位高ければ務め多し
昨日の大隈塾は、ノブレスオブリージュについて考えた。ゲスト講師は清宮克幸さん。
清宮さんでノブレスオブリージュ? なのはこんなこと。
奥克彦さん、2003年、イラクで凶弾に倒れる。復興支援でロンドンからイラクに長期出張中だった。
銃撃される直前、テロリストから狙われている外交官に含まれていると知った友人が、心配してメールを書いた。
その返事に奥さんは、
「まだノーサイドじゃない。ここでやめられない(^^)」
と返事を出していた。
ロンドンでは、オックスフォード大学に在籍し、ラグビー部のレギュラーメンバーだったこともあって、世界のラグビー界への人脈が太くつながっていた。
「日本でワールドカップを!」
荒唐無稽だった。
当時、日本代表はワールドカップどころか、外国のチームとの試合すら組ませてもらえなかった。
相手にされてなかったのだ。
そんな日本でワールドカップ?
だけど、粘り強く交渉した。
結果はご存知の通り。ラグビーワールドカップは今年、日本で開催される。
「まだノーサイドじゃない」
とのメールを送った直後、テロリストから襲撃されて銃殺された。
これこそノブレスオブリージュだ、
と仲間たちは号泣した。
ノブレスオブリージュは「高貴な人たちの義務」、なんだけど、それではなんかしっくりこない。
開高健は「位高ければ務め多し」と訳した。
これもねぇ。
清宮さんは、
「ノブレスオブリージュは、状況や立場によって変わるもの」
だという。
それは、責任であり、役割であり、愛である。
じっくりと示すものであり、瞬発的にやってみせるもよである。
さりげなく行うものであり、情熱的に巻き込むものである。
であるならば、しっくりくる。
高貴、にとらわれると、
誰もが
「そんなんじゃないから」
と、やるべきことをやらない理由にする。
それぞれがそれぞれのやり方で果たす役割。
ノブレスオブリージュ。