見出し画像

音楽の原体験はムード音楽

自分の音楽の原体験はムード音楽です。

マントヴァーニ、ベルト・ケンプフェルト、101ストリングス、チャーリー・バード、メラクリーノ、フランク・チャックスフィールド、バート・バカラック、ジョージ・シアリング、フランシス・レイ・・・(よくスーパーなどの廉価CDコーナーで投げ売りされてるアレですよ!)

子どもの頃、アーケードやデパートや銀行なんかでかかってました。今もたまに流れていることはありますがレアですね。

ムード音楽とは、商業施設や工場などで流れるBGM(バックグラウンドミュージック)。1934年にアメリカで設立されたMuzak社が始祖と言っていいでしょう。
エレベーター・ミュージック、イージーリスニング、時にラブ・サウンズなどとも呼ばれています。

1934年に家庭市場がラジオに侵食されると、会社の焦点を商業顧客に音楽を届けることに変更しました。
コダックが商標として使用した造語に興味をそそられた彼は、それを「音楽」と組み合わせてミューザックという言葉を作り、それが会社の新しい名前になりました。

1937年、ミューザックはワーナー・ブラザース社によってノース・アメリカン・カンパニーから買収され、他の都市にも事業を拡大しました。それを購入したのは、ミューザックを理髪店や診療所などの新しい市場に導入したいと考えていた起業家ウィリアム・ベントンでした。
ミューザックは当初、1930年代後半から 1940年代のトップ演奏家による何万ものオリジナル アーティストの録音を制作していましたが、彼らの新しい戦略では異なるサウンドが必要でした。

出典:Wikipedia:Muzak

50年代に入り、Muzakは工場や会社の生産性向上を目的とした音楽提供を始めました。
ほとんどオーケストラ(「楽団」と呼ぶほうがしっくり来る)により演奏・録音されたオリジナル曲、及びスタンダード曲や映画音楽です。

60年代以降はロックやブラックミュージックなどの台頭により人気は低迷しましたが、ミューザックも幅広いジャンルの音楽を録音し巻き返しを図ります。
そして沢山のショッピングモールや航空会社、歯科医院などの公共施設で流れることとなりました。

日本でもこの辺りからよく耳にするようになり、ちょっとしたブームになりました。
余談ですが、60〜70年代に出版されたエレクトーン曲のレパートリーはほとんど「イージーリスニング」で占められています。
現在50代以降の「昔エレクトーンやってました」という方々は間違いなく「シバの女王」とか「男と女」とか弾いたことあると思います。

ちなみに、日本で一番有名な楽団は「♪ちゃらららららー(オリーブの首飾り)」のポール・モーリアですかね。

色んなジャンルの音楽を聴いてきましたが久しぶりにこの手の音楽を聴くと、「あーやっぱりこういうの心底好きだなぁ」って思います。

ついでに。
昔、1時間こういうのばっかり流していた『キューピーバックグラウンドミュージック』というAMラジオの番組がありました。
小学生の頃、毎週日曜の朝10時から一時間、お小遣い貯めて買ったラジカセでテープに録音してました。ミシェル・ルグランやジョビンの音楽を知ったのもこの番組。
15分ごとに入るCMの語りが心地よかったです。

その頃、図書館でずばり『ムード音楽』という本を読んで、これ欲しい!って思ったんですけど、ようやく古本屋で手に入れたのはそれから20年後でした。

今やこの本で紹介されている楽団指揮者や作曲家のほとんどが故人となっており、時の流れを突きつけられる思いです。

高校の頃(80年代後半)、NHKのAMラジオで「おやすみの前に」というムード音楽をメインに流す番組を聴いていました。これもカセットテープに録音してまして、今もまだいくつか持ってます。
↓このテーマ曲を聴くと懐かしくて痺れます。

数多くの曲がありますが、中でも何度聴いたか分からないくらい大好きな曲は『ローラ』。
色んな楽団がアレンジ・演奏していますが、一番最初に聞いたこのパーシー・フェイスのが一番好きです。

これも大好きですね。
「ムード音楽の演奏を聴いてから原曲を聴いた」というパターンが多く、その場合はやはり「やっぱ原曲よりこっちが好きかも♪」となってしまうのは致し方なく。

ところで、「Muzak」ブランドは1981年より移転や買収を繰り返した後に2011年に消滅しました。
一番その経営を支えていたのは日本だったという話もあります。