愛しのトゥーツ・シールマンス
トゥーツ・シールマンス。
高校生の時にNHK-FMのクロスオーバー・イレブンで『Velas』を聴いて、曲も去ることながらそのハーモニカの音に魅了されました。
ハーモニカって、小学校の音楽の授業で有無を言わせず持たされたけど大して面白くも無かった楽器、みたいな印象しかありませんでしたけど、トゥーツの奏でるクロマティック・ハーモニカの音を聴いて世界が変わりましたね。
トゥーツ・シールマンスは1940年代にギタリストとしてデビューするもそのうちハーモニカがメインに。
テレビ番組『セサミ・ストリート』のハーモニカソロを担当しその音はお茶の間に浸透。
今や定番となった「口笛+ギター」の音は、トゥーツのトレードマークでもあります。
80年代後半、トゥーツ・シールマンス、クインシー・ジョーンズ、サラ・ヴォーン、アジムス、スティーヴィー・ワンダー・・・この辺りの大御所が一緒にライブやったり曲作ったり。こういうのを聴いて得も言われぬ憧憬の念を抱きながら大人になったのでした。
「ハーモニカ片手にどこへでも」と言える身軽さから、シールマンスさんは実に様々なアーティストと共演しました。印象的なナンバーをいくつかご紹介。
90年代初めには『Brazil Project』というアルバムを2枚リリース。
イヴァン・リンス、ミルトン・ナシメントなどブラジル音楽の大御所たちが集まりました。今もこの2枚は宝物なのです。
ちなみに94年の『East Coast, West Coast』というアルバムには、ライル・メイズが数曲ピアノで参加しています。何故かこのアルバムはSpotifyに無いんですよね。
1曲目『Naima』の動画がありました。
こちらは2012年、90歳の時のライヴ。車椅子に座ってなお以前と変わらぬ音を奏でる。これを観ていると、色々な想いがこみ上げて来ます。
この2年後に音楽活動を引退、そして更にその2年後に亡くなりました。
1997年と2006年に、Blue Note東京にライブ聴きに行きましたよ。始終嬉しそうに顔をくしゃくしゃにしながら愛おしそうにハーモニカを吹くあの姿が目に焼き付いてます。