ムラカミユキ/ひらく設計舎

さまざまな「ひらく」をキーワードに、しみじみと楽しい日々をデザインする。栃木・東京を拠…

ムラカミユキ/ひらく設計舎

さまざまな「ひらく」をキーワードに、しみじみと楽しい日々をデザインする。栃木・東京を拠点に、活動しています。愛猫テンちゃんに夢中。ひらく設計舎/二級建築士事務所

マガジン

  • 家事塾の家事セラピスト養成講座

    (社)辰巳渚の家事塾が認定する「家事セラピスト養成講座」の東京講座を担当しています。講座の中のまなび、きづき、辰巳さんとの対話の記憶など、不定期でまとめていきます。

  • 『パタン・ランゲージ』に学ぶ、家づくりのヒント

    建築家クリストファー・アレグザンダーによる『パタン・ランゲージ』は多くの建築家の読まれている名著です。その真意は専門家だけでなく、一般の人々こそがこの本をツールとして、家を街をつくってほしいということだった!ということで、「家づくりをする人が家づくりのヒントにできる」ように、パタン・ランゲージを再読してまとめていくノートです。

  • 創造的家づくり。住みたい間取りは自分でつくる!

    住宅設計という仕事を通して、つくる楽しさと発見のよろこびを日々体験しているので、自分で間取りをつくりたいという人の気持ちはよくわかる!その楽しさは、つくる・まなぶ楽しさでもあり、自分を発見する探究活動のようなもの。ジェネレーターシップでの家づくりをレポート。

最近の記事

記憶期を生きる。人生十二相と葬送のフリーレンより。

『人生十二相』という本があります。 故・辰巳渚さんの著書で、副題に『おおらかに生きるための、「捨てる!」哲学』とあります。人生の節目に起こる困難を乗り越える知恵を、家事や日本文化の視点で書かれています。 ひとの人生には12のフェーズがあり、それぞれのフェーズを生き切る(=終わらせる)ことで次のフェーズを軽やかに生きていく、そのための考え方や暮らしのヒントが具体的に紹介されています。 記憶期を生きる この世に生まれてからの人生、12のフェーズが年表のように示されているので

    • 親子で読んで!おうちの絵本たち

      家づくりの一般書、いまはとても充実していますね。SNSで写真を集めつつ、書籍で家づくりの知識を高めているお施主さんも多いでしょう。 子どもだって、おうちづくりは楽しいもの。せっかくの家づくり、どうぞお子さんにも参加してもらいましょう!家づくりの「おもしろさ」や日々の暮らしの「大切さ」を感じられる絵本をご紹介します。 我が家の子ども達もお気に入りだった絵本たち。娘は「おうちをつくろう」のオムレツが、息子は、怖くて優しい「イエコさん」が大好きでした。 ティモシーとサラときのお

      • 家づくりにも0学期を

        高校2年生は年が明けると「受験生0学期」で「とても大事な助走期間」になるのだ、ということを息子の高校の保護者会で聞いてへぇ~なんて思っていました。0学期の過ごし方で、目標が変わってきますよ、と。(この場合志望校ですが)憧れだった場所が夢となり、自分にも実現できることとしてとらえられるようになるかもしれない、と。大谷選手の「あこがれるのをやめましょう」を思い出します。先生も意識したのかもしれません。 家づくりの0学期 家づくりにおいても、0学期があるように思います。土地探し

        • ひらく設計舎がひらくこと。

          こんな家や場や空間がつくれたら。 2023年で最強に縁起の良い日に、実現したい仕事を記録しておきたいと思います。 住まいの内と外をひらく。 内と外が出あう、あいまいな空間は昔から多様な活動を受け止める場所でした。自然との接点、活動の接点、人との接点となるこれらの場は、暮らしが生き生きとする懐の深い場所です。そんな内外の中間領域を通して、どんな環境でも季節の便りがきちんと届き、その豊かさにハッとできる。そんな住まいを目指してきました。 うちからそとへ、まちへひらく。 さ

