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図形楽譜の愉しみ

従来の「五線上に音符を乗せる」楽譜ではなく、記号や絵などを駆使して描かれた楽譜を「図形楽譜」といいます。
1950年にアメリカの作曲家モートン・フェルドマンによって考案されました。
1950年代初めに不確定性の音楽 (チャンス・オペレーション)を考案したジョン・ケージが愛用し、他のゲンオン作曲家もこぞって用いるようになりました。

John Cage『易の音楽(Music of Changes)』(1951)

従来の楽譜ではなんとも書きづらい「間」とか「タイミング」などをより感覚的に書くことができます。奏者が解読するのが大変というのはありますけども。
アート作品的なものも多く、絵葉書や切手にもなっているようです。

ネウマ譜も、今の感覚で見ると図形楽譜っぽいですね。

引用:https://diamond.jp/articles/-/182345

▼図形楽譜の創始者、モートン・フェルドマンの『Projection』(1950–1951)

▼Xenakis『Pithoprakta』(1955ー1956)
見たまんまで音が鳴っているのでDAWのピアノロールっぽいです。

引用:https://www.iannis-xenakis.org/en/stochastic-music/

▼Ligeti『Artikulation(1958)
これもピアノロールに近いですね。
この音、60〜70年代のアニメやCM、クイズ番組などでよく聞いた覚えがあります。そのせいで「電子音楽の原体験」になってます。

引用:https://blog.overkast.jp/2012/01/graphic_notation/

▼武満徹『弦楽器のためのコロナII』(1962)

引用:https://blog.goo.ne.jp/ablerail1007/e/4f9509436772ff1650743d9b1a2f5021

▼有名なハチャトゥリアンの『剣の舞』を図形楽譜化するとこうなるそうです。

おまけ:佐村河内守さんがゴーストライターである作曲家・新垣隆さんに渡した「作曲の指示書」
これも図形楽譜と言っていいでしょう。

引用:https://www.huffingtonpost.jp/2014/02/05/ghost-writer_n_4734967.html