七つの前屈ep.未知標奇跡「プロット通りの三者面談〜歩め、道。〜」①
1.
人生は選択の連続だ。ただ、決断するのが己であるとは限らない。
生きることは捨てることだ。
右と左、その両方を同時に歩ける人間などいない。右の道を行くということは左の道を捨てるということであり、左の道に行くということは右の道を捨てるということである。
どちらも捨てたくないと想い立ち止まった結果、そのどちらも取り零してしまう、みたいなのもよくある話だ。
どの選択が正しいかなんて、結局だれにもわからない。
だって、選ばなかった道の先がどこに繋がっていたかなど、どう足掻いても知る由もないのだから。
科学者が実験で使うモルモットみたいに、分岐した世界線と世界線を並べて検分するようなことは、できはしない。
神様にでもならない限り。
あるいは、概念にでも遭わない限り。
ただ、正しいかどうかはわからなくとも──幸福かどうかの判断は可能だ。
判断、判別は可能だ。
幸せとは相対的なものではなく、絶対的な指標を以って測られるべきものなのだから。
「奇跡ちゃんの毎日は、ずーっと幸せだよ。むしろ幸せじゃない日があれば、それは奇跡ちゃんの一日ではないとさえ言ってしまってもいいね! 奇跡ちゃんの進むべき未来は、女神さまがぜーんぶ教えてくれるんだ」
正偽も曖昧な未来において、ただただ幸運な明日に向かって歩む少女が、ここにひとり。
超幸福のラッキーガール。
女神さまの横恋慕。
『幸運』に愛された女子高生──未知標奇跡。