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「オトナプリキュア」第6話「ホノオノユラギ」レビュー「「のぞみ第一主義」からの脱却」。

今回の主役は夏木りん。
りんはジュエリーデザイナーって職に就いてるけど
最近いいアイディアが出ず,
上司からは
「りんは明るいから営業に向いてるのかも…」
と露骨に肩を叩かれる有様。

私はデザインの仕事をする為に現職に就いたのに…。

徹夜してアイディアを捻り出し,プレゼンの資料も用意して
会社に向かう途中で犬型シャドウを目撃するも,
プレゼンを優先して見て見ぬ振りをしてしまう。

私は元プリキュアなのに悪事の兆候を見過ごした…。
のぞみだったらこんな時,職を投げ出してでも誰かの為に戦っただろう…。
罪悪感で気もそぞろになりプレゼンも失敗。
何をやっても中途半端。

悩みを水無月かれんに打ち明け
「私はプリキュアになれないと思う…」
と呟く…。

夏木りんの第一の特徴が「夢原のぞみ第一主義」。
りんがプリキュアになったのは
先にプリキュアになったのぞみを放っておいけないから。
常に「のぞみが今何を考えているか」をキャッチしてる。

ふたりが中学生なら「仲良き事は美しき哉」で微笑ましいけど
20代後半になって互いに進路を別にしても
「夢原のぞみの生き方が私の手本」
なのはどうなのか。
ニチアサの「プリキュア」では突っ込めない事柄も
「オトナプリキュア」では抉る様に追及して来る。

夏木りんは主体性がゼロなんじゃないかって。
中学生の頃,りんが春日野うららと喧嘩した時,うららに向かって

「のぞみ,のぞみって…アンタのぞみの他に友達いないの?」

って酷い事言ったけどコレ…りんが「自分が一番言われたくない事」を
先回りしてうららに言ってるんだよね。

「私はプリキュアにはなれないと思う」

ってりんの発言は,
困ってる人を見ると駆けだしながら変身して戦うのぞみの生き様が
「手本」になっていて

「(犬型シャドウを見て見ぬ振りをした)私は
(のぞみの様な)プリキュアにはなれないと思う」

と言ってる訳。
しかしプリキュア活動を最優先する
のぞみの生き方は果たして「手本」と言えるのでしょうか。
第4話で美翔舞はプリキュア活動に専念する為に彼氏と別れて,
僕は舞の考え方にゾッとしたんだよね。

男と別れないと一生懸命生きられない,
プリキュア活動に打ち込めないって「プリキュア教」の教義にね。

りんが悩みを「手本」であるのぞみに打ち明けられないのは

「のぞみに嫌われたくないから」

からなんです。

りんが悩みを相談する相手に

「プリキュア資格審査に一度落ちて挫折経験のある」

かれんを選んだ事がりんがオトナになった事の証明として描かれてます。
「のぞみ一辺倒」じゃなくなってる。
かれんは当時死ぬ程悩んだ筈で,同じく悩んでいるりんに寄り添えますが
のぞみは恐らく「何とかなるなる!」としか言えんので
「悩み相談」には全く向かんのです。

りんは自分で自分を助けてプリキュアに変身出来る様になりました。

かれんの

「なれたじゃない」

って言葉はね…「なれなかった」せいで
死ぬ程苦しんだかれんが言うから重みがあるのですよ。
のぞみをDISる気持ちは毛頭ないのですが
「葛藤」のない人物に「葛藤」は理解出来んのですよ。

プリキュアになったからと言ってジュエリーデザインが
洪水の様にりんの頭の中に流れ込んで来る訳じゃありません。
プリキュアになると身体能力は超人になりますが
オツムの中身はそのままなのが仕様なのです。
「プリキュアの力」はオトナの悩みを解決しないのです。

「オトナだったら誰かに相談するとかして自分で自分を助けろよ」

が「オトナプリキュア」の仕様なので。

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