        記憶期を生きる。人生十二相と葬送のフリーレンより。

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        • 家事塾の家事セラピスト養成講座
          6本
        • 『パタン・ランゲージ』に学ぶ、家づくりのヒント
          5本
        • 創造的家づくり。住みたい間取りは自分でつくる!
          6本

        記事

          ねこばなし ブロンソンくんとテンちゃん

          SNSで愛猫テンちゃんとソックリな猫さんをみつけたのが5年前。 ブロンソンくんというその猫さんは絶賛ダイエット中で、当時の体重が15キロ超!かなりの貫禄だったのですが、顔はシュッとしていて、フェイスラインからはそんなに体重があるとは感じられないのが不思議でした。(上の写真の画面の猫がブロンソンくん) ↑ でもやっぱりでっかいね。どすこいキャット! 当時のテンちゃんの体重は6キロ。それでも、大きいな!という印象がありましたが、15キロのボディを見るとまだまだ大丈夫と思っていた

          ねこばなし ブロンソンくんとテンちゃん

          くらしの哲学  家づくりってなに?

          家づくりの仕事をしていると、お客様の多くがポジティブなエネルギーを持っている方が多いものです。それもそのはず、大きなお金と時間をかけて「家族の住処をつくる」というプロジェクトは、家族の仕事や人生が充実していたり、充実させたいという思いがなければその土台に上がらないからです。 家づくりって何だろう? と考えたとき、 家のことを考えながら、家族は自分や家族の「幸せの形」を探っている。「幸せ」という言葉はとても抽象的だけれど、私達がかく図面や模型、一緒に決めていく素材などは、そ

          くらしの哲学  家づくりってなに?

          ひらく設計舎ひらきました。

          このたび、栃木県にて二級建築士事務所を開設いたしました。 住まいは東京にありますが、これまでも、栃木の実家をもうひとつの拠点として仕事をしていたのと、この年になって育った地で役に立ちたいと思って…なんて、それはもっともらしい建前で、本音は、去年父が亡くなって、栃木との縁が細くなってしまったような寂しさに自分でも驚き、栃木で過ごす時間を増やしたいという気持ちも大きいのでした、 でも、住所が東京だけど、栃木で開設なんてできるのかな? と、事務所協会に問い合わせたところ、この数年

          ひらく設計舎ひらきました。

          母のスマホ

          2023年が穏やかに始まりました。 いい一年になりますよう、頑張っていきましょう。 今年は父の喪中のため、実家にて、家族とこぢんまりと過ごしましたが、そこで知った衝撃の事実! 2021年の暮れに、母(78歳)がガラケーからスマホに乗り換えた記念に親戚一同のLINEグループができました。また、「これからは簡単に写真が送れるね」と子ども達の写真を送っていたのですが、グループLINEでは既読の数がひとり足りず、ダイレクトに送った写真も既読がつかない。 ガラケー時代に電話オンリ

          父が遺したガラケー

          先月、実家の父を見送りました。1年半ほど前に脳梗塞で倒れて左半身に麻痺が残り、入院生活の後は施設でお世話になり、家に帰らずにまた病院での最期でした。 当然、コロナによる面会制限があるため、母も一緒に暮らす兄家族や私たちも会えるのは時々。私は、1年半前の秋、倒れる2日前に会ったきりのお別れとなってしまいました。その点については、本当に無念です。 その代わりと言ってはなんですが、葬祭場が混んでいて、葬儀まで自宅で一緒に過ごす時間がゆっくり取れたことはありがたく、家族で慣れない

          わかりあえないを超える

          すっかり春めいてきましたね。 本来ウキウキする春に、世界では心痛む出来事が続いています。幼い子が凍える姿、街を追われる姿には言葉もありません。そんななか、読み返している本がこちらです。 非暴力コミュニケーション、と聞くと、私の生活には関係ない世界の話かな?それこそ、世界紛争のような…なんて思われる方もいるかもしれません。「暴力」という言葉の印象もあるかと思います。 しかし、こちらを読むと、家族同士のコミュニケーションや、たとえば私たちのような家づくりの場でのコミュニケー

