これは、とある福岡のBARで行われた交流しながらゆる〜い空間でエンタメを楽しもう!というイベントで披露したオリジナル声劇の脚本です! 同じビルのBARで働く、ぴょんぴょん飛び跳ねるうさぎみたいな女の子と 別の交流会で出逢った、不思議な雰囲気を纏う女の子 彼女達のキャラクター性と実体験のエピソードを抽出したオリジナル物語を創り、 実際にお客様の前で一緒に演じてみました。 物語の世界、キャラクターに興味を持ってもらえたら嬉しいです。 ここから、台本。⏬────────
これは、とある福岡のBARで行われた 交流しながらゆる〜い空間でエンタメを楽しもう! というイベントで披露したオリジナル声劇の脚本です。 同じビルのBARで働く ぴょんぴょん飛び跳ねるうさぎみたいな女の子と 別の交流会で出逢った 不思議な雰囲気を纏う女の子 彼女達のキャラクター性と実体験のエピソードを抽出したオリジナル物語を創り、 実際にお客様の前で一緒に演じてみました。 物語の世界、キャラクターに興味を持ってもらえたら嬉しいです。 ここから、台本⏬─────
夕陽が落ちる。空から、海へ。 だからわたしも、追いかけようとして、飛び込んだ。 あまりにも綺麗で、手が届きそうだったから。 でも、あまりの冷たさにびっくりして、思いっきり水を飲んでしまった。しょっぱい。不格好に手足をバタバタとさせるわたしの周りに、魚たちが集まってくる。きっと、肺でしか呼吸のできないわたしのことを、笑いにきたのだろう。 地球の七割は海だという。 その体積のほとんどを、こんな塩っ辛い液体で埋め尽くしてしまうなんて、この星を作った神様はきっと、たいへんな泣
アクタボンワールド─Openエデン福岡─ 12/23、クリスマス前夜にイベントバーで開かれた演劇公演イベント【神の不在証明】。 本番前からTwitterで公開していた、各演目の登場キャラクターそれぞれの物語を投稿文字数ぴったりの140字表現した演目関連小説を、この記事に纏めました。 ご観劇くださった方も、今回は見逃したという方も、是非それぞれのキャラクターに想いを馳せ、アクタボンワールドに踏み入ってみてください。 演目①『氷点下』"人の命は、氷みたいなもの?" 「神
正直な話、ほんとはちょっと、羨ましくはあったんだ。 「わたしは捺鍋手愛須(おしなべてあいす)ですわ。みなさまのことが大好きです。愛してます!」 あたしの前の席に座った女は、頭がおかしかった。 高一の最初のホームルームで、しかも女子校の教室で、まだ性格も名前も知らない(オシナベテは出席番号順が早いからこの時点で自己紹介を済ませていた奴はほぼいない)クラスメート全員にいきなり告白をし出した。 「なあ、オシナベテ。お前さ、もしかして付き合ってる奴とかいんの? いねーわ
週末の居酒屋は、人でごった返していた。 職場の愚痴を溢し合うスーツ姿のサラリーマン、一つの大皿を笑顔でつつく四人家族、コールでバカ騒ぎする大学生集団。同じ夜を同じ場所で過ごしていても、環境や年代がちょっとズレるだけで、飲み方にもこうも差が生まれるものか。 「お待たせしました。ビールと、オレンジジュースになります」 テーブルに、頼んだ飲み物が運ばれてくる。店員さんは右手と左手に持ったグラスを、どっちにどう置こうか一瞬悩んでから、腕をクロスさせて配膳を完了させる。
スプーンの上に、黄色と赤が乗っている。 夢は、オムライスみたい。 遠くから見てると、綺麗で、単純に見える。だけどちょっと掬ってみたら、ふわふわの卵に包まれていたその中身には、ぐちゃぐちゃのケチャップライスが詰まってる。苦い野菜が、肥えた鶏肉が、刻まれて、混ぜ込まれている。 はぁ。 域還市立大学の食堂で、一口分のオムライスの欠片が載ったスプーンを見つめながら、溜息を零す。多くの学生で賑わうお昼の食堂は、うるさくてあんまり好きな場所ではないけれど、大好きなオム
前職では、人を騙すお仕事をしていました。 そう答えると、面接官は決まって、怪訝そうな顔を向けてくる。なるほど、では働くは働くでも、詐欺を働いていたというわけですね。などと、ユーモア混じりの言葉を返してくることはない。たいてい、数秒ほど変な空気が流れてから、「ではこれで以上になります。お疲れさまでした」と告げられ、体感気温がすこし下がった部屋から、退室を促される。 面接という自分の信用性を伝える場で『人を騙してきました』と宣言することがそもそもおかしな話だが、
