【調査中】明治9年の太政官指令「妻の氏は「所生ノ氏」(=実家の氏)を用いることとされる(夫婦別氏制)」について調べてみる
※最終更新2025/01/23
夫婦別姓の話題の中で、本筋とはそれほど関係ないような気がするにも関わらず、よく気になる話として「明治民法で家制度が定められる前は日本は伝統的に夫婦別姓だった」という論がある。
私の把握する限り、かつて(15年以上前?)は夫婦別姓反対派=夫婦同姓維持派が、保守の立場から「日本の伝統である夫婦同姓を守れ」と言っていた。そこでその言説へのカウンターとして夫婦別姓推進派が「日本は明治より前はずっと夫婦別姓だった!だから伝統を守るっていうんなら夫婦別姓にすべき」っていう、ちょっとイヤミみたいな話から出てきていた論だと思う。
それがなんか、10年くらい前?から、いつのまにかスタンダードに家族の氏姓の歴史の概要を話す文章にさらりと書いてあるようになった印象だ。
そもそも論でいうと、夫婦別姓推進派が「伝統」について語るのはちょっと意味がわからない。「世界は選択的夫婦別姓がスタンダードになってきた」「夫婦同姓の強制は遅れてる」みたいな話をしながら「夫婦別姓こそ日本の伝統」というのは何か歪んでいる。あなたたちは「伝統」は壊していいという立場じゃないの?と思う。
だから本当は無視してもいいような気がするんだけど、伝家の宝刀のように振り回しているのをけっこう見かけるので、そのたびに気になる、微妙な話題だ。
(2025/01/23追記:自分の中で当たり前すぎて書きそこねていたみたいだが、そもそも「明治より前は夫婦別姓が日本のスタンダードだった」とは私は思っていない。だから、このトピックは「推進派が主張すべき内容とは思えない上に、嘘とまでは言えないけど微妙な言い回しで、見た人に誤解を与え、デマを広げるトピック」として気になっている。)
ということで以前からたびたびちょこちょこっと調べたり本を読んだりしてきているのだが、これがまた非常にわかりにくい話で、Xなんかでぽつぽつ話したってさっぱりわからないような感じなのだ。
だから、とりあえずここにnoteとして1ページ作って調べたことをまとめていこうと思った。
わかりにくい話なので、もう、調べたことを継ぎ足して整理して更新していこうと思っている。気長にやっていきます。
2024/08/18
多分原典?となる資料はここ
太政類典・第二編・明治四年~明治十年・第百三十三巻・保民二・戸籍二
PDFダウンロードしないと見られないし、ダウンロードしたところでまともに読めない……。
おそらく該当する文書は
「婦女苗字所生ノ氏ヲ用ヒ夫ノ家ヲ相続スレハ該家ノ氏ヲ称ス」
のところ?
夫婦の氏に関する覚書(一)
(PDFダウンロード)
夫婦別姓推進派の人の文書のようなのだが、明治期の太政官指令のあたりの経緯について詳しく書かれていて興味深い。
今まで私が読んだ本から私が解釈したところだと、
・かつて、明治より以前の日本では、文書に残すときの姓名としては「氏」を使っていた。この「氏」は現在の法律用語としての「氏(シ)」とは異なり、「氏(ウジ)・姓(カバネ)」を源流とするものに近い。このへん、複雑であまり調べられていない。
・文書に残す「氏」とは別に昔から「苗字」「屋号」が平民の間で広く用いられていた
・明治に国民全員に「名字」を名乗らせることとしたときの「名字」は、このあたりの「氏」「名字」「屋号」などの概念がごちゃまぜになった感じ
・「苗字」「屋号」はひとところに住む家族で同じものを名乗る(夫婦同姓)のが一般的だったっぽい
という感じ。かなり不正確な記述もあるが、印象でもとりあえず言語化しておくことは意味があるだろう。
今後、今まで読んだ本の話とかも追記していきたい。
2025/01/23
今日見かけたこちらのポストから
苗字の由来については同じ家のメンバー(血縁関係の有無は問わない)が名のる名前(家名)。
— おにぎり丸 (@5w4qs3X8yk74538) January 22, 2025
→室町・戦国時代に姓があまり使われなくなり、かわって苗字が一般化すると、夫婦は同じ苗字を名のるようになる(夫婦同苗字の起源は16世紀)。https://t.co/WJ2hUX97Nr
紹介されていたこのページが興味深い記述が多くあったのでメモ。
坂田聡さんの本は昔1冊読んでいて、私の、姓に関して実際の生活から受けて作られた、もともと持っていた印象とはかなり合致した話が多く、参考にしている。
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