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#1 「CPI=いくら」という幻想
こんにちは、彼方此方(あちこち)のむらまさです。今年はnoteに挑戦しようと思い立ち、慣れない記事を書いてます。生暖かい目で見ていただけますと幸いです。
数年来デジマに関わって、事業者側のゴリゴリ実務派としてクジラが何頭も買えるくらいは広告を打ってきました。その経験から、もっとお伝えできることがあると思い、筆を握る決意をしました。
今回は、最近気になっている「CPI = いくら」って考え方。これって本当に合ってるんだっけ?みたいな話をしてみます。初回なのでサクッとまとまりそうなテーマにしてみました。マーケターよりは、マーケターと一緒にはたらく経営層、PM、クリエーターなど向きかもしれません。
CPIでも、CPAでもCPEでもCPCでもなんでもかまいません。「Cost Per ナントカ」というやつですね。インストールあたりのコスト、みたいな概念です。
この記事では簡単化のために「アプリ」の「インストール(CPI)」として話しますが、WebでもCPAでも基本的には当てはめられると思います。
1. 「CPI」と「インストール数」は一心同体
まず、CPIは単独では考えることができないです。
Cost per Installなので、インストール数もセットで考える必要があります。CPCならクリック数、CPAならアクション数がセットです。彼らは一心同体なので、引き裂かないでください。
どんなアプリやサービスでも、好みにドストライクなお客さんはほんの少しは存在して、CPIは超安く獲得できるはずです。むしろお金払ってでも欲しかったというくらいのお客さんが、少しいると思います。
そこから輪を広げて、興味関心の度合いが薄れていくほど、ニーズを駆り立てて、インストールにいざなうのが難しくなります。反応率は下がり、何度も広告を見せないと動かなくなっていくので、CPIは高騰していきます。
つまり、ちょっとのお客さんなら安く届けられるし、たくさんのお客さんに届けるには単価が上がるという関係があります。「CPI x ユーザー数」で求められる広告費は、二次元的に増えるとも言えそうです。
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2. 広告は、枯れる
インストール数 ≒ 広告予算でもあります。お金を使う分だけ、人が取れる。たくさんお金を使っていくと、どんどん相性の良くないユーザーに輪が広がり、CPIが高騰していきます。広告が枯れていくのです。
寄り道ですが、広告予算は、「瞬間出力」と「期間」に分解できます。1日100万円を、7日間投下する、というような形式です。どちらを上げても枯れていきますが、経験的には時間を引き延ばす方が枯れ方を抑えられます。1日で700万円使うより、7日で100万円使う方が、CPIは安くてすみます。これは、1日に7袋もチップス食べられないけど。7日間1袋ずつだったらいけるみたいなことと、概念的には近いと思います。(次回詳しく話してみます)
そういうわけで、「このアプリはCPI=100円です」と言い切るのは、方便で使うこともありますが、語弊があるかもなあと思っています。
「このアプリをCPI = 100円で届けられるのは5,000人くらいです。100,000人に届けようとすると、CPI = 500円くらいになります。」という話し方が正しいと思っています。
そうして広告が枯れるのを防ぐために、新たにフレッシュな広告を投下したり、それでもごまかしが効かなくなってくると、そもそもの商品を変えていくようなことが必要になります。
3. 利益は「長方形」で考える
ちなみに、LTV(顧客あたりの売上げ)は、お届けするユーザー数が増えようが、基本的には変わりません。むしろ、コアじゃないユーザーに無理に届けようとすると、お客さん単体で見るとLTVは下がってしまうこともあります。
※LINEのような、利用者が増えるとサービスの価値が上がる一部のサービス:ネットワーク効果がある場合はまた別です
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そうすると、困ったことに、ユーザー数が増えるほど、顧客あたりの粗利益が減ってしまい、ついには赤字になってしまいます。この観点では、利益を最大化するということは、LTVとCPIの差分でできる長方形の面積をどうやって最大化するかという話になります。
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そういうわけで、「CPI = いくら」というのは固定の金額では語れないうえ、油断していると利幅を圧迫してしまいます。一方で、初期のKPIから、成熟フェーズでのCPI等がどれくらい枯れるか・高騰するかを予測するのは難しいのも現実です…。
おわり
もっと書きたいところでしたが、長くなったので区切ります。次回は、CPIを左右する他の要素「お客さんの気分、お客さんの目的地」あたりについて書く予定です。
全体的なテーマとしては、ROAS(Return on Ad Spend:広告の投資対効果)を最大化するマーケティングとしていく予定です。
デジマで頑張りたい個人や企業の役に立つことを願って書いてみたのですが、当たり前すぎて役に立たないのか、なるほど感あったのか分からないので、リアクションいただけたら嬉しいです!