春の選抜大会、みたいなものが、新聞部にもあればいいのに。 そんなことを考えながら、喜六は部室の窓から覗く『祝! 陸上部全国大会出場!』と書かれた垂れ幕を、常備しているインスタントカメラで捉える。 「……って。こんなに堂々と垂らされている情報、知らない方がおかしいよな。スクープには程遠いか」 溜息を吐きつつ、インスタントカメラのレンズを、今度はグラウンドを走る陸上部生の方へと運ぶ。シャッターを切ろうとしたところで、これではただの盗撮と変わらないと思い直し
「ど、れ、に、し、よ、お、か、な、と」 時は幕末。世は戦乱。 主君への忠義に殉じるが幸せとされた侍が、各々の哲学に則った理想郷を描いて生きることを選んだ、時流の海峡。ある者は新時代の到来に思いを馳せて国家転覆を謀り、またある者はそれでもお上に侍して異人を払うに躍起となる。 下剋上が横行し、縦横も判然とせぬ、斜に傾いた不安定な時代。 そこに、時の流れなどお構いなしといわんばかりに我が道──まるで時代を凝縮したかのような、光も差さぬ黒い森のなか─
堂接続一過。どうでもいっか。 わたしの人生に、そこそこ価値がないことに気付いたのは、齢にして七つのときだ。その節、わたしは他の子供達と同様に、『小学校』という施設に通い出すこととなる。結論から言えば、そこでわたしはわたしのわたしたる不要さを思い知るわけだが、父と母がこんな命を産み落としてくれた記念日、そう、わたしの誕生日が五月五日であることを思えば、七つになるまでその事実に気付かなかった、つまりあの施設に通い出すようになって少なからず一月はわたしはわたしの命になんの
佐藤成実に与えた役は、気が付けば彼女だけのものになっている。 佐藤成実。なるみん。アクタボンのマスコット。現役理系女院性。ディズニーのショーやパレードに憧れ、自らも表現の舞台に飛び込んだ女優。 現役の大学院生というだけあって、なるみんはすごく頭が良い。ホンを読み込む理解度はいわずもがな、彼女の演技にはひとつひとつ明確でちゃんとした"意思"が宿っている。 「なんでその動きをしたんですか?」「なぜその表情なんですか?」「どうしてそこまで歩いたんですか?」
1. 成未。なるみ。 お父さんとお母さんがわたしに付けてくれた、わたしだけの、お気に入りの名前だ。 「なにぼーっとしてんだよ。先生に怒られんぞ、汐川」 小学生の、ある一年。 三年生だったか、四年生だったか、もしかしたら五年生だったか、あんまりよくは覚えてないけど。 一年期中、わたしの隣の席には、ずっと同じ男の子が座っていた。 運命──を、期待した。 「……呼ばないで」 「は?」 「汐川、って呼ばないで」 「じゃあ、な
** 安部早馬は、逞しい役者だ。 ** 安部早馬。あべちゃん。アクタボン最年少。 不思議な愛嬌溢れる、みんなの弟。 あべちゃんは、どこか読めないところがある。稽古場でも、無口に座っているかと思えば急にひとりで笑い出したり(こわい)、いきなり演出をつけているときの僕の誇張物真似を披露してきたり(ちょっとむかつくけど面白い。いつか公に披露してほしい)、出会ってからもうすぐで約二年が経つけれど、僕はいまだに安部早馬という生物が日々なにを考えて生きているのかわからない。
1 馬鹿。 バカじゃなくて、うましか。俺の苗字。 馬鹿零。うましかれい。 それが俺の名前。 そしてそんな俺の、高校三年生前期中間試験の、結果。 『数学、零点。』 やっちゃった。さすがに、これは完全にやっちゃった。 名前は書いた。空欄は埋めた。その上での、無得点。 名は体を現すという。つまり、今回のテストの成績は勉強不足や授業中の居眠りが原因ではなく、すべてがこの名前にこそあるわけだ。 そう考えるとい
のだまりなの愛は、次元を超越する。 のだまりな。のんちゃん。アクタボンの癒し系。天然ヘッポコお姉さん。 のんちゃんは、アクタボンのお姉さんだ。メンバーに癒しと安心を与えてくれる。いつも周りを見ていて、気も遣えるし、稽古や公演のたびに、僕らみんなをサポートしてくれる。 それに人の気持ちを、痛みとか悲しみとかを、汲み取ることができる。優しい心の持ち主だ。 人の心がわかる役者は強い。 のだまりなを初めて「すごい」と思ったのは、実はアクタボンとして