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あの「ありがとう」。

「さようなら。」で
終わりにはしたくはなくて、
「ありがとう。」で
最後の区切りを着けた。


ありがとうなら、
ここで全てが
終わらない気がして、
ありがとうと言う
言葉を選んだんだ。 

さようならでなんて、
終わらせたくなかった
今までの二人の歴史。 

重ねて合って来た
美し過ぎる思い出の終止符には、
さようならは
絶対に似つかわしくなくて、
深い感謝が込み上げて来て、
心の底から込み上げた
「ありがとう。」
この言葉がぴったりだったんだ。 

その言葉の後に、
さようならは付け足したく
なかった。
付け足したら間違いなんだと。 

いつでも、どんな時でも
嬉しかった、楽しかった、
何よりも幸せだった。


終わらせる「さようなら」
よりも
ここに、花を咲かせる
ありがとうの一区切り。 

いつだって、また
ここに戻ってやり直せそうな
そんな気持ちの
ありがとうを
持ち寄ったあの時。 

花束こそ、
この場にはないけれど、
もしも、
許される場所だったならば、
夜の営みを始める前の様に
強く強く抱き締めて、
今あるありったけの感謝を
ぶつけたい。
伝えたかったんだ。


君が悪かった分けじゃない。
僕だって、
そんな事は認めたくはない。 

だけど、
こうして二人が
導きだした終着点が
これで良かったんだと
お互いに落ち着いた。 

嫌いになった分けじゃないのは、
この張り裂けそうな気持ちの
在り方が
嫌でも知らしめる。 

痛くて、辛くて、苦しくて。 

その心の行き場を
素直に言い現す
その言葉は
「ありがとう。」しか
出て来ないんだ。


人影なんて疎らな田舎町。
改札から直ぐの長ベンチ
西陽が真っ直ぐ照らして茜。 

向かい合う二人のシルエット。
こんな場所が
終着駅。 

滑り込む
残された時間を思い知らせる
長い列車のゆっくりとした
陰に包まれて
それでもまだ、
「ありがとう」を繰り返す。 

一つ一つの「ありがとう」
一つ一つの思い出が込められた
語り尽くせない今までを
ただ、ありがとう。
その言葉だけが
全てを言い尽くす二人の会話。



けたたましく鳴り響くベルの音
ドアの向こう
小さく手を振り
「ありがとう。」
その声はもう




歪んだ笑顔のその唇が
最後の最後に
呟いていた
君が俺を呼ぶ時の
俺の名前。


応える事が出来なかった。 

その時には
もう
君を名を呼ぶ事は
俺には出来やしなかった。



自分の導き出した結論の愚かさが
止められない列車に隔たれて
動き出した「さようなら」に
足がすくんで動けずに
その名前すら
俺は
呼んでは上げられなかった。


遠ざかる列車が小さくなって
ホームに落とす雫に込めた
「ごめんね」の
気持ちを込めた君の名前。 

たった一人で呟いた。
見えなくなった列車に
「ありがとう」





なんでしょうねぇ。
何をどう書いたら、上手に表現できるのかが分からないんです。
まぁ、俺にはできないんでしょうね。
俺が背負ってる、一生忘れる事のできない、忘れてはいけない後悔なんですけどね。
自分の中でどう対処していいのか、どう処理すべきなのかが分かってないから書けないのか、まぁ単純に文才がないのは明白なんだけど、
このやきもきした、もやもやとした不完全燃焼的なやるせなさったら、どうしましょ。

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