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【競馬コラム】「覚悟の競馬論(国枝 栄)」を読み、改めてJRAの西高東低を感じる【読了】

全国競馬ファンのみなさま、こんにちは。

以前、こちらでも書いたのですが、

長年競馬を趣味にしてきましたが、それに関する書籍は「馬券攻略」系以外、ほとんど読んできませんでした。

前回は「競走馬」に関する一冊でしたが、今回は調教師が書いた一冊を読了、ここに思ったことを書き残しておきます。

馬券攻略系はオカルト(高本式みたいなやつ)から投資方法まで、ほとんど読みつくしました。
もう読むことは無いでしょう(笑)

こんな内容

まずはどのような内容か、アマゾンの紹介文からピックアップします。

史上5頭目となる牝馬三冠達成、
世界レコードでジャパンカップ制覇、
牝馬初の天皇賞・秋連覇、
無敗の三冠馬コントレイル、三冠牝馬デアリングタクト
日本競馬史に残る名勝負を演じた2020年のジャパンカップ……。
歴代1位となる国内外GI通算9勝を挙げ、
総獲得賞金額でもトップとなったアーモンドアイ
稀代の名牝を手掛けてきた名伯楽の「原点」に迫る。
Amazon紹介文から引用

国枝(くにえだ)厩舎、手掛けてきた馬の名前を見ればわかる通り、関東でトップクラスの厩舎。

私が中央競馬に身を置いてからのこの40年間で、
調教師を取り巻く環境はずいぶん変わった。

海外レースに挑む馬が増え、外厩も充実してくるなど、
まさにいま、日本競馬界は激変期を迎えているといっていい。

だが、このままでは日本の競馬界は衰退してしまうのではないか――
私は今、そんな危機感を抱いている。

一人でも多くの人々に、私の思いを共有していただきつつ、
今後さらに日本の競馬界が発展していくことを強く願っている。
Amazon紹介文から引用

生い立ちや経歴、もちろんこうした部分も大切ですが、問題意識を持って提言している、ここが印象に残ったところ。

全体としては、このような構成になります。

■はじめに――変わりゆく競馬界
ドバイターフ前夜の出来事/凱旋門賞断念の背景 ほか

■特別インタビュー クリストフ・ルメール
「国枝調教師とは哲学が一緒」

■第1章 調教師が大事にしていること
ヒカルイマイとTTG/山崎厩舎時代に得たもの/イギリス研修/藤沢調教師との関係 ほか

■第2章 調教師の戦略
騎乗依頼/藤田菜七子をどう見るか/騎乗指示/競馬新聞をどう読むか ほか

■第3章 最強馬のつくりかた
三冠牝馬アパパネとアーモンドアイ/調教の要諦/外厩の進化 ほか

■第4章 海外レースに挑む
遠征の歴史/日本最強馬の挑戦/はるかなる凱旋門賞/輸送事情 ほか

■第5章 東西格差をどう解消するか
西高東低/輸送競馬の弊害/東西格差の原因/“栗東留学”の背景 ほか

■第6章 日本競馬への危惧
除外馬問題/中央競馬と地方競馬のひずみ/各種手当の見直しと信賞必罰の徹底 ほか
Amazon紹介文から引用

来歴や調教方法など勉強になりましたが、その中でも特に印象に残ったのが東西格差解消に関する第5章でした。

東西格差をいろいろ調べてみた

ミホノブルボンが活躍した頃からでしょうか。クラス関係なく、とにかく関西馬の活躍が目立ちました。

例えばダービーの過去30回、1993年のウイニングチケットから2022年のドウデュースまで調べたところ、

関東馬は

サニーブライアン(1997)
ロジユニバース(2009)
ドゥラメンテ(2015)
レイデオロ(2017)

の4頭。他の26頭はすべて関西馬。

日本ダービーといえばすべてのホースマンが目指すレース。そのガチな戦いで、関東馬の優勝は30回中たったの4回…。

ダービーが行われる東京競馬場は東京都府中市にあり、栗東(滋賀県)から遠征する関西馬より、美浦(茨城県)に所属する関東馬の方が有利になるはず。それでこの結果ですから、明らかに何かがおかしい。

関西(栗東)の方が強い馬が作れる、そりゃ自然に人はそっちに流れるでしょう。もし私が馬主ならば、やはり勝てる(=稼げる)関西の厩舎に入れたくなりますもん。

関西優勢については、こちらの記事でも触れていますので、参考にどうぞ。

国枝調教師としてもこの状況を鑑みて、JRAに対し提言を行ったのですが、その中で斬新だなぁ…と思ったのがこちらでした。

調教師が関東(美浦)と関西(栗東)両方に厩舎を持つ

なるほど。例えば国枝厩舎であれば今の半分を関西に持っていって「国枝(東)」と「国枝(西)」にしちゃえばいい。これを全調教師に適用し、それぞれの厩舎で狙うレースや馬の個性・育成度合いを考えて東西自由に振り分ける。

人件費の問題など、考えなければならない課題はありますが、少なくともこれならば、設備による不平等は無くなるはず。結果が反映されるまでに多少時間はかかるでしょうが、緩やかに改善されそうな気がします。

ところで昔はどうだったのか

東西にトレセンが作られる前、厩舎は各競馬場にあり、日々の調教はその競馬場で行われていたそうです。

昔から東京競馬場と中山競馬場のコースにはゴール前に坂があり、京都競馬場、昔の阪神競馬場には坂がありませんでした。

坂のないコースで調教してきた京都や阪神の馬にとってゴール前の急坂は苦労したようです。その結果が「栗東の販路コース」導入につながったと。

競うこと、切磋琢磨することでレベルが上がってゆく、ということなんでしょうね。

と、なかなか好奇心を刺激してくれる良い一冊でした。読みやすいのでおススメの一冊です。





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