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ラグビーアナリスト#2|自分の強みを分析へ!初の分析の仕事とは!?
見出し画像のサインプレーは、2020シックスネイションズ第4節 イングランドvsウェールズで、イングランドがラインアウトから使った必殺サイン。
イングランドはウェールズの穴を見つけ、一発でトライまで持っていきました。
下の映像では、0:46からのプレーです。
芸術的な1stフェーズアタックでした。
現在僕が所属しているチームでは、MacのKeynoteを使ってチームのアタックの動き、戦術などをまとめている『プレイブック』というものを作成しています。
これを使ってコーチミーティングで議論し、選手へアウトプットしていきます。
今回書くのは、前回に続きアナリスト1年目の時のお話。
当時は今のようにKeynoteを使うスキルもなく、何に対しても日々勉強中だった頃。(今もですが笑)
ヘッドコーチに突然、『相手の動きの分析をして、選手にプレゼンしてみてくれ』と言われ、相手のスカウティングなど何の経験もない僕が取り組んだことを紹介したいと思います。
今、自分ができることを考えてみた
スカウティングをすると言っても、最初は正直何から始めていいか全くわからない状況でした。
しかも選手にプレゼン。選手たちに納得してもらわないといけません。
いろいろ考えた結果、今自分にできることを精一杯チャレンジしてみよう!と思いました。
『いきなり相手チームの分析全部というより、部分を切り取って分析させてくれませんか』とヘッドコーチに相談し、任せてもらったのが相手の1stフェーズアタックの分析でした。
1stフェーズアタックとは、セットプレー(スクラムやラインアウト)から最初にアタックするプレーで、相手ディフェンスを惑わして突破する為に色々なサインプレーを使います。
相手がどのようなムーブ(動き)を使ってくるか、そのムーブにはどんなオプションがあるか、どうやってディフェンスをするか・・・などを分析してまとめ、選手にプレゼンしてみようという事に。
やってみるとは言ってみたものの、どうやって分析をまとめてプレゼンしようか・・。
そこで今一度、自分の強みを振り返りました。
僕の強みは、前回にも書いた2つのこと。
✔︎トップリーグで選手として経験したこと
✔︎『ラグビーが好き』という気持ちは誰にも負けないこと
この強みが、少なからず1stフェーズアタック分析の役に立つ事に・・。
経験を活かすこと、好きな気持ちを武器にすること
現役時代、僕はバックスのCTB(センター)というポジションでした。
CTBは、1stフェーズアタックではアタック・ディフェンス共にキーとなるポジションのひとつです。
僕は、試合・練習共にこの1stフェーズの攻防が大好きでした。
どうやったら相手ディフェンスに穴があくか、どうやったら相手のアタックを上手く止めれるかなどを、常に考えてプレーすることを心がけていました。
まず、この経験は活かしていこうと。
もうひとつの強みである『ラグビーが好き』ということは、分析作業で活きました。
僕はラグビーをプレーすることはもちろん好きでしたが、ラグビーを見ることも好きです。
何試合も、そして同じシーンを何回も見ることに対しては、最初から全然抵抗がありませんでした。
『経験』と『ラグビーが好き』という気持ちが、分析作業に対してプラスに働き始めた時でした。
相手の動きを書き出してみたものの、ここからどうする!?
対戦相手の1stフェーズアタック映像をクリップで抜き出し、動きを手書きでとりあえず全部書き出してみました。
分析は基本3〜4試合を見て行うので、1stフェーズアタックの数だけでも結構なボリュームになります。
これを全部選手に伝えて、果たして頭に入るのか・・??
答えは『No!』だなと感じました。
ならば、ある程度数を絞って伝えようと。
相手チームが得意としているプレーや、うちに対して使ってきそうなプレーを、自分の経験も踏まえながら伝える内容を絞っていきました。
次の課題は、これをどういう風に選手に伝えるか。
映像だけ見せても、覚えるのは難しそうだな・・。
プレゼン資料を作るスキルもまだないし・・。
ならば、これを使ってみよう!ということで、クラブハウスのロビーにあるホワイトボードを使って、映像と一緒に説明する事にしました。
※対戦相手や当時のコールネームはモザイクをかけています(笑)。ご了承ください。
少しでもわかりやすく伝えたかったので、自チームのコールネームを使ったり、色分けしたりキーポイントを記してみたり。
自分なりに工夫を重ねて、選手に伝える事にしました。
昨年まで一緒にプレーしていた選手たちにプレゼンするのは不思議な気持ちでしたが、みんな真剣に話を聞いてくれました。
そして迎えた試合当日。
試合で相手が分析通りのプレーをしてきて、それをうちのチームがしっかりディフェンスできた時は、もちろん選手の力があってのことですが、自分の中で細やかな達成感を感じていました。
分析作業は誰もがチャレンジできる!
もちろんPCスキルや分析ソフトがあれば、より効率的な分析作業が行えます。
しかし、それがないからと言って分析作業が全然できないということはありません。
アナリスト1年目の分析無知な自分でも、何かしら工夫をすることで僅かながらチームの力になれたことを実感できた年でした。
現在もゲームウィークには、選手へのスカウティングプレビューを任されていますが、この1年目の経験が結構活きていると感じています。
そんな感じで始まったアナリスト生活。
2年目からはコーチングスタッフもガラッと変わり、自分の実力のなさを実感するチャレンジの日々が続きます。