青池保子先生の「エロイカより愛をこめて」公式アンソロジーコミック「エロイカより愛をこめてに愛をこめて!!」レビュー「少佐が!伯爵が!!綺羅星の如く輝く超豪華作家陣の筆で踊る!輝く!!」
2021年に秋田書店から出ている「ミステリーボニータ」という月刊雑誌で
青池保子先生の「エロイカより愛をこめて」連載開始45周年を記念して
エロイカラヴァーの漫画家さんに
トリビュート(尊敬や敬意を芸術作品等で伝える事)漫画を描きませんか?
とのボニータ編集部からの呼びかけが本作品誕生の切っ掛け。
この企画が始まった2021年から3年後の
今年(2024年)に待望の書籍化が実現した次第です。
まず何より有難いのがですね。
「エロイカ」が連載開始したのが1976年で
僕が高校生になってから
当時所属していたアマチュア無線部の部室に
何故かズラッと並んでいた「エロイカ」の単行本を
読み耽ってハマったのが1982年。
以降「エロイカ」ファンの末席を汚し続けて42年。
当然ながら老眼が進行し漫画も老眼鏡をかけねば台詞も読めない有様。
そんなロートル「エロイカ」ファンの為に本書は大判(B5判)になっていて
活字がとても大きくルビが降ってあり,
美麗の極みとも言える玉稿の連続を心ゆくまで堪能出来るのですよ。
本当に…本当に有難うございます!
「ショタ好き」を自称される市東亮子先生の
「彼のシャツ」を裸の上から羽織るジェイムズ君のエッロい姿に喀血。
酒井美羽先生の
南方のマグロ漁船の気の荒い漁師となった少佐の姿に悶絶し
ロシアの警備艇に拿捕されミーシャのコサックダンスに対抗して
チロリアンダンスで大開脚を披露する少佐の姿に
もう死んでも悔いはないと魂が抜け
魔夜峰央先生の
パタリロと少佐の通話(勿論固定電話)という夢の競演に快哉をあげ
奈々巻かな子先生の
202X年にロマンスグレーで孫バカの
「おじいちゃん」となったロレンスの姿に
202X年になっても「あの日あの時のまま」の少佐の姿に
「解釈一致です先生ッ!」
と叫び
…これ以上のネタバレは控えるとして
赤石路代先生,中山星香先生,青木朋先生,遠野由来子先生,小川彌生先生,
シマあつこ先生,はるな檸檬先生,萩尾望都先生,高橋美由紀先生,大和和紀先生,
本田先生,紫堂恭子先生,浜田翔子先生,浦沢直樹先生,潮見知佳先生,
野上武志先生,安野モヨコ先生,山村東先生,永野のりこ先生,木原敏江先生
の玉稿が続きます。
どうしても触れさせて欲しいのが
・青木朋先生のメッチャクチャ強面の三蔵法師(少佐)と
半裸でエッロい孫悟空(伯爵)が並び立つ大ゴマ!
如意棒の刀剣男子がボーナム君…。
・紫堂恭子先生の元部長による戦車道講義!
(先生…少佐の戦車好きにかこつけてⅣ号戦車が描きたかっただけでしょ!?)
・浦沢直樹先生の浦沢先生の作風まんまで描かれた
中年太りして胸毛の生えたオッサンの伯爵!(いやあァァァ!)
・潮見知佳先生の伯爵と少佐の
背景に謎の花咲かせ!星飛ばし!!対決!!!(眼福の極み!!!!)
ハアハア…。
ホント全編見所しかないので読んで!としか言えんのです。
トリは青池保子先生の単行本未収録の「いきなり日本昔ばなし」。
少佐が浦島太郎で伯爵が乙姫太夫の艶姿を披露!
青池先生本当に有難うございます!
大和和紀先生の回では美麗な絵と共に随筆が併記されている。
そこにはほとんど語られる事のない
青池先生の「創作上の悩み」に関する記述がある。
(引用開始)
ソ連崩壊,東西ドイツの統一後,
「私もう「エロイカ…」描けないのよ。
だってKGBなくなっちゃうし…」と嘆かれていた
青池さんだったが
なになにロシアのソ連体質は変わらずで,
少佐♥もミーシャも今も元気に殴り合っている。
良かった,良かった。
(引用終了)
ソ連が無くなって007映画(諜報映画)
どうなるんだろうかって懸念されてたけど
青池先生も悩まれておられたんだなあ。
参加されておられるのがプロの漫画家さん揃いなので
「模写」とかそんな真似は一切せず
御自分の作風でオリジナル漫画を描かれておられるので
「アンソロジーコミック」
と言うよりも「エロイカ」ってお題に対する競作漫画集が
本書の本質だと思います!必読!!