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変わらないものの良さ
目まぐるしくも忙しく回り続ける世界の中で、変わらずに残り続けるものの良さを感じた瞬間が僕にはあった。
それは19歳の時にボランティア活動に参加した時のこと。
このボランティア活動というものは、NPO法人の『村おこしボランティア』というもので、過疎化が進む島や村へ足を運び、現地の状況や良さを知って自分の周りの人に伝え、その場所に興味を持ってもらおうという内容である。
この活動を知ったきっかけは、姉だった。
僕が参加する半年程前に姉が同じ内容の活動として沖縄へ訪問し、そこで見たものや経験を僕に伝えてくれたのだ。
僕はその時社会人2年目で、なかなか長期の休みが取れない状況であったが、ゴールデンウィークを全期間利用すれば伺える内容を見つけ、、
僕は行く決断をした。
その活動内容は、鹿児島の三島村で5泊6日、第一産業を営む方のお手伝いをするというのがメインの活動である。
三島村とは、硫黄島、竹島、黒島という三つの島から成り立つ村で、僕が訪れたのは硫黄島であった。
硫黄島(いおうとう)というと、「映画にもなってるあの有名な島だよね?」といった質問を度々受けるのだが、実は日本に硫黄島は二つあり、僕が訪れたのは、本当に硫黄が採取できる鹿児島県の硫黄島(いおうじま)だ。
そして出発当日の朝、フェリー乗り場へ向かい搭乗した。この時に初めてボランティア活動をする仲間と対面し、4時間強の航路時間中に、お互いの自己紹介をしたりした。
そして遂に硫黄島に到着した。
まず、上陸して最初に驚いたことは、島民達が音楽(ジャンベ等)を奏でて歓迎してくれたことと、硫黄の成分が常に島から流出しているため、この島の周りだけ海が茶色く濁っていることだった。
島に到着すると、まず世話人と挨拶をした後で、僕達が宿泊する場所と仕事場を案内してくれた。
6日間の主な活動内容は黒毛和牛のお世話であった。
今までの人生で牛肉対して何の感情も無く食していたが、この経験を通して第一産業の方の職について少しだけでも知れたことが僕にとってはすごく良い刺激になった。
それ以外にも、軽トラの荷台に乗って移動したり、田植えや、島の山菜を採取、島の観光、夜はBBQや手作りピザ作り、島民の生演奏と生歌を聴いたりして楽しい日々を過ごした。
特に印象に残った経験が、天然温泉に入りながら素敵な星空を眺めたこと。今でも鮮明に覚えている。
その反面で、島や小さな村だからこその問題点にも触れることができた。それは、島に新しく住む人達への対応や、島の発展についての内容であった。
僕が実際に耳にした内容を明確に書くと、
「最近、新しく島民になった人に対する揶揄」
「コンビニやスーパーの新建設」というものであった。
正直、この問題に対しては、当時の僕にはどうすることも出来なかったが、島民の意見を聴いた時に、とても納得したこともあった。
それは、 『変わらないものの良さ』 であった。
確かに、新しく人が住むことであったり、コンビニ等があれば発展もするであろうし、もっと便利な生活ができるであろう。だが、その反面で今までの島の良さだったものが欠けてしまうのも事実であると知ったのだ。
その時、進化や発展することが全て良いことではないのだと僕は考えさせられたのだ。
段々と便利になっていく世の中だからこそ、不便に対する見方を少し変えれば、こんなにも興味深いこともあるのだと感じた。
人も街も景色も全てが段々と変化していくこの世界で、変わらずにそのままあり続けるものに対して『変わらないものの良さ』というものの意味を大切に持ちつつも、変化していく姿も楽しんでいきたいと思う。