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ひかる
2019年8月15日 15:45
クリスマスの日に、しばらく会っていなかった友人から電話が来た。彼は人を殺したと言った。最初は冗談かと思ったけど、彼の緊張した声から、これがただの悪ふざけでないことがわかった。彼はすぐに僕の家に来ると言った。 彼の電話を受けた時、僕はリビングの机で書き物をしていた。仕事の都合で何枚か書き込まなくてはならない書類があったのだ。しかし友人の電話を受けてからは、もちろんそんなものの続きを書く気などなく
2019年4月23日 22:27
「昨日ここに天使が送られてきたらしい」 友人は何気なくそう言った。 僕はグラスを右手に持ったまま、まじまじと彼の顔を見つめた。友人はカウンターの上に両腕を置き、物静かな目線を自分のグラスに注いでいた。「天使?」と僕はその言葉を確認した。 彼はうなずいた。「ああ」「何人?」「一人だ」「その話は本当?」 彼はもう一度うなずいた。「確かだ。所長が俺にこっそりと教えてくれたんだ。しばらく特
2020年2月24日 16:48
ぼくはサッカー場に入ってきた犬を連れだす仕事をしている。サッカー場にはたくさんの犬が入ってくる。芝生を楽しそうに駆けまわったり、ボールを追いかけたりする。彼らがいるとサッカーができないので、そのたびに審判はホイッスルを吹いて、試合が中断する。選手たちは動くのをやめて、犬がいなくなるのを待つ。 ぼくは試合が止まっている間に、彼らを追いかけたり、声をかけて呼び寄せたり、ときにはむりやり抱き抱えたり