読書メモ(サファイア)

■感想

・読んでいた別の本が400ページほどの重めの本だったため、箸休め感覚で大好きな湊かなえのサファイアを再読した。「サファイア」は短編集となっており記載の内容はその中の一つである。幸せの象徴であり、主人公にとって心を許した象徴でもある指輪が、殺される原因でもあり負の遺産として残るという点がいかにも湊かなえっぽいな〜と思った。

■作者と概要

・作者は湊かなえ。幼い頃から貧しい家庭環境への負い目からねだることをしたことがない主人公であったが、旅行先で修一とあったことをきっかけに初めて心を開きついに「初めてのおねだり」をすることになる。しかしそこでねだった指輪が原因で修一は事故死(もしかしたら殺人)にあってしまう。

■よかったインプットメモ(主観)

・全てを知ることは必ずしも善ではない。今回の場合、田中が悪徳な指輪アンケートのバイトを修一もしていたことを告げなければ殺人だった可能性について知ることはなかった。

・どうしようもできない状況の時に環境のせいにしたがる。本書では修一の死が事故死ではなく殺人かもしれないという事実が、怒りのやり場のないどうしようもできなかった状態から、犯人がいるかもしれないという誰かのせいにできる状態を作り、さらなる怒りを生んだ。

・愛されているという実感は「自分だけに対して」というエゴの側面を持っている。シャーデンフロイデにもあったが、愛には妬みに近い感情があり、本作品でも恋愛をしたという事実が「初めてのおねだりをした=心を許した初めての人」という文脈で描かれている。



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