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長谷川哲也先生の「ナポレオン 獅子の時代」&「ナポレオン 覇道進撃」レビュー「物語の終わるべきとき」
「漫画雑誌を買って読む理由」はこれはもうひとつしか無くて,
「目当ての漫画があるから」で,
いがらしゆみこ先生の「キャンデイ・キャンデイ」や
武内直子先生の「美少女戦士セーラームーン」が連載されてたから
雑誌「なかよし」を購入してたのであって,連載が終わればハイサヨナラ。
雑誌「ヤングキングアワーズ」は
平野耕太先生の「ヘルシング」が連載されてるから1998年から買い始めた。
その頃はうつ病で休職中で埼玉県の社員寮で鬱々と読んでいた。
休職期間が切れ,会社を解雇され,田舎に帰ってからも購読は続けた。
長谷川哲也先生の「ナポレオン 獅子の時代」(2003年~)は第1話から
欠かさず読んでる愛読書で「獅子の時代」が「覇道進撃」に改題しても
続けて読んでいて発売日に買ってる単行本が当然ながら全初版なのが密かな自慢。
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平野耕太先生の「ヘルシング」が完結し,
2010年から「ドリフターズ」が始まって
「ナポレオン」を読む為に「ヤングキングアワーズ」誌を毎月買って,
段々掲載が不定期になって行く「ドリフターズ」が載ってればラッキー。
「ナポレオン」が彼の出生から最期までを描く大河漫画である以上,
「終わり」が必ずある訳で,
彼がワーテルローの戦いに敗れ,セント・ヘレナに島流しに遭い,
ヤングキングアワーズ今月号掲載の
「ナポレオン」に「完結カウントダウン!!」の煽り文句が付きました。
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何だかね…20年読んで来た漫画が
「もう直ぐ終わります」と告知された心境は
「遂にこの日が来たか!」
って華々しい激しい猛々しい気持ちではなく,
「そうか」
以上の感慨はないのです。ホントにね。
「ナポレオン」の単行本には6か月分の連載が収録され,
単行本未収録のエピソードが3話分ストックされてますから
「あと3ヶ月の命」だと思います。
「今年一杯」って事。
「それ」を逃すと「次」は9ヶ月後となり
「セント・ヘレナでの楽しい生活」を9ヵ月も描かれるとは思いませんし,
いいですか?
「ナポレオン」の既刊40巻の中で「戦い」の無かった巻は
唯の1巻だって無いんです。
彼は戦い続けてナンボの男。
なので20年の連載の中で「戦い」が無くていいのは
彼が退場する最終巻だけでいいと僕は思ってます。
だから本作品は「あと3ヶ月の命」でなくてはならないんです。
「ナポレオン」が終わっちまったら
後は4~5ヶ月に1度掲載されるかされないかの「ドリフターズ」だけ。
四半世紀続けて来た「ヤングキングアワーズ」誌の
定期購読も見直す事になりそうです。
僕は少しも悲しくなんてありません。
「ナポレオン」が「終わる」のは最初から決まってたんですから。
漫画を読んでて「悲しい」のは
生命維持装置を装着させられて余計な延命措置を施されたときだけです。
物語は!「終わるべきときに終わる」のが最高の幸せなんです。
僕はね。
無駄に長く生きてるので
「終わるべきときに終われなかった物語」
を数限りなく見て来ました。
その度に僕は平野耕太先生の「ドリフターズ」の
主人公・島津豊久と同じ事を思って来ました。
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「息の根ばさぱっと止めて」
「介錯してやらねば可哀想ぞ」
僕は「ナポレオン」に「可哀想」と誰かに同情されたくないんです。
楳図かずお先生の「アゲイン」って漫画知ってます?
主人公の元太郎爺さんが夕陽を眺めて
「なんという綺麗な夕暮れだ」
って呟く場面が僕大好きなんです。
僕も元太郎爺さんが夕陽を見送る気持ちで
「ナポレオン」を見送れたらいいと思います。