ブライアン・デ・パルマ監督の映画「フューリー」レビュー「真骨頂を発揮出来ぬデ・パルマの溜まりに溜まった鬱憤が「カサヴェテスの13回爆発」で大爆発するのが見所です。」
息子ロビンを拉致された元諜報部員ピーター(カーク・ダグラス)が息子の行方を探すうち,
彼が所属していた諜報部の友人チルドレス(ジョン・カサヴェテス)が見どころのある若者を集め,
超能力の訓練を行っている事を知る。果たして息子には念動力の才能があったのだ。
ロビンと同じ様に念動力の素質があって
,その才能を伸ばす訓練を受けている少女ギリアン(エイミー・アーヴィング)はピーターと接触し,
息子探しに協力する。
ロビンとギリアン,ふたりの若き超能力者が邂逅するとき,一体何が起こるのか,
そしてチルドレスは一体何を目論んでいるのだろうか…。
デパルマ不朽の名作「キャリー」で主人公キャリー(シシー・スぺイセク)を虐め,
夢の中で墓から飛び出したキャリーの手に腕を掴まれて叫ぶ役だったエイミー・アーヴィングが
今度は超能力者ギリアン役で主役。
因みにキャリーの日本語吹替の声の出演は藩恵子でギリアンの声の出演も藩恵子。
奇妙な因縁を感じるが,映画会社的にはデパルマに「キャリー」と同じ様に原作小説付きの
「キャリー」と同じ様に超能力者の少女が主役の映画を撮らせる意向は
「二匹目のどじょう」を大いに期待していたと見るべきであろう。
「二匹目のどじょう」は僕自身期待していたが,真の主役は老境著しいカーク・ダグラスであって,
エイミー・アーヴィングの存在感は薄く,シシー・スぺイセクの存在感に遠く及ばない。
僕はオマエの様なオイボレの活躍を観たかったのではないわ。
オイボレはさっさと死ぬのが世の為,人の為なのだ。
カーク・ダグラスに次ぐ主役は息子ロビン役のアンドリュー・スティーブンスであって
エイミー・アーヴィングは3番。
初見の際は「騙された」と思ったもんだ。
ギリアンとロビンの邂逅も遅く出会った途端に死別が待っている。
本作の見所はジョン・カサヴェテスの13回爆発と見るべきで,
思う様に真骨頂を発揮出来ないデパルマ監督の鬱憤を晴らすが如く,
この場面は本当に素晴らしい。
映画が詰まらない事など忘れてやってもいい位だ。
本作は話の面白さの点に於いても
「超能力者の少女」のキャラ立ちの点に於いても
「キャリー」の足元にも及ばない。
「姉妹編」などとは口が裂けても言えない。
でも監督は最後に意地を見せた。
その点は大いに評価したい。