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今年も日本株は過去最高値を更新する!と予想するほど能天気になれない



日本株に対する期待は高い

日経ヴェリタスが市場関係者72人を対象に実施したアンケートによると、今年(2025年)の日経平均株価の高値予想回答の8割が4万3000円以上と、昨年(2024年)7月につけた史上最高値(4万2,224円)を上回っていたそうです。4万5,000円以上の予想も約3割を占めたそうです。

今年も日本株は高値を更新するとの見方が多いのは、景気が安定しているからでしょう。また東証が主導する市場改革に対する期待感も高いようで、上場企業のROE改善や自社株買い、M&Aの活発化を指摘する声も散見されます。

ただ、へそ曲がりの性格だからかもしれませんが、今年の日本株が、そんなに都合よく上昇するのだろうかと懐疑的に思っています。

高止まりする米長期金利

あまり指摘されていないようで不思議なのですが、米長期金利が高止まりしていることは日本株上昇の逆風になるのではないかと思っています。

米10年債利回りは昨年9月に3.6%まで低下しましたが、その後は上昇基調で推移し、今年1月3日時点で4.60%に達しています。

米10年債利回りは昨年4月に4.7%台まで上昇したこともあり、足元の水準を危険視するのは行き過ぎた見方と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし当時と違い、今はFRBが利下げを続け、FOMCでは今年も2回は利下げがされると見られています。それにもかかわらず米長期金利が上昇していることは、今年も米国のインフレが続き、FRBは利下げを続けられないとの見方が広がっていると解釈することもできそうです。

指摘されないドル高の進展

米長期金利が高止まりしていることから、ドル高が続いています。日本で市場関係者とされている方々のほとんどが、足元のドル高について言及していないことも不思議の1つです。

年明けの1月2日のドル指数は一時109.5と2022年11月以来(2年2カ月ぶり)の高値を更新し、翌1月3日も108.9と昨年の高値を大きく上回る水準で終わりました。

米長期金利の高止まりを背景としたドル高は、日本を含む海外諸国から米国へマネーが流入にしている結果です。日本から米国へのマネー流出は、日本株市場にあるはずのマネーが米国へ流れるリスクを高めます。

ドル高は円安の裏返しであり、日本株上昇の追い風だという見方は日本で広く共有されています。しかし、足元のドル高が日本から米国への資本流出を意味しているのであれば、日本株上昇にとって逆風です。

日本株市場における外国人とスイカの売買シェアは70%弱あります。外国人投資家が日本株市場から離脱した場合、日本人投資家が離脱した外国人投資家をカバーできると期待するのは難しいように思えます。なぜなら、外国人投資家だけでなく、日本人投資家も高止まりする米長期金利を目指して資金(マネー)を米国に移す可能性があるからです。

そもそも米国景気は大丈夫なのか?

米長期金利が上昇し、ドル高が続いても米国景気が(いわゆる)ソフトランディングできるのか、という単純な疑念を私は捨て切ることはできません。

お尋ねしたことはありませんが、今年の日本株に対して強気に見る有識者の多くは米国景気が大きなトラブルに直面することなく、昨年と似たような状況で推移することを前提視しているように思えます。

おそらく現時点で米国景気に対してネガティブな指摘ができるとすれば、トランプ米次期政権のドラスティックな政策くらいでしょう。ただ、トランプ政権が打ち出す政策を事前に予測することはできないため、

トランプ政権は米景気に悪影響を及ぼすようなことはしないだろう

という漠然とした期待を前提に米国景気のネガティブリスクから目を逸らしているように思えます。

米景気の先行きに対して慎重な見方を持つのであれば、今年の日本株が昨年と同じように過去最高値を更新する、と予想するのは、それなりに勇気のあることのように思えます。インフレ気味だから、日本株も名目では上昇するだろう、程度の感覚が自然な考えのように思えます。

村田雅志(むらた・まさし)

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村田雅志(むらた・まさし)
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