          わかりあえないを超える

          なつかしさの正体は自己愛―ルリボシカミキリの青

          『ルリボシカミキリの青』は10年ほど前に、2回買った本です。というのも、1回目読んだ後、なにかのイベントで「お気に入り本の交換会」という交流企画があって、断腸の思いで笑、どなたかと交換したのでした。 その後、やっぱり読み直したいフレーズがたくさんあり、1年後に再購入(Amazonの記録によると)。 当時は、子どもたちがちびっ子で、まとまって本を読む時間というのはなく、だいたい晩ごはんをつくりながら、とか、電車の移動中に、という細切れ読書時間でしたので、週刊文春の連載コラム

          なつかしさの正体は自己愛―ルリボシカミキリの青

          表現活動としての「掃除」

          私のライフワークの一つに「家事塾」があります。故・辰巳渚さんが社団として設立し、私たち「家事セラピスト」に遺してくれた、頭はクリエイティブに、身体は地に足つけて、そして、心は自分に素直に、暮らしや生き方を考える学びの場であり、学び人があつまるコミュニティです。現在は「辰巳渚の家事塾」として活動しています。 「家事塾」の所属なので、家事が好きだったり、得意なのかと思われることが多いのですが、好きな時もあればめんどくさい時もある。そんな自分もよしとして、その時々に家事とよいおつ

          表現活動としての「掃除」

          パタン・ランゲージ#9 仕事場の分散

          コロナでのリモートワーク文化が浸透して3年目、オフィス街に空き室が目立つ一方で、ちょこちょこと、ワーキングスペースができてきているのも見かけますね。 クリストファー・アレグザンダーの『パタン・ランゲージ』より「仕事場の分散」についてです。 職住が離れてしまった近代 「家庭と仕事の分離」は、戦後の日本の郊外の歴史でも同じく「職住分離」の社会システムです。国民に持ち家を持たせる、という日本の政策でもありました(税制優遇、都市開発の指針など)。 その結果、都心部から放射線状に

          パタン・ランゲージ#9 仕事場の分散

          小池一子さんの言葉にもらう希望

          本を通して、同時代を生きる先輩の仕事に刺激をもらい、その言葉に励まされることは多い。小池一子さんの仕事を知ることのできる2つの著書は、まさにそんな感じの2冊です。 断片的だった小池さんの情報が、年表のように連なり、その時々でどんなふうに世の中をみつめ、美しいものを讃え、新しい価値観を発信してきたのかが物語のような本になっています。バックボーンの幼いころや近しい方々、お仕事での人間模様もドラマチック。 以前、お見かけした折の笑顔と軽やかさから、86歳と聞いて驚きつつも、書中

          小池一子さんの言葉にもらう希望

          わたしの原風景・とちぎの夕暮れ

          栃木・宇都宮の田園風景のなかで育ちました。遠くに日光から那須の山並みは見えるけれど、ひろいひろい関東平野。田園が続くので空が広く、朝日から夕陽まで、太陽のリズムが一日のリズムでした。 わたしにとって、「夕陽がみれること」は日々の暮らしにとっても重要なのだということに気づいたのは、今の住まい(東京下町の密集地)に住んでから。朝が苦手なので日常に日の出を見ることは少ないのですが、東側に道路があるので、朝から太陽を感じながら起きることができます。 ただ、家から夕陽はもちろん、夕焼

          わたしの原風景・とちぎの夕暮れ

          生まれ変わって清々しく、2022年

          あけましておめでとうございます。 関東では、寒くもお天気に恵まれて、穏やかなお正月となりましたね。 日本では、お正月でみんな新しい自分に生まれ変わる、 そんな考え方があり、新年で一斉に年を重ねる数え年がありました。 いまでもおばあちゃん世代は、「数えで〇〇歳」なんて言い方をしますね。 私は、この「お正月で生まれ変わる」ような再生の感覚、 日本に生まれてよかったなと思ったりしています。 いろいろあったけれど、良きも悪きも、大晦日にはいったんリセット。 年神様から新しい年(たま

          生まれ変わって清々しく、2022年