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ほとんどの音は揺らいでいる、という話

そういえば昔「1/fゆらぎの音楽」というのがブームになったのを思いだしました。せっかくですので音について。ほとんどの音は実は揺らいでるのです、という話。

音というのは、実際には様々な高さ(周波数)の音が鳴っています。
周波数とは「1秒間に何回振動するか」というのを数値化したもので、「Hz(ヘルツ)」で表します。
時報や試験放送時のカラーバーのバックで聞かれる「ピー」という音は1000Hz(1キロヘルツ)。テレビ関係の人は「ワンケー」「テストトーン」と呼んでいます。

これはたったひとつの高さの音しか出ていませんが、楽器の場合はこの一つの高さの音(基本になる音=基音)に「第2倍音(振動数が基音の2倍)、第3倍音(振動数が基音の3倍)・・・」と倍音が加わっています。この「基音から整数倍の振動数の音」のことを「整数次倍音」といいます。

文字で読んでも「なんのこっちゃ」ですけど、これを視覚化してみると基音と倍音の並びがキレイなのがよく分かります。

・ハープ(C3の音)

しかし実は、楽器にしろ声にしろ整数次倍音のみが鳴っている訳ではなく、様々な高さの音も同時に出ています。これを「非整数次倍音」といいます。

非整数次倍音は、楽器の音に独特の風合いや味わいをもたらしています。尺八やフルート低音域の「シュオーー」という息の音が非整数次倍音といえば分かりやすいでしょう。
「音の出だしは非整数次倍音で注意を引き、ロングトーンは整数次倍音で心に訴えかける」という離れ技を無意識でやっている歌手もいます。「なんかすごく心に残る歌声だなぁ」と思ったら実はこういうことでした、という場合が往々にしてあるのです。

教会の鐘の音、個人的に「キレイな音だな」と思うんですが、目で見るとこのように色々な高さの音が鳴っているのです。

鳥のさえずりも安らぎますが、このような状態。

美しい音は波形も複雑すぎず規則性があったりしておおむね美しいことが多いのですが、そうではない場合も多いのです。こうなるともう「どの高さがどれくらいの塩梅か」と言うしかないかもしれません。また、その音を聞く環境(反響音の有無、広さ、湿度、精神状態や体調など)によって音の認知も変わってきます。

しかしながら、すべての高さの音が同時に鳴ると「ホワイトノイズ」というものになります。昭和の時代、深夜の放送終了後のテレビをつけるとこの音が聞こえてきました。これを「美しい音」と思う人はあんまり居ないでしょうね。

ホワイトノイズ

最後に、今はなきうちの猫の声の波形もどうぞ。めっちゃ癒されます😭