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日本のコメの供給は減少を続ける(コメ価格上昇シリーズその2)


先日の記事ではコメ価格が上昇していることや、今後もコメ価格の上昇は続くとの見方をご紹介しました。

止まらないコメ価格の上昇、今後の「価格パターン」を考える(コメ価格上昇シリーズその1)
https://note.com/muratamasashi/n/n23e6c317a99e

今回はコメ価格の上昇が続くと考える理由の1つとしてコメの供給が減り続けることをご紹介したいと思います。

日本の田んぼは減っている

一部の方はすでにご存じかと思いますが、コメを作る上で必須である田んぼの面積(水陸稲の主食用作付面積)は減少傾向にあります。

水陸稲の主食用作付面積は2010年時点で158万haありましたが、その後は減少傾向が続き、新型コロナが蔓延した2020年時点で137万haまで減少し、昨年(2024年)は126万haとさらに減少しています。

コメの収穫量は減少傾向にある

この結果、コメの収穫量も作付面積と同じように減少傾向にあります。2010年時点のコメ(主食用)の収穫量は824万トンでしたが、2020年時点には723万トンと10年間に100万トンが減少します。そして夏の高温障害でコメの生産が落ち込んだ2023年は661万トンまで減少します。昨年(2024年)は679万トンと2023年から増加に転じましたが、増加幅は限定的です。

自然なことですが、コメの作付面積と収穫量は強い相関関係にあります。今年(2025年)の作付面積は、コメ価格の上昇もあって各地域とも増やす(面積が拡大させる)目標を示しています。拡大幅は小幅かもしれませんが、コメの供給が増えると期待してもいいかもしれません。

農家の高齢化

しかし、コメも含めた農業に従事している方々の高齢化が進んでいることに留意する必要があります。

農林水産省の「農業労働力に関する統計」によれば、2023年の(コメ農家も含む)基幹的農業従事者数(ふだん仕事として主に自営農業に従事している者)は約111.4万人で、平均年齢は69.2歳でした。

今から四半世紀(25年)前の2000年の基幹的農業従事者数は240万人、平均年齢が62.2歳でした。新たに農業に従事する若い方はいらっしゃるのでしょうが、少子化のために時間とともに農業に従事する人の数は減り、平均年齢が上がっています。この傾向は今後も続くでしょう。

今後予想されるコメの供給→減少傾向が続く

人手が減る中、平均年齢69歳という状況では、コメの作付面積が多少増えたとしても、生産量が飛躍的に増えると期待するのは難しいように思えます。

さらに今後を考えると、コメだけでなく他作物も含めても農業に従事する人の数は減り続け、平均年齢も上がり続けると予想するのが自然と思われます。

最近では健康寿命が延びていますので、70歳以上になっても健康に過ごす方は増えるかもしれません。しかし、高齢化によって農作業の負担感は高まると思われ、結果として作付面積を増やすことも時間とともに難しくなってくると考えるのが自然と思われます。

作付面積が増えにくくなれば、これも自然のことですがコメの収穫量が増えることも期待しにくくなります。

日本政府が減反政策ではなくコメ増産政策に大きく転換することでもしない限り、中長期的に見て減少傾向にあるコメの供給量は今後も減る傾向が続くと考えていいでしょう。

一般に供給が減る品物の価格は上がりやすくなります。供給量の減少傾向が続くコメの価格が上昇を続けるとの見方は特に不思議なことではないように思えます。

次回の記事では、コメの需要が今後どうなるかについて私の見方をご紹介します。

日本のコメの需要は以前のように低下する(コメ価格上昇シリーズその3)
https://note.com/muratamasashi/n/n5720b2e5614b

村田雅志(むらた・まさし)

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村田雅志(むらた・まさし)
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