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会社を相手に裁判を起こすことに踏み切れなかった労働者たちの想い〜北海道金属じん肺訴訟との出会い①~
札幌弁護士会所属 村松法律事務所所長 弁護士の村松弘康です。
今回は、金属じん肺患者との出会いになります。
北海道栗山町でクロム訴訟の陳述書作りに明け暮れていた1979年の秋のこと。
北海道余市町に住む高橋貞義さんと石渡猛さんが相談に来られました。この2人は住友金属鉱山余市鉱業所で働いて、すでに、じん肺に罹患していたのです。
金属鉱山の奥深くで発生していた「じん肺」という不治の病を、2人の話しを聞いて、この時、はじめて知ることになりました。
じん肺とは、鉱山や炭鉱の中で吸引した粉じんが肺胞内に蓄積し、やがて肺胞に線維増殖性の変化を起こして肺機能が低下していく、不可逆的かつ不治の肺疾患です。
また、じん肺は江戸時代から「山よろけ」「山酔い」などと呼ばれて恐れられていたのですが、クロムと同様、鉱山内で粉じんを吸えばじん肺になるとは知らされず、じん肺が不治の病気だとも知らされずに働いたのでした。
一生懸命に働いて、壊れた身体だけが残ってしまった2人は、やりきれない悔しさを滲ませて、「なんとか方法はないものだろうか。」とポツリと呟きました。
「損害賠償を請求する方法があります。」
と話すと、2人は「会社には永年お世話になったので、会社を相手に裁判を起こすことにはなかなか踏み切れない。」と苦悩をにじませていました。
現に会社を訴える準備の中で、何人もの原告予定者が提訴を断念したのです。
(次回へつづく・・・)
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