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七つの前屈ep.未知標奇跡「プロット通りの三者面談〜歩め、道。〜」③

3.

 学校という空間で起こる問題など、いってしまえばたかが知れている。

 だれとだれが付き合ったとか、喧嘩したとか、絶交したとか、生徒間で取り沙汰されるニュースなんていつも、そんなのばっかりだ。

 泥棒事件も、愛人の蜜月も、人質を巻き込んだ抗争も起こらない。

 安定した世界。

 調和の取れた建物。

 それが学校──公立域還高校。

 幸せな少女の三者面談とか、勘違いされやすい優等生が取り仕切るクラス会議とか、学校をさぼって相棒の姉の救出劇に参加する不良のことなんて、大局的にはどうでもいい。

『怠惰』に教壇に立つ寝待伏未来ではなくとも、それは同じ。

 べつにだれも気にしていない。

 学び舎の中で、なにが起ころうと。

「なんの問題も、課題もありませんよ。未知導。お前はこれまで通り生きていれば、きっと幸せに暮らせるものだと、先生は思うぞ」

 知らないし、知ろうともしない。

「はーい。でもそんなの、せんせに言われなくても、わかってるよ!」

 未知標奇跡の身に、災厄は降りかからない。

 彼女の『幸運』は、不幸をすべて弾いてしまう。

 事件に巻き込まれることはない──すくなくとも、自分のそれと同等の属性を有する人間と、道を交えでもしない限りは。

 同じ舞台に、並んだりしない限りは。

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