七つの前屈ep.未知標奇跡「プロット通りの三者面談〜歩め、道。〜」⑦
7.
「『シミュレーテッドリアリティ』──現実を現実と思えなくなる思考回路のことだな。この世界がなにで出来ているのか、もしかしたらすべてが嘘で自分が生きるこの空間は虚構なんじゃないのか──そんなくだらない幻想に囚われて足元を崩してしまう、つまらない愚考のことだ。……きみも、それと似たような感覚なんじゃないのか? 学校という場所に縛られすぎて、どこが社会で、なにが正解か、わからなくなっているんだろう。ふん、なにが正解かわからない、なんて、羨ましい限りだが……答えなんて、わかりきっているだろうに。現実も虚構もそこにはない、もしもあるとしたらそれはただの個人の主観だ。あるのはただ、答えだけ──善悪も強弱も健病も好嫌も、もちろん幸不幸も──平等でしかないという、ひどく冷徹な答えだけだ」