見出し画像

【頻出】職務著作のツボ!知財管理技能検定2級・3級過去問【出る順解説】

 知財の勉強をしていると、「職務発明」「職務創作」「職務著作」など、「職務ほげほげ」な用語がよく出て来ます。「職務で作ったんなら会社側に権利よこせ」って言う、一見横暴な規定なんですが、場合によっては会社側に権利を持ってもらった方が楽なコトもあるんです。と言う訳で、今回は「職務著作」について「ココだけ抑えれば1問ゲットできる」という重要ポイントを解説します。

 本記事の内容を動画でも解説しています。この動画がアナタのお役に立てたなら、チャンネル登録&高評価よろしくお願いします。

そもそも「著作者」とは?

 「職務ほげほげ」のコトを話す前に、そもそも「著作者」とは何なのかって言う定義から見て行きましょう。著作権法第2条1項2号に、「著作者とは著作物を創作する者を言う」とハッキリ定義されています。著作権法の保護対象は、人間の思想又は感情を創作的に表現したモノなので、創作した人が強いんです。超大型巨人を量産する始祖の巨人級に強いんです。

著作権法第2条
 著作者 著作物を創作する者をいう。
 映画製作者 映画の著作物の製作に発意と責任を有する者をいう。

著作権法第2条

 ただし、実際に創作した者が著作者なのであって、単にお金を出して誰かに作らせただけの人は著作者になりません。世の裁判例を見てると、著作者が誰になるのかは重要な争点になってます。1級受検を目指す人は、判例も整理しておくと良いでしょう。とはいえ、この記事を読んでる人の多くは3級受検を目指す初学者だと思うので、深入りせずに要点だけ頭に入れておくのが良いと思います。基礎知識が不十分な段階で深入りをしちゃうと、自分に都合のいいように解釈する悪癖が付いちゃうかも知れないからです。

職務著作とは?

 職務著作に該当する場合は、実際にその著作物を創作した者ではなく、法人等の使用者が著作者になります。例えば、新聞や雑誌を作成するとして、記事を書くのは新聞社の従業員である記者になるでしょう。また、記者1人で全ての記事を作ることは出来ないので、何人かの記者が協力して記事を書くことになります。原則通り、記者が著作者となると、記事を利用する度に各人の許可を得なくちゃいけなくなります。これって大変ですよね。そこで法は、職務著作という制度を設けて、法人等の使用者を著作者と認めることにしました。

 職務著作の成立要件を満たせば、法人等の使用者が著作者になります。特許法に規定される「職務発明」のように権利が法人等に移転するのではなく、最初から著作者の権利が法人等に帰属します。そのため、法人等は対価を支払う必要はありません。

職務著作の出題傾向

 職務著作は3級で出題されることが多いです。例えば、直近10回分の3級の過去問を調査したところ..

職務著作の出題傾向
表1 職務著作の出題傾向

表1に示される通り、ほぼ毎回出題されていることが分かりました。3級では、特に、学科試験で問われやすいようです。なので、一般公開されている直近3回分の過去問を解いておくと、おおよその傾向が掴めます。問われる内容も難しくは無いので、ぜひとも得点源にしてちゃいましょう。
(ちなみに、第35回は新型コロナウィルスの感染防止のために検定そのものが中止でした。)

職務著作で抑えておくべきポイント

著作権法第15条
 法人その他使用者(以下この条において「法人等」という。)の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除く。)で、その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。
2 法人等の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成するプログラムの著作物の著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。

著作権法第15条
  • 法人その他使用者の発意に基づくこと

  • 法人等の業務に従事する者が作成すること

  • 職務上作成する著作物であること

  • 法人等が自己の著作の名義の下に公表するものであること(プログラムの著作物はこの要件は不要)

  • 別段の定めが無いこと

職務著作の出題例

ア~ウを比較して、職務著作に関して、最も不適切と考えられるものはどれか。

ア 法人の発意に基づき法人の業務に従事する者が職務上作成するものであれば、法人以外が著作者となることはない。
イ プログラムの著作物については、法人の著作者名義の下に公表しなくても職務著作となることがある。
ウ 法人の業務に従事する者により職務上作成されるものであれば、勤務時間外に自宅で作成してもその法人が著作者となることがある。

2022年7月10日 3級学科 問10

正解 ア
法人等が自己の著作の名義の下に公表するものでない場合、あるいは、契約等で法人以外が著作者となる旨の定めがある場合は、法人以外が著作者になる事がある。

ア~ウを比較して、職務著作(プログラムの著作物を除く)の成立要件として、最も不適切と考えられるものはどれか。

ア 法人等が自社の名義の下に公表すること
イ 従業者に対価を支払うこと
ウ 法人等の発意に基づくこと

2021年7月11日 3級学科 問3

正解 イ
職務著作の場合、従業者に対価を支払う必要はない。

まとめ


 以下の記事で、著作権法について簡単に説明しています。実際の出題例も解説しているので、著作権法の全体をザックリと知りたいって人は、ぜひ見て下さい。

宣伝

 知的財産管理技能検定3級に合格するために必要な知識をコンパクトにまとめた書籍を出版しています。仕事や家事が忙しくて時間の無い方にオススメです。公式テキスト(3,300円)より安いし、文量も少ないので、短時間でパッと頭に入れたい人にも向いています。

 より詳しい解説を聞きたい人は、YouTubeに動画を上げているので、お役に立てて下さい。音声を聞くだけでも十分に頭に入って来るよう、簡単な説明を心がけています。視聴者からのコメントによると、通勤電車の中、家事をしながら等、ながら学習にも向いているようです。

いいなと思ったら応援しよう!