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七つの幸運ep.穴生革命音詠詞「届けない想い、永遠に」①

1.

 心は、刃だ。

 人はだれしも、心にキョウキを抱えている。 

 いつだれを傷つけてしまうかもわからない「それ」を隠して、見つかることを恐れて、必死に生きる。それが人間。それこそが人生。

 その人生観はもはや達観を通り越して逸脱の域だが、齢十代にしてその境地に達するに足る人生経験を、彼女はその身に受けきってきた。

 否が応にも、逆らうことなどできないものだ。親と時間と運命と、幸運には。

「青春ってさ、やっぱ気疲れしちゃうよね。だれとだれが付き合ったとか、好き同士とか──ほんと、くだらないなって思っちゃう」

 幸運に愛された少女の横で、真っ青な春に嫌気を覗かせる女子高生が、ここにひとり。

 穴に生きる革命の音。

 詠い続ける恋の詞。

【本音】を隠して過ごす幼馴染──穴生革命音詠詞。

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