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やりたいのは、宿だけじゃないんだよって ~2024年振り返り~
ゲストハウス「ローカル×ローカル」を始めてもうすぐ4年になる。
はじめて読む人はこちらをぜひ▼
2024年を仕事で振り返る。
今年もたくさんの宿泊イベントをやった。
おかげでいろんな人と出会った。ありがたい。
一方、別の角度で見ると、あくまで僕の目線だが「働いた!」とも言える。
もちろん、できないこともあったし、至らないこともあった。
けど今日くらい自分を癒してやらねばと思った。
あなたはどうだろう?
年末くらい、自分を振り返りながら「よくやったじゃないか」と労う時間を作ってほしい。
僕はそんな「振り返り時間」を作るために、ライター・作家の橋本彩香さんに声をかけ、エッセイ合宿を企画した。お題は「2024年」。
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自分でこんなふうに書く状況を作らないと振り返りができない。環境はどうにか自分で動いて作り出すものだなとつくづく思う。
今年はよくやったじゃないか、の理由づけ
今年は宿も頑張ったが、それで終わらなかった。
新作マンガを2つ作った。
ひとつは栃木県の那須塩原駅前のプロモーション漫画「nasu 01」。
もうひとつがゲストハウスを運営する猫のもとに、いろんな悩みを持った人間たちがやってくる話「猫に言ってもしょうがない」だ。
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これとは別で、静岡テレビのWEBメディアで隔週連載中のエッセイ漫画「今日も夜が静かです」に関しては1年9ヶ月目。
「やったぞ俺!」と思いつつ。全ては2020年、コロナ禍でやることがなくなって初めて描いた漫画「ローカル×ローカル」から始まったことを忘れちゃいけない。
この物語は、東京が大好きな主人公が地方(架空の町)に移住し、ゲストハウスを作るまでを描いたエッセイ漫画だ。
「絵が下手」とか「いまさら始めてどうする?」とか、ネガティブな心の声を無視した。
それから約3年半。
今年、那須塩原の仕事をもらったのは、漫画「ローカル×ローカル」を読んで「面白い」と言ってくれた宿泊者(読者)だ。
そんなことになるなんて、当時の自分が聞いたら驚くだろう。
発信することで、状況が変化していく。
宿4年目を迎えるの前に、苦しかったこと
去年の今頃。3年目を振り返った時、なかなか漫画を描くことができなかった。これが(今もだけど)苦しかった。
ちゃん宿の経営を軌道に乗せないといけない。
人が来るような企画を作らなきゃ。
宿の文化(また来たいと思ってもらえる世界観)と、宿の経済(売上)のバランスにもがいていた。
気づいたら漫画を描くことから遠のき、宿のDIYをしたり、南伊豆に新しく人を招く準備をしたり、イベントを作ったり。
この繰り返しだった気がする。
どれも大事だと思ってるから、悩ましかった。
だが、その3年間にエッセイ漫画「今日も夜が静かです」を描いていたり、年に1回だが雑誌『日常』で漫画を寄稿していたり。
描いていたことに気づく(振り返りってこういうところで大事)。
だけど、自分では筆が止まっている感覚だった。
またしてもチラつく、ネガティブな心の声。
「もう漫画は描けないんじゃないの?」
「宿だけやっていればいいじゃない」
聞こえる自分の声を、振り払う。
そんなことをはない、と。
やっぱりマンガを描いて、代表作を描きたいと思っている自分がいる。いつになるかわからないけど、まだその目標が捨てられない。
マンガを描くのはマジで大変だけど「描きたい」と思ってるうちは、下手だろうが、サボろうが、続けていこうと思っている。
やりたいのは、宿だけじゃないんだよって。
・宿をやっている自分も
・イベントを作っている時も
・学生インターンと関わり、学びをシェアしている時も
・文章を書いてる時も
・漫画を描いている時も
どれも自分だ。ゆっくり少しずつ今の自分を拡張させたい。
自分の興味関心を、宿の機能にくっつける
今年は少しでも去年より「漫画を描いた」と言える年にしたいと思っていた。
振り返ると・・・ちょっとはできている。
今年は新しい試みがあった。
宿が忙しくて漫画が描けないなら、自分が思わず描いてしまうような宿泊プログラムを作ろうと思った。
たとえば、秋の文化部と題して
・脚本家を招き、物語を作る「物語づくり合宿」
・デザイナーを招き「ロゴを作る合宿(物語のタイトルロゴを作った)」
・作家の人から冊子作りを教わり、作る「ZINEを作る合宿」
・文学フリマ東京で売る
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みんなで集まって、ワイワイやりながら創作に向き合う。
自分が田舎に住んでいて「足りない」と感じるもの。
それは、創作に向き合う刺激、環境だったのかもしれない。
もちろん、1人でやれる人はやれるだろう。ほっといてもやれちゃう人はすごい。けど、自分はそうじゃない。
だからまずは自分が歩ける道を作ってみる。
宿という機能に頼り、講師の先生に頼り、周りに頼り、それでも自分を変化させた(作った)と言おう。
俺は漫画を描けた、と。
今回、ローカル×ローカルの宿泊イベントに参加した人たちの何人かは、少しでも何か現状を変化させたいと思っている人たちだったと思う。
たとえば、「キューバンサルサダンス合宿」「サーフィン合宿」では、自分のできることを増やしたい人たちだった。
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南伊豆のいろんな人たちの日常にお邪魔する「人に会いに行く旅」は、移住や二拠点に興味がある人たちが来てくれた。
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「屋台づくり合宿」では、小さな商いをやってみたい人たちが集まった。
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物語づくりも、ロゴづくりも、ZINEづくり合宿も、自分の表現を前に進めようとした人たちだった。
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何かを変化させたいと思って、手を伸ばした。
参加したことで、それまで見えなかった地平が見えていたらいいな。
南伊豆で想いを馳せる。
まずは手を伸ばそうとしている自分を労ってほしいなと思う。そして、またローカル×ローカルに来て欲しい。
これからも誰かの表現、アウトプットを後押しする場所になれたらいいな。
はて、それはゲストハウスがやることなのだろうか。
んーなんでもいいか(笑)。
僕が今やりたいのは、ただの宿泊施設じゃない。
その機能を借りた、メディア(表現)だ。
さて、2025年のローカル×ローカル、個人。
さっぱり何が起こるかわからないけど、2025年も、マンガも宿も、全部楽しくやるぞ。
追伸:これができるのは、自分の家族が事故や怪我なく無事だからでもあるし、事業でお世話になっている人たちのフォローあってこそだ。2025年も粛々淡々と、やりたいことを、好きなやりかたでやっていきます。
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