学びの備忘録:『関わる人が次々集まるまちをつくる!関係人口の力を活かした地域プロデュース・オープンセミナー』
「この講座、受けてみない?」
その人の誘いだったら、「よくわからんけど、行ってみるか!」
そんな人っていませんか?
静岡県・熱海市でゲストハウスMARUYA、ロマンス座カド、コワーキングスペースnaedokoなどを手がけるまちづくり会社『machimori』代表の市来広一郎さんもその一人だ。
<プロフィール>
市来広一郎:株式会社 machimori 代表取締役。NPO法人 atamista 代表理事。一般社団法人熱海市 観光協会理事。2015 年ゲストハウス「guest house MARUYA」を運営。2016 年からは熱海市と協働で「ATAMI2030 会議」や創業支援プログラム「99°C」なども企画・運営
以前、市来さんとはイベントに登壇してもらったご縁で、今につながっている。市来さんのお誘いならば!と二つ返事で参加を決めた。
参加したプログラムはこちら▼
『関係人口の力を活かした地域プロデュース・オープンセミナー』
長野県の先進事例から考える!関係人口と地域プロデュース
講師は、Beth, Inc. の高柳祐人さん。長野県の諏訪・八ヶ岳エリアで取り組まれているコワーキングスペース「森のオフィス」やイタリアンレストラン「ca’enne」などを仕掛ける。
<プロフィール>
高柳祐人:Beth, Inc. 代表。株式会社リクルートキャリア(現:株式会社リクルート)へ転職。採用メディア「リクナビ」の事業企画や新規事業開発を手掛ける。在職中の2017年に2拠点生活を始め、2019年にリクルートキャリアを退社。個人事業を経て2021年に東京の友人とBeth合同会社創業。地域企業の事業プロデュースなどを手掛ける。
「関係人口」という言葉に、拒否反応が生まれている
トークテーマは、先進事例から地域づくり・関係人口について。
ちなみに、関係人口とは、移住でも観光でもない、その間の関係(交流人口)を指す言葉だ。
当初、僕の事業も、外部の人が地域に関わってもらう施作で『南伊豆くらし図鑑』をやっていた(現在も進行中)。
▲南伊豆くらし図鑑は、1組限定で地元の方の日常におじゃまできる体験プログラム
だが、関係人口は、僕にとって違和感のある言葉にもなっている。
理由は、関係人口は数値化がしづらく、曖昧な領域だからだ。
何をもって関係人口?みたいな。
だから、僕は「頑張って関係人口増やそうぜ!」みたいな人は大丈夫かな?と思ってしまう。
「まちづくりで関係人口を増やしますよ!」って謳うコンサルを警戒する。
特に後者は警戒する。なぜか。
行政のお金がなくなったとたん、消えたコンサルをたくさん知ってるから。それくらい効果測定がむずかしい。
それに、「移住促進」や「観光」という視点も、まちの経済に大きく左右する。つまりどれも、大事。なので、正解はない。
だから、現場にいるものとして、”関係人口って言葉を使えばいいんじゃないか状態”に、なんとなく拒否反応があった。
だが、講師の高柳さんは冒頭にこんなことを話していた。
高柳さん:僕の取り組みは、「関係人口」を狙った施策をやっていたというより、事業をやっていく中で、結果的に「これは、関係人口と呼ぶのか?」みたいな。今日はそんな報告になっています。
(みたいなニュアンス)
主催者の市来さんの視点も、自分にしっくりきた視点だった。
市来さん:「人から『あなたはまちづくりされていてすごいですね』って言われるんですけど、僕は、ただ"自分"が住んでいる場所を、住みやすい場所にしたいだけ。エゴみたいなところがあります」。
高柳さんの「勝手に関係人口になっていた」という感覚と、
市来さんの「自分視点」の話はとても共感する。
僕も、ただ自分の半径を楽しくしたいだけだ。
だが・・・。
事業がうまくいかなかったり、疲れてきたりすると、「こんなに頑張ってるのに、なんで報われないんだ!」と勝手に被害妄想的になる。
まちづくりあるあるな気がしますが、皆さん心当たりありませんか?
