街そのものがミュージアム
街そのものがミュージアム
『こどもと大人のためのミュージアム思考』を読んでいて、
そういえば、と思った。
釜石には「オープン・フィールド・ミュージアムKAMAISHI」という構想があって、
街全体が「屋根のない博物館」とする観光地域コンセプト。
釜石という街そのものがミュージアム。
釜石には「人材」がいる。
漁師だったり、小さな会社の経営者だったり、
旅館のおかみさんだったり、自分ちの庭を公園にした人たちがいる。
街全体の9割を、森林がしめている。
その森の街は、漁村として出発した。
やがて鉄をつくって近代日本を支えるようになった。
森から川を伝って流れ出る滋養は、
海の幸を育んできた。
その幸を食べて、街の人たちは育ってきた。
ここを訪れる人たちは、
ここで生きている人たちの話を聞き、
海と山の自然に触れ、
歴史を肌で感じて、
「ああ、きれい」とか「ああ、すばらしい」とか、
そういう直感で好意をもてることもあれば、
モヤモヤしてなんだかわからないけどなんかは感じる、
という言葉にならない感覚を得ることもある。
ミュージアムだから、はっきりと「わかる」ものがあれば、
なんだか「わからない」ものもある。
ミュージアム思考をとりいれる
ミュージアム思考には5つの思考方法がある。
観光で釜石に来ることもあれば、
仕事で釜石に来ることもあるし、
ワーケーションとして釜石に来る場合もあるだろう。
出会いと体験を5つのミュージアム思考で捉えてみる。
ここに住んでいる人たちも、5つのミュージアム思考で捉えてみる。
ここに暮らしていることを誇りに思えるように、
オープン・フィールド・ミュージアムはサポートしていく。
釜石はそんなことを考えて、少しずつ実践している。
『こどもと大人のためのミュージアム思考』 稲庭彩和子編著 左右社 2022年