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OH カードと「尊重のエチケット」が関係性を変える
おはようございます。ぼくは普段某自治体の福祉事務所で高齢や障がい、精神疾患などで日常生活に困っている方を専門に支援しています。今回の記事はケースワーカー向けにOHカードと「尊重のエチケット」について書いた記事を一部書き換えてご紹介したいと思います。
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ぼくはクライアントと関係を作っていくために「OHカード(「オーカード」と読みます)」を使うことがあります。OHカードは絵カードと文字カードからなり、カードを通じて自分が感じることを自由に表現するために作られたカードで、福祉・教育・心理の現場でも使われています。
ぼくがなぜこのカードを使っているかというと、このカードを使う際の「尊重のエチケット」が、ケースと関わるうえでとても大切だと感じているからです。尊重のエチケットは、以下のとおりです。
尊重のエチケット
お互いのプライバシーを尊重しましょう
カードを引くか引かないか、引いたカードを周りの人に見せるかどうかは自由です。その理由を説明するかしないかも本人次第。相手に強要しないこと。
お互いの存在を尊重しましょう
相手が話している時に割り込まないこと。話を遮らないこと。
お互いの知性と想像力を尊重しましょう
(たとえ心の中であっても)相手のカードを解釈したり、相手の解釈を再解釈したりしないこと。
お互いの人格を尊重しましょう
O H カードに「正しい解釈」はありません。相手の解釈に異議を唱えたり、議論を持ちかけたりしないこと。
お互いの個性を尊重しましょう
O H カードを使うときには、相手が自分と同じように見ている、同じように感じている、同じように
読み取っていると考えないこと。
尊重のエチケット」を実践すると・・・
みなさんはこれを読んでどう感じましたか?「こんなの当たり前。出来て当然!」「やばっ、かなり出来ていないことがある」「そんなのやったら、相手がどんどんわがままになるだけだよ」などなど、いろいろな考えや感情が浮かんできたかと思います。
ぼく自身このエチケットを常に守れているわけではないですし、実際実践することは難しいです。
でも、ケースとこのエチケットを確認し、これに気をつけながら一緒に OH カードをしていくと、その後の彼らとの関係性に次のような変化が出てきました。
■最初 はこちらの顔色を伺 いながら自信なさげに話していたクライアントが、自分の考や想いを、自信をもって語ることができるようになりました。通院の際にお医者さんに自分のいまの状況を 見事に言語化し表現できるようになったクライアントもいました。
■うつ病のクライアントが、何回か一緒にOHカードをしていくなかで、ある日あるカードを見ながら「前は過去に囚われていて悔やんでばかりいたけど、今は未来志向になった。前を向けるようになった」と語ってくれました。
■普段 はなかなか出せない自分の深い想いや感情に安心して繋がることができるので、ケースが表情豊かにとても生き生きとエネルギッシュになりました。
■お互 いに自分のことを語り合うので関係性が深まりましたそして何よりもケース が ぼくのことを大切にしてくれるようになるので、私 自身も元気 になりました。
「尊重のエチケット」をぜひ実践してみてください
やってみるとわかるのは、ぼくも含めみんな「自分のことを語りたいし、知って欲しい、理解して欲しい」ということです。逆に言うと、ぼくたちは普段自分の考えていること、感じていることを自由に表現出来ずに我慢しているとも言えます。
もちろん常に OH カードを使える状況にあるわけではありません。だけど日常における他者との関わりにおいて「尊重のエチケット」をこころがけていると、その人との関係性には必ず変化が現れるとぼくは思います。よかったら皆さんも実践してみてくださいね♪
ひとりでも多く実践してくれる人が増えるとそれだけ社会はやさしくなると思います。そして、よかったら感想もお気軽にお聞かせください。
OHカードについて書いたこちらの記事も良かったらご覧下さい。