今回の講義は「市来さんに誘われた」もあるが、定期的に"関係人口"という言葉を、他者の角度から考えを深めたいと思ったからだ。
で、結果参加してよかった!
パンチライン(響いたところ)を徒然と書いていく。
①土地があり、資源があり、事業が生まれる
土地>資源>事業という、当たり前の話。
ついつい、「これをやりたい!」って事業から始めようとするんだけど、その土地の歴史、資源、関係資本(人)を深ぼって、そこからアウトプットすること。
「これが流行っているから!」ってより、その土地にあるものを、ちゃんと見つめる。
そこに自分の事業を混ぜていけば、オリジナルが生まれるって話だった。
例えば、パン屋をやる、ではなく。
その土地の歴史+自分の歴史+パン屋、みたいな。
最近の高柳さんは、ビジネス書はほとんど読まず、土地の歴史や土について勉強しているらしい。
自分用メモ:個人的な反省として、移住した頃は自分が住んでいるまちの歴史を調べていたけど、最近は自分の事業ばかりでまちの歴史がうる覚えになっていた。勉強しなおそう。ジオガイドの人、商店街の人に話を聞こう。→ジオガイドの人、予約済
②(企画を作るとき)都市に背を向けて、地方を見ながらやっている。
A:地域事業者 B:ハブ的役割 C:都心の人 としよう。
Bは、関係人口施策として、Cをたくさん連れてくる(ツアーあるある)。
だが、それが繰り返されると、Aの地域事業者は疲弊していく。
A側にとって、Cと仲良くなっても、自分の事業に大きなお金が落ちるわけではない(B側の設計が甘いとそうなる)。
なので、Cが気軽に来られても、困る。
つまり、B側は、入り口をただ作ればいいというわけではない。
自分用メモ:関係人口とは、誰と誰を指すのか。ただ「仲良くなった!」で、終わらず、A:地域事業者にメリットを提示できる施策なのか、考えを尽くしたのか。しっかり計画しないといけない。
気をつけているつもりだけど、身が引き締まった。これは、①土地があり、資源があり、事業が生まれるにも通じる。
③本質的なことをやる
①、②を踏まえた上で、
「とはいえ、どうやったら、人が来るのか?」
だって、人が来ないと何も始まらない。それも事実だし。
それに対し高柳さんは、Aが本質的なことをやっているかは大事だと話していた。
高柳:本質的って、要はその地域事業者がやっていることに、人々が共感できることなのか。ミッション、ビジョンがあるか。その取り組みが、人を連れてこれるだけのものなのか。
そこに自分は、翻訳者的な立ち位置で入っている
(みたいなニュアンスだった)。
高柳さんは、そこにプラスして、B側(ハブ)も本質的なことをやっているかも大事だと言っていた(ここで話していた高柳さんはB側だと思う)。
自分用メモ:南伊豆の事業者も本質的なことをやっている。が、顕在化できていない事業者さんもいる気がする。インタビューせねば。
+
なんのために自分は事業をやっているのか。
住んでいる土地のことを考えた上で、ミッションやビジョン(ありたい未来)を言語化、整理し、やりたいことをやる!が大事だ。それをちゃんと言葉にしていこう。そこに、人は共感し、集まっていくのだと思う。事業者の人たちと共に。
まとめ
①土地があり、資源があり、事業が生まれる
②都市に背を向けて。地方を見ながらやっている。
③本質的なことをやる
ここんところ、ずっとアウトプットばかりだった。
学ぶこと(インプット)が楽しい。
最後に市来さんから、「宿は宿でも、"商品としてどう見せるか"をもっと考えてみてね」と激励をもらった。
自分のやりたいことを商品として、どこまで企画して、持続可能な形(ありがとう代)に落とし込めるか、みたいなところだな、と。
精進。