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MURATA TASOGARE -twilight tap- 春

静岡県 沼津市 沼津駅から徒歩15分ほど歩いた住宅の立ち並ぶ中、明治時代から2016年まで続いた元銭湯の吉田温泉は建っていた。
僕はこの場所をインターネットで見つけ、興奮した中、すぐに問い合わせの連絡を入れ、翌週にはその場所を訪れた。

このnoteでは、2024年5月25・26日に吉田温泉でおこなったダンス公演「MURATA TASOGARE」について書きます。

MURATA黄昏のこれから

"MURATA TASOGARE"
は、僕が30歳から始めたソロパフォーマンス公演のタイトルになります。
年に一回ずつ、ほぼ毎年おこなってきた企画でした。最後に開催したのは、
2022年12月にMURATA黄昏42を渋谷エッジで開催。それがあるひとつの区切りを感じていました。

こんな感じのもの↓
https://www.muratamasaki.com/muratatasogare42

それは、30歳から始めた黄昏が12年という、干支を一周したこと、金銭的なこと。様々な理由がコロナなんかと一緒に押し寄せてきた時期だったからだと思います。

40代の自分自身がやりたいこと。

その中のひとつの目標に

"海外で黄昏公演をやっていく"

というものがありました。

その第一歩として、2023年に初めてフランスのアビニョン演劇祭に参加しました。

その一歩は踏み出すことだけで、精一杯でその先の事など何も考えてはいなかったけど、その後2024年オーストラリア🇦🇺、7月にフランス🇫🇷とご縁や経験が次のステップをつくってくれました。


その目標とは、別に東京での黄昏公演は、
「これからどうしていこうか。」
と考えていた中、海外での経験が進むべき道や考えを明確にしていきました。

東京・日本で公演を続けること

今年に入り、MURATA黄昏をまた日本でもやりたいなと考えていく中、やはり今までとは違う価値観や思考が色々と自分の中に生まれています。

その中のひとつには、
劇場やライブハウスというプラットフォームや劇場公演というフォーマットを飛び出してみる。という一つの選択がありました。
海外のフェスティバル見たりする中で、自分が何かに捉われているという印象を受けたりして、あくまで"こうでなければいけない"という考えから逸脱してみることを大切に、僕の中の僕なりの考えで、決めて進めていくようにしました。

"やりたい事をやる"
という自分の中の信念みたいなものが、これまでに蓄積されたアイデアや閃きと、がっちゃんこして、

MURATA TASOGAREを野に放とう。

となったのです。

それは、希望的側面や絶望的側面の両方を持ち合わせている事からの選択でもありました。

でも、必ずそうでなければいけないという思考から解き放たれて物事を決めていくと、自分の中の様々な点が結びついていく感覚があったのです。

文章や言葉にすることがうまくないのですが、この感覚を下手なりに書いていこうと思います。

湯船の中でタップダンス
MURATA黄昏という活動の在り方について

そんな事から新しく自分の中の活動の在り方が、
レゴブロックを組み立てるように、頭の中でどんどんと構築されていきました。

踊り自体もそうですし、活動自体も面白可笑しく、その時のワクワクを楽しみながらやっていきたいと黄昏を始めた時から常に思っているので、そういう広くひっくるめた企画としての"MURATA TASOGARE"は在りたいと思っていました。
それが年月と共に、自由度が増しているのだと感じています。(経済的な事を除いて…涙)

"場"というもののチカラを再認識すること。

"空間"に受け入れてもらうこと。

"主体的体験"であること。

"蓄積"させること。

"今の自分"を出し切ること。

"人の力"を借りること。

"前も見た"を超えていくこと。

"小さな経済圏"を大切にすること。

etc...

僕の中に生まれた様々なキーワードなどの考えを、MURATA TASOGAREを通して具現化していきたい。それがきっと自分の中のワクワクな原動力なのだと思います。

直接的に踊りに関係はしていないものもあるけれど、その関係性は踊りと近くても遠くても間接的には影響しているものだと捉えています。

だから、今年からはそんなキーワードを掛け合わせながら、自分らしいアプローチで、小さくても良いからそんな風に進めていきたいのです。

そして、こういった様々な角度からの事柄をMURATATASOGAREに落とし込みながら、それをうまく運営したり企画するのには、自分だけでは難しい事が沢山出てきていて、こんな事を面白がってくれる様々な分野のプロフェッショナルな人達ともっと出会っていきたいと、最近は凄く思っています。

そんな事を考えていく中…

沼津の吉田温泉に出会うことになりました。

番台に入ったのは初めてでした
吉田温泉でやることになった経緯

吉田温泉を下見させてもらった時。

古い建物が好き。
という僕の好みにどんぴしゃで、とにかく情緒があり、音の反響も素晴らしい場所でした。

そして、オーナーで管理人をしている兼子さんと
沼津という街のお話や吉田温泉という銭湯の歴史やこれからどのようにしていきたいか。僕のパフォーマンスの話や銭湯でやってみたいと思った経緯。
そんなお話が、ここでやりたいという決定的な理由になりました。

特に、銭湯という町の人達の憩いの"場"であり、コミュニケーションをとる"場"でもあったところが、銭湯という形態での役目は終えたけれども、その価値を抽象化して、アートを通して、新たなカタチでのパブリックスペースに変容していく。
みんながアーティスト。プロやアマチュアなどの垣根などなく、表現したい人が表現できるスペースにしていきたい。
そんな想いも話されていて、とても共感をしたのでした。

下見の時の沼津への"ひとり黄昏の旅"
は、知らない街に出会う新鮮さと、よし行こうと自分で決めた少し遠出な行動がとてもよい体験になりました。

東京に住んでいる自分からは、知り合いも誰もいない土地で、イベントをやる。リスクばかりが多いと分かった上で、

「でも、ここでやったら面白いだろうな。」

が、僕の優先順位の1番になっていました。

そんな銭湯でのパフォーマンス。
1人でやるソロパフォーマンスと、この空間に合うだろうなという2組のアーティストをお呼びしました。

ソロとは別に2組のGUESTをお呼びしました

ドラマーの白石美徳さん @yosinori_siraisi
満月カルテットの皆さん @fullmoon_0804

白石美徳 湯船でドラム

音楽性や人間性。どちらも大好きな方々で、吉田温泉に絶対合うだろうなと確信していました。

ソロ以外にやるならば、あの空間でしか出来ない事を考えようと、男湯と女湯で分かれてパフォーマンスをする事にしました。

満月カルテット

天井越しでは繋がっている。
音は聞こえるけど…見えない。

どちらかを見る時、どちらかは見えない。
その"不自由"がそれぞれの想像に働きかける事になる。また瞬間的なものを感じれる事に近づけるのではと。

お客さんが動くという状況の観覧方法は、お客さんにより主体的になってもらえる方法で、所謂イマーシブシアター的であり、体験としてのライブの楽しさが生まれたのでは?と思っています。

"見せる"より"見られている"が強く作用する環境、演奏者も見えない演奏者とコミュニケートする事は、初めての経験になりました。
湯船の中に、タップボードを設置したので、そこの反響の素晴らしさときたら!パフォーマンスの没入感が増して、ずっと踊っていられる感覚に陥っていました。

ただ普通に考えれば、演者のみんなが視覚的にも一緒にいる事が音楽として、ライブとして良いのかもしれませんが、今回このような僕の無茶な発案に乗ってくださったguestのみなさまには、ただただ感謝です。

銭湯全体に鳴り響く音楽と踊り。
ここにもワクワクが潜んでいました。

MURATA TASOGARE -twilight tap-

ソロパフォーマンス「MURATA TASOGARE-twilight tap-」は、約35分のひとりでのパフォーマンス。ぼく自身のこれまでの黄昏の抜粋を再構築した作品です。
前にも見たという方もいるかと思いますが、自分の中の普遍的なものを抜粋しているので、その蓄積を続けて行こうと思っています。

ただ恥ずかしい気持ちもありつつ、それは年齢を重ねていくことで、変わっていく思考も必ずしもあるわけで、自分自身との対話のタネにもなっています。

そことの対比が年月と共に広がる(時間的に)ことは、今の自分の思考を捉えるためにも面白い継続の仕方なのかもなと思っています。

またこう言った作品があることで、新たな物を生み出したいという欲求になり、無理やり新しいを生み出すことの苦手な僕にとってはとても良い基盤なのかもしれません。

これからも、この作品を少しずつ編み直し、縫い直しながら続けていこうと思います。そしてこの作品が”場”のチカラによって大きく変化するさまも僕自身が楽しみながら、毎回黄昏れていきます。


MURATA TASOGARE
twilight tap-春-
沼津 吉田温泉

春の公演はこれにて終わり。
次は
MURATA TASOGARE twilight tap-夏-。
フランスアビニョン演劇祭🇫🇷へ挑戦します。

7/2〜7/22の21日間の旅。
パフォーマンスは、12回連続公演。

1ヶ月後と迫りました。
フランス🇫🇷への旅についてもまた書いていきます。

春公演。
足を運んで下さった皆様本当にありがとうございました。

"沼津TASOGAREの旅"が、それぞれ皆さんの記憶に残り、少しでも何か感じるものが芽生えていたら嬉しいです。

そして関わってくれたゲスト、チームのみんなに改めて感謝です🙏
いつもありがとうございます✨

またいつかこの場所で踊れる日を楽しみにしてます。

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MURATA TASOGARE
ーTwilight Tapー 春
静岡県沼津市にある明治時代から140年間続いた元銭湯"吉田温泉"にて、ソロ作品パフォーマンス。
日時:2024年5月25日(土)・5月26日(日)
会場:吉田温泉
出演:村田正樹
日替わりGUEST:白石美徳、満月カルテット
lighting: 中佐真梨香
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MURATA TASOGARE
Twilight Tap - Spring

Founded in the Meiji era (1868-1912), Yoshida Onsen has been loved by the people of the town for 140 years until 2016.
Yoshida Onsen has been loved by the people of the town.
The event will be held in this space.
Details will be posted on Instagram and website.
@muratatasogare

photo by Yuji Tanno


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村田正樹
タップダンスをより多くの方に知っていただくための活動資金(様々な土地でのライブ・ワークショップの経費)にさせていただきます。よろしくお願いいたします。