で直接お客様に届けたい」という思いがあったそうです。
思い悩んだ末に、ホテルでの忙しい日々からの独立を決意。しかし、ちょうどその時期にあすかさんの妊娠が分かります。
あすかさん:
「もちろん、家族として全力で応援したい気持ちはありました。でも、出産と開店の時期が重なり、お店もお腹の子もちゃんと守れるのか、正直不安も大きかったです。それでも、その時はただ前を向いて、できることを一つずつやるしかないと、必死に進んでいました。がむしゃらでしたね(笑)」
あすかさんは、当時の複雑な心境を笑顔で教えてくれました。
地元食材と手作りに込める、美味しさのこだわり
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開業から5年が経った今、昼時になると店の外まで行列ができることも多い、まうパン。
人気の理由の一つが、東村山市の地場食材を使った素材とモッチモチのパン生地です。
「体に優しいものを使い、できるだけ自分たちの手で作ったパンをお渡ししたい」という思いから、惣菜パンに使うソースからマシュマロなどのお菓子まで、可能な限り自家製にこだわっています。
裕樹さん:
「地元の農家さんから直接仕入れたり、JAで旬の食材を選んだり、地産地消を心がけています。素材が良いので、具材は大きくカット。ゴロゴロとした食感を楽しんでもらっています」
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また、パン生地には創業当初から続くこだわりがあります。裕樹さんによると、「パン生地には水分を多めに含ませ、発酵時間を長く取ることで、もちもちした食感と消化の良さを実現している」とのこと。
一般的なパンメーカーとは異なり、自然な製法にこだわることで、まうパン独自の食感を生み出しているのです。
トングとトレーはあえて置かない。それが親子で通える理由
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まうパンがあるのは、八坂小学校の向かい側。周囲には大きな団地や保育園があり、地域に住む方々の生活が息づく場所です。お店には、抱っこ紐で赤ちゃんを抱えたママや、小さな子の手を引くパパの姿も見られます。
扉を開けた子どもたちが、目を輝かせながら駆け寄るのが、子ども用のいすとテーブルです。
そこには、らくがき帳や折り紙が置かれていて、ちびっこたちの「遊びたい!」というワクワクをかき立てます。
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あすかさん:
「親御さんがゆっくりとパンを選べるように『こどもつくえ』を置いています。お店に来た子はみんな、真っ先にそこに座りますね。中には『まだ帰りたくない!』と泣く子もいるくらいです」
こうした親子連れへの気遣いがあるのも、3人の子を持つご夫婦ならではです。
きっかけは、家族旅行先の京都で人気のパン屋さんを訪れたときのこと。トングとトレーをめぐって子どもたちの奪い合いが勃発し、大人が制すると大泣きして収拾がつかなかった出来事が頭に残っていたそうです。
裕樹さん:
「パン屋さんに行くと、必ず“トングとトレー戦争”が始まる我が家。そのため、お店ではスタッフがパンを取るスタイルにしました。小さな子を連れているとパン屋さんに行きたくても足が遠のいてしまうパパやママの気持ちはよく分かります」
ご夫婦の経験や工夫が、店内の随所にちりばめられています。
常連が愛する、変わらない“いつもの食事パン”
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まうパンを支えているのは、常連さんをはじめとする地域の方々。
季節に応じて変わる日替わりパンのほかに、どんな日でも変わらず並んでいるのが、「まうパン」「ロデヴ」などの「いつもの食事パン」です。常連さんが変わらない日常を楽しめるよう、看板商品として作り続けています。
足繁く通っていた常連さんの中には、いつしかスタッフとして働き始めた方もいるそうです。
あすかさん:
「その方から『東村山でパン屋さんをしてくれてありがとう』と言われた時は、本当に嬉しくって。今でも大切にしている宝物のような言葉です」
こうした地域の方々との繋がりの中で、裕樹さんも東村山の新しい魅力に気づかされたそうです。
裕樹さん:
「これまで『東村山には何があるの?』と聞かれても、答えに困ることがありました。でも、お店を開いてから自然に地域の方と交流が生まれ、知り合いや友人が何倍にも増えて…。皆さんの思いや力強さを間近で感じることで、東村山の魅力は"人“だと思うようになりました」
たしかに、地元について多くを語れる人は少ないのかもしれません。きっと地域に根ざして暮らし、日々の活動を重ねることで、新たな魅力や深みが見えてくるのです。
夫婦で育む、地域に寄り添うお店づくり
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最後に、お店への思い、そしてまうパンのこれからについて裕樹さんとあすかさんからメッセージをいただきました。
あすかさん:
「日々、どうすればお客様が喜んでくれるかを考え、答えを探し続けています。ラインナップやイベントへの出店に悩むこともありますが、お店をオープンしてよかったと思えるのは、お客様とのつながりや地域の方々、頼もしいスタッフがいるから。
夫婦で相談しながらお店を育てることが本当に楽しくて、今では私にとって大切な時間になっています。お店を開こうと決意してくれた夫に、心から感謝しています」
裕樹さん:
「パン屋として私にできるのは、東村山の食材を使いながら、この街の良さをパンを通して伝えることだと思っています。5年後、10年後もお店を続けられるよう、お客様の声を聞きながら焼き菓子や食事パンなども少しずつ増やせたらと模索中です。気持ちや方向が変わることもあるかもしれませんが、それもまうパンの“らしさ”として、これからもどうぞよろしくお願いします」
今回は、「まうパン」を経営する馬場さんご夫婦のお話を伺いました。おしゃれで可愛らしい店構えに、地域の方や子どもたちへの温かな気遣いが感じられる店内。
そして何より、パン職人としてひたむきに情熱を注ぐ裕樹さんと、家族を支えながらお店の顔として明るい笑顔を絶やさないあすかさんが印象的でした。
これからも、東村山の推しパン屋さん「まうパン」を応援しています。