オトナプリキュア第10話「サイゴノヤクソク」レビュー「「個性が大事」と謳っておきながら工業規格品の部品の如く戦わざるを得ないのは「プリキュア」の抱える不治の病なのであろうか…?」
今回のプリキュアはキュアローズガーデンに咲いた禍々しい花…。
…タイムフラワーの開花に呼応して変身能力が復活している。
古文書によるとタイムフラワーは国が滅びる直前,
生命が絶滅する直前に開花し,国が滅び,生命が絶滅すると枯れる花だと言う。
そしてプリキュアに変身する際,14歳だった頃の姿に戻るのも
タイムフラワーの作用だと言う。
タイムフラワーが枯れるのと
プリキュアの余命のカウントダウンとが呼応しているのなら
変身回数が増える程,
余命を縮めるカウントダウンを早めている可能性があると言うのである。
しかしシャドウを倒せるのは「プリキュアの力」だけだ。
8人のプリキュア達は14歳の頃そうだった様に,
例え余命が縮む事となろうとも戦う事を決意する。
8人のプリキュア達が時計塔に迫るとベルが出現し,
彼女は未来からやってきたと言う。
そう遠くない未来,この町は人間達の手によって滅ぼされ
「未来」が消えると言う。
彼女は「未来」を「町」を守る為に人間を排除すると言うのである…。
「オトナプリキュア」は最終決戦に突入し,初めて8人同時変身が描かれる。
恐らく個々人の葛藤が描かれる事はもうないのだろう。
話から「個性」が喪失し「プリキュア」が一山幾らの扱いとなると
ニチアサの「プリキュア」と「オトナプリキュア」との
見分けが付かなくなるとは何という皮肉であろうか。
「個性が大事」「自分らしく生きる事が大事」と
主題歌で歌い上げておきながら個性を生かす為には個性を殺して
「プリキュア」の一員として工業規格品の部品の如く戦わざるを得ないのは
「プリキュア」が抱える宿命的な病なのであろうか…。
今回雪城さなえ(野沢雅子)の元を雪城ほのかと美墨なぎさと
思われる人物が訪ねている。(エンドクレジットには登場してない)
ほのかとなぎさは「プリキュア」シリーズ第1作「ふたりはプリキュア」で「最初のプリキュア」となったのだ。
仮に「8人のプリキュア」が「10人のプリキュア」になった所で
「プリキュア」のインフレーションは加速するばかり。
この話は夢原のぞみから始まったのだから,
夢原のぞみで終わって欲しいと
僕は望んでいる。