【競馬コラム】「覚悟の競馬論(国枝 栄)」を読み、改めてJRAの西高東低を感じる【読了】
全国競馬ファンのみなさま、こんにちは。
以前、こちらでも書いたのですが、
長年競馬を趣味にしてきましたが、それに関する書籍は「馬券攻略」系以外、ほとんど読んできませんでした。
前回は「競走馬」に関する一冊でしたが、今回は調教師が書いた一冊を読了、ここに思ったことを書き残しておきます。
こんな内容
まずはどのような内容か、アマゾンの紹介文からピックアップします。
国枝(くにえだ)厩舎、手掛けてきた馬の名前を見ればわかる通り、関東でトップクラスの厩舎。
生い立ちや経歴、もちろんこうした部分も大切ですが、問題意識を持って提言している、ここが印象に残ったところ。
全体としては、このような構成になります。
来歴や調教方法など勉強になりましたが、その中でも特に印象に残ったのが東西格差解消に関する第5章でした。
東西格差をいろいろ調べてみた
ミホノブルボンが活躍した頃からでしょうか。クラス関係なく、とにかく関西馬の活躍が目立ちました。
例えばダービーの過去30回、1993年のウイニングチケットから2022年のドウデュースまで調べたところ、
日本ダービーといえばすべてのホースマンが目指すレース。そのガチな戦いで、関東馬の優勝は30回中たったの4回…。
ダービーが行われる東京競馬場は東京都府中市にあり、栗東(滋賀県)から遠征する関西馬より、美浦(茨城県)に所属する関東馬の方が有利になるはず。それでこの結果ですから、明らかに何かがおかしい。
関西(栗東)の方が強い馬が作れる、そりゃ自然に人はそっちに流れるでしょう。もし私が馬主ならば、やはり勝てる(=稼げる)関西の厩舎に入れたくなりますもん。
関西優勢については、こちらの記事でも触れていますので、参考にどうぞ。
国枝調教師としてもこの状況を鑑みて、JRAに対し提言を行ったのですが、その中で斬新だなぁ…と思ったのがこちらでした。
調教師が関東(美浦)と関西(栗東)両方に厩舎を持つ
なるほど。例えば国枝厩舎であれば今の半分を関西に持っていって「国枝(東)」と「国枝(西)」にしちゃえばいい。これを全調教師に適用し、それぞれの厩舎で狙うレースや馬の個性・育成度合いを考えて東西自由に振り分ける。
人件費の問題など、考えなければならない課題はありますが、少なくともこれならば、設備による不平等は無くなるはず。結果が反映されるまでに多少時間はかかるでしょうが、緩やかに改善されそうな気がします。
ところで昔はどうだったのか
東西にトレセンが作られる前、厩舎は各競馬場にあり、日々の調教はその競馬場で行われていたそうです。
昔から東京競馬場と中山競馬場のコースにはゴール前に坂があり、京都競馬場、昔の阪神競馬場には坂がありませんでした。
坂のないコースで調教してきた京都や阪神の馬にとってゴール前の急坂は苦労したようです。その結果が「栗東の販路コース」導入につながったと。
競うこと、切磋琢磨することでレベルが上がってゆく、ということなんでしょうね。
と、なかなか好奇心を刺激してくれる良い一冊でした。読みやすいのでおススメの一